NTTデータとマイクロソフトは、研究モデルとして、RFIDを利用した空港の手荷物管理システムを構築し、発表した。

これは利用者が飛行機を利用して、目的地の空港で手荷物を受け取るまでのプロセスを、RFIDを利用して管理するというもの。具体的には、利用者が自宅で宅配業者に手荷物を預け、空港宅配会社や航空会社を経て、到着空港で受け取るまでの手荷物の配送状況をRFIDを利用して管理する。

今回開発されたシステムは、利用者が自宅で宅配業者に手荷物を預け、到着空港で受け取るまでの配送状況をRFIDを使って管理する。宅配業者、空港宅配業者、航空会社の3社を経由するが、それぞれ複数の業者から選択でき、N対Nの連携が可能

従来このようなシステムにおいては、ID管理や連携作業が複雑になるため、会社間やベンダ間の組み合わせを自由に選択できない、あるいは既存システムとの連携が難しいという問題があった。また、業者間でやり取りする個人情報の問題や、既存資産の有効活用という面においても課題があった。

今回のシステムにおける課題と解決方法

NTTデータとマイクロソフトでは、「IDコマース基盤」とBizTalk Server 2006 R2を利用することによりこれらの問題を解決し、会社間のN対Nの連携を可能とした。

宅配情報の登録画面には、航空券予約システムとの連携により、個人情報を自動的に表示

各業者のRFIDリーダを通過すると、配送状況が自動的に更新される

デモで使用された手荷物。宅配伝票の裏にRFIDが仕込まれている

今回デモで使用された富士通製のRFIDリーダ

「IDコマース基盤」について説明するNTTデータ 技術開発本部 部長の村上明彦氏

「IDコマース基盤」は、モノや人に付されたIDをキーにして、さまざまなITシステムや機器をシームレスに連携できるユビキタスサービスの基盤で、NTTデータ、富士通、NEC、日立製作所、東芝テックの5社が検討会に参加している。そして、検討会で策定された仕様書はNTTデータのホームページ上で公開され、自由に利用することができる。

具体的には、「異種プラットフォーム間連携を実現する仕組み」、「ベンダ間互換性の確保を実現する仕組み」、「高セキュリティを実現する仕組み」の仕様を策定している。

これらの仕様を利用することにより、複数の事業者の間でモノや情報の授受を行う必要がある分野、IDを1つに統合することが難しい分野、IDが途中で付け替えられたり、仕分け等により複数IDに分割されたりする業務で活用できるという。

「IDコマース基盤」が提供する仕組み

「IDコマース基盤」の活用分野

今回発表されたシステムは、IDコマース基盤を活用したプロトタイプシステムで、BizTalk Server 2006 R2とBizTalk RFIDは、システム間で交換される情報のフォーマット間機能等を利用した、既存システムやRFIDリーダへの接続で利用されている。RFIDリーダとの接続部分では、マイクロソフトが開発キットを提供し、各デバイスとの接続設定を容易にしたという。

マイクロソフト 業務執行役員 サーバープラットフォームビジネス本部 本部長の五十嵐光喜氏

マイクロソフト 業務執行役員 サーバープラットフォームビジネス本部 本部長の五十嵐光喜氏は、「これからのシステムは、社内だけではなく、外に広がっていく。社外のお客様、パートナー様がWebサービスと連携して、有機的につながっていかなければならない。その中心を担うのがBizTalk Serverだ」と語った。

また五十嵐氏は、今年の第4四半期中に、モバイルRFIDソリューション分野に参入し、それに向けた製品をリリースする予定であることを明らかにした。