Cappuccino Web Framework

当初掲げられていたとおり、280 Northからオンラインプレゼンテーションアプリ「280 Slides」で活用されているWebアプリケーションフレームワーク「Cappuccino」およびプログラミング言語「Objective-J」がオープンソースソフトウェアとして公開された。GNU LESSER GENERAL PUBLIC LICENSE Version 2.1のもとで提供され、対応しているブラウザはIE 7/6・Firefox 3/2・Safari 3/WebKit・Google Chrome・Opera 9とされている。CappuccinoおよびObjective-Jにはすでに280 Slidesという成果物がありWebアプリケーション開発に活用できることは実証済みだ。

Objective-JはObjective Cに類似したプログラミング言語。Webブラウザで逐次JavaScriptに変換されながら実行されるため、Objective-Jで開発されたWebアプリケーションを実行するにあたって新しくプラグインやコンパイラを導入する必要はない。Cappuccinoはこうした技術を活用して構築されたWebアプリケーションフレームワークで、GNU StepやApple Cocoaと類似した機能を提供する。

CappuccinoおよびObjective-Jは既存のJavaScript Ajax Webアプリケーションフレームワークとは異なり、JavaScriptを使って機能拡張するタイプのフレームワークではない。開発言語からフレームワークまで新しく提供するもので、どちらかといえばSproutCoreに近い。開発にあたってHTMLやCSS、JavaScriptに関する知識は必要なく、Objective-JおよびCappuccinoで開発できる仕組みだ。デスクトップアプリケーションと同じ機能をWebアプリにも提供していくという視点からすればFlashやSilverlightに近い。

FlashやSilverlightのコア実装はベンダが管轄しているが、280 Northではオープンソースソフトウェアとして公開することで機能要望をコミュニティに委ねたい狙いがある。コミュニティとの良好な関係を維持することでCappuccino/Objective-Jの魅力を高めていく計画のようだ。

オープンソースソフトウェアとして公開されて日も浅いが、デスクトップアプリケーションと同じ機能をWebアプリで実現するための包括的なフレームワークと開発言語が登場したことには注目しておきたい。Objective-Jを学ぶ必要があるという学習期間が必要になるものの、今後の発展を考えると採用を検討する価値のあるプロダクトだ。WebデベロッパはCappuccino/Objective-Jの登場に注目しておきたい。