NTTは24日、フォトニック結晶を用いた光ビットメモリを開発し、従来比60倍となる最長150nsのメモリ持続時間を達成したことを発表した。

光メモリは、ONとOFFのビットを表す2つの状態を光により書き込み・読み出し・消去を行うが、今回開発されたものは、光による物質の屈折率変化(光非線形性)により引き起こされる光双安定現象を利用している。

開発した光メモリのベースとなるフォトニック結晶は、厚さ200nmの半導体結晶に直径200nmの穴を420nmの周期で三角格子状に配置した構造をしている。その中の一列、穴のない直線状の領域が導波路として働き、その両脇の穴の位置を数nmシフトさせてわずかに幅を広げた領域が共振器として働くこととなる。

開発されたフォトニック結晶の構造

また、材料はSiではなく、InGaAsPが採用されている。これにより、光閉じ込めの指標となるQ値は最大13万を達成したほか、メモリ保持に必要なバイアス光のパワーの最低値は、従来の光双安定動作を用いたものと比べ約2桁減となる40μWを達成した。

なお、同社では、同技術の応用としては、光情報処理チップにおけるスイッチやメモリが考えられるが、そのためには共振器の構造や材料パラメータの最適化を行うことで、メモリ持続時間を延ばす必要があるとしているほか、多ビットの光RAMにより構成された大規模光集積回路を実現するためには、メモリの集積化やビット列のアドレッシングなどの技術を開発する必要があるとしている。