Movidia マーケティング・ディレクターのBob Tait氏

アイルランドの半導体ベンダMovidiaは1月15日、携帯電話向けマルチメディアプロセッサ「MA1100」を発表した。すでにデモチップは完成しており、2月16日からスペインのバルセロナで開催される「Mobile World Congress」にてデモ展示を予定している。また、サンプル出荷は今夏、量産は2009年後半を予定している。

同社 マーケティング・ディレクターのBob Tait氏は、「これまでの携帯電話では処理能力が足りず、こうした機能を実現できなかった。しかし、携帯電話のモバイルソーシャルネットワーク機能とUGC(User Generated Content:ユーザー生成コンテンツ)機能に対するニーズは確実に高まってきている」と語る。

そのため、同製品は、携帯電話上で、ビデオの撮影のほか、編集や視聴が可能となる処理能力を有しており、携帯端末上でのビデオクリップのカット&ペースト、画像のぶれの削除、画質を維持したままのズーミング、スローモーション加工などが可能となる。また、ネットワークを介することで、SNSへのアップロードも可能だという。

「MA1110」を使用することで、携帯電話上で動画の録画から編集、視聴、共有までができるようになる

「すでに用意してあるデモチップを使った機能紹介では、高いユーザーエクスペリエンスを実現できると評価をもらっている。また、カスタマからもより高いサービスの提供が可能になると評価してもらっている」(同)という。

MovidiaのCOOであるPaul Costigan氏

システム構成としては、これまで携帯電話に使われてきたマルチメディアプロセッサを置き換える形で使用する。「携帯電話を設計する上で、柔軟性を確保するためのアーキテクチャを構築したほか、さまざまなインタフェースなどを用意した」(同社 COOのPaul Costigan氏)という。

マルチメディアプレーヤとしての「Video Editor」や「3D Graphics」、「A/V Codecs」のほか、マルチメディアキャプチャとしての「Video/Image Processing」、「Audio Encode」などを独自のIPとして開発し、そうした処理の性能を向上させたという。

「MA1110」を用いた時のシステム構成例

「MA1110」のブロックダイヤグラム

対応する動画フォーマットは、H.264、H.263、MPEG-4、MPEG-2(720p@30fps)としているが、ロードマップ的には他のコーデックにも対応していくという。また、出力用インタフェースとしては、各種のTV-Outのほか、5.1chオーディオなどにも対応する。さらに、撮影用のカメラは1200万画素までのカメラインタフェースに2台まで対応する。

H.264(D1@30fps)でのキャプチャをリアルタイムで実現するほか、画像の安定化やズームなどの加工も携帯電話上で実行することができる

「性能としては詳細は公開できないが、GFLOPSクラスの性能を持ち、複数のタスク実行も可能としながら、例えばMPEG-2のSD画像の処理時で100mW以下を実現できる低消費電力を実現している」(同)であり、さまざまな処理をリアルタイムで行うことが可能なことを強調した。

なお、生産は台湾のTaiwan Semiconductor Manufacturing(TSMC)が担当。採用プロセスは65nmとしている。TSMCの45/40nmプロセスについては、「今の時点ではまだ未成熟」(同)としているが、2010年以降に登場予定の次世代品では採用していく予定という。