ルネサス テクノロジは6月15日、携帯電話をはじめとした携帯機器向けに、1枚の画像を画面の解像度などに合わせて拡大しても高精細でクリアな画像を実現する超解像技術として、同社32ビットCPU「SHコア」を用いてそれを行うことができる「SH版超解像ソフトウェア」を製品化、2009年10月より提供開始することを発表した。

同ソフトウェアは、同社の携帯電話向けアプリケーションプロセッサ「SH-Mobileシリーズ」および携帯機器向け「SH-MobileRシリーズ」の、「SH4AL-DSP」「SH-4A」コア搭載製品に用いることで、例えば、QVGA(320×240画素)相当のワンセグ画像をVGA(640×480画素)に拡大表示しても、画像がぼやけることなく、高精細で臨場感のある画像を作成することが可能となる。また、新たにハードウェアを追加することなく、超解像に対応した動画像・音声処理システムを実現できるため、システムの小型化や開発期間の短縮が図れるという。

超解像の処理例(従来の拡大画像に比べて、クリアな表現が可能となっている)

従来のシャープネス手法は、デジタル受像素子で発生するノイズやコーデックのデータ圧縮に起因するノイズなども合わせて強調してしまい、画像劣化を伴うという問題を抱えていた。今回の超解像技術を用いることで、ノイズの誇張を抑えることが可能となり、拡大した元画像に比べ、より高精細で、解像感、臨場感などを持つ画像を表現することが可能となる。

また、ソフトウェアによる超解像処理のため、画像処理サイクルの低減を実現。これにより、従来GHzオーダが求められていた超解像処理を250MHz程度の処理で可能とし、SHコアのソフトウェア処理で対応可能とした。

さらに、さまざまな解像度の静止画、動画に適応可能であるほか、超解像処理の強度を段階的に設定できる仕様を採用。これにより、ユーザーの好みにより適した画像、映像処理を実現することが可能となる。

なお、同社では今後は、同社のマトリックス型超並列プロセッサ「MXコア」向けソリューションや、ビデオ処理エンジン(ビデオI/O)向けソリューションとしても同技術を提供していくとしており、ユーザーにソフトウェアからハードウェアソリューションまで、対応システムに応じた選択を提供していくとしている。