Google、Open Technology Institute (New America Foundation)などが1月28日 (米国時間)に、インターネット接続の測定・診断のオープンプラットフォーム「Measurement Lab (M-Lab)」のベータスタートを発表した。

昨年、米ISP大手のComcastがBitTorrentのトラフィックを制限していたことが明らかになり、同社はネットの中立性に反しているとしてネットユーザーから厳しく批判された。インターネット接続サービスが遅いと感じたとき、ユーザーが使用しているPCやアプリケーションに原因があるかもしれないが、ComcastのBitTorrent問題のようなケースもある。ユーザーが自らの権利を守る上で、その原因を知るのは重要である。だが専門家ではない一般ユーザーが原因を追及するのは難しい。また専門家であっても、インターネットの状況を正確にテスト・分析できる環境に恵まれていないのが現状だ。そこでGoogleは昨年、ネットワーク・リサーチを前進させ、一般ユーザーにブロードバンド接続テストツールを提供するための取り組みを一部の研究者グループに持ちかけた。その成果がM-Labである。

今日のネットワーク研究者は、インターネットを介したサーバとのサンプルファイルのやりとりから接続サービスのスピードや品質の測定データを収集している。一部のツールは一般ユーザーも利用できるように公開されている。この測定は手法として問題はないが、十分に広く分散したサーバが使用されていないため、分析の正確さやスケーラビリティに欠けるという問題がある。また、それを補えるような研究者同士でデータを共有できる環境も整っていないのが現状だ。これらの問題を解決するために、Googleは2009年の早い段階に米国と欧州の12カ所に36台のサーバをM-Lab用に用意する。M-Labを通じて収集されたデータは公開され、研究者が自由に利用できるようにするという。

一般ユーザー向け診断ツールについては、すでに以下の3つのツールが公開されている。

これらのほか、ISPが他のトラフィックを優先している可能性を調べる「DiffProbe」、ISPが特定のユーザー/ アプリケーション/ デスティネーションの品質を引き下げている可能性を調べる「NANO」などの提供を予定している。

これらのツールはM-Lab設立に協力している個人研究者が開発したもので、現段階では同時に受け付けられるテスト数が少数に制限されている。