現在PDP(Plasma Display Panel)モジュール市場は、韓国と日本が市場を二分し、熾烈な競争を行っている状態だ。ただしここのところは、日本が韓国の後を追うという構図が継続していた。しかしここにきて、日本のPDPモジュール出荷量が、12カ月ぶりに韓国を抜いた。

ディスプレイ調査会社のDisplaybankが、「月刊PDPモジュール出荷データ」レポートを通じて報告した。

レポートによると、2008年7月時点で、日本のPDPモジュール出荷量は62万2,000台。一方の韓国は55万9,000台で、日本が韓国を約7万台上回り、業界で1位の座を獲得した。

2007年5月から2008年7月までの、日韓のPDPモジュール出荷量の推移

このように日本が韓国の出荷量を上回るのは、2007年7月以来12カ月ぶりのことだ。その後日本は2007年11月に、韓国とほぼ同様の水準まで出荷量を上げてくるものの、追い越すことまではできず、2008年第1および第2四半期に大きく下落。やや回復した後は平行線をたどっているかのように見えたが、ここに来て出荷量を上げてきた。逆に韓国の出荷量は減少した。

日本の出荷量増加に貢献しているのが「日立が32インチHDテレビの新しいラインナップを追加するなどして、出荷量増加に力を入れている」(Displaybank)といった要因のようだ。

またSonyやSamsung電子といった大手企業による、テレビ価格の値下げの影響を受けて、中小企業による完成品の販売量が減少したことにも一因しているようだ。つまり「おもに自社用にモジュール生産を行っている日本の業者に対し、韓国の業者は外販を多く行っているため」(Displaybank)、中小のテレビ業者たちを対象に外販を行っている韓国のPDPモジュール生産業者たちの出荷量が、大手によるテレビ価格の値下げによって減少したということだ。

ただし、下半期は繁忙期であるため「今後韓国の業者が逆転する可能性も十分にある」とDisplaybankでは分析している。

さらにPDPモジュール市場は今後、日韓以外の業者も加わって、さらに熾烈な競争が繰り広げられていくことが予想されている。Displaybankが頭角を現す可能性が高いと見込んでいるのは、中国のCOCや、Nanjing Huaxianといった業者だ。とくにCOCは「現在のパイオニアレベルのラインを稼働させてくる」(Displaybank)ということで、攻撃的な事業展開が見込まれている。2009年以降には、日中韓による、さらに激しい戦いの構図が出来上がってきそうだ。