韓国公正取引員会(以下、公取委)は、9月24日に、米eBay(以下、eBay)による、Interpark Gmarket(以下、Gmarket)の株式買収に関し、条件付きでこれを承認したと発表した。

韓国のインターネットショッピング市場に、大きな変化が起きそうだ。

参考までにGmarketは、韓国大手のオープンマーケット(誰でも商品を販売登録でき、その商品を消費者が購入する仕組みのショッピングモール)業者で、親会社はショッピングモールの「Interpark」を運営するInterparkだ。一方のeBayは、韓国大手のオープンマーケット「Auction」の株式中99%を保有している。

Gmarketによると、今回の承認は「Interparkが保有している、Gmarketの持ち分の全部もしくは一部を、eBayが買収することに対するもの」だ。eBayはGmarketの持ち分を買収するためのMOU(覚書)を既に締結しており、2008年5月24日には公取委に対し、あらゆる面で独占状態が強い状態を指す"競争制限性"について、事前審査を要請していた。

今回、これが条件付きで承認されたことにより、eBayによるGmarket持ち分の買収が可能となった。韓国1、2位のショッピングモールを手に入れたeBayは、韓国最大のショッピングサイト構築を進めていく可能性があるとみられている。

ところで先に述べた、公取委がeBayに対して付与した条件には、下記の通り4つある。

1.販売手数料の引き上げ禁止

2.登録手数料、サービス(広告)手数料(オークション方式での販売においては除外)の単価の引き上げを、消費者物価上昇率以内に制限

3.中小規模の販売者のための保護対策を樹立

4.公正取引法順守方案を樹立・施行および、樹立内容を販売者に告知

これらの条件は、今後3年間、順守しなければならない。また2011年1月1日以降、市場競争の状況によっては、これら条件の変更を可能としている。

公取委によると「AuctionとGmarketが合併すれば、これらのオープンマーケット市場における市場占有率は87.2%に達する」という。

それでも今回、合併を承認したのは「インターネットを基盤としたビジネスの特性として、市場進出コストが低く、いつでも新しい競争し事業者が現れる可能性」「(韓国最大手のショッピングモール登場は)ポータル事業者によるショッピング検索サービスの有力な競争相手となる可能性が大きく、(韓国のインターネットにおいて大きな力を持つ)ポータル事業者も、オープンマーケット市場に進出する可能性」(公取委)があるためとしている。

つまり、市場自体が大変動的であるため、市場独占状態短期的となる可能性もあると見ているためだ。M&Aを通じた変化や発展を通じて、動的な市場の競争を創出したいという見方がある。

年々拡大する、韓国のオンラインショッピング市場。この大部分を、しばらくの間はeBayがほぼ掌握することとなる。しかしこれに刺激を受けたポータルサイトを始めとした業者が、これに挑んできたり、価格比較などあらゆるサービスが充実し、また大型スーパーマーケットやデパートなど、オフライン店舗を展開する業者の新規参入も誘発することで、市場に変化がもたらせると公取委では期待している。

区分 2002年 2003年 2004年 2005年 2006年 2007年
取引規模
(前年比の増加率)
6.029
(80.2)
7,054
(17.0)
7,768
(10.1)
10,675
(37.4)
13,459
(37.4)
15,765
(17.1)
事業者数
(前年比の増加率)
2521
(26.0)
3,268
(29.6)
3,444
(5.1)
3,915
(13.7)
4,463
(14.0)
4,478
(0.3)

年々増加する、韓国のインターネットショッピング市場規模(取引規模)の推移(単位:10億ウォン/%)。(「年間サイバーショッピングモール統計調査」(2007年は12月時点)統計庁)