日々の情報のやり取りに用いられる電子メールは、個人にとって有用な情報の宝庫である。だが正規化されたデータベースとは異なり、それらの情報は大量のメールの中で眠ってしまっているのが現状だ。米IBMは12月20日(現地時間)、研究開発センターalphaWorksを通じて、セマンテック(意味論)検索ツールの「IBM OmniFind Personal Email Search (IOPES)」をリリースした。メールデータの中に埋もれてしまった情報を素早く検索し、さらに検索情報のタグ化や他者との共有など、それらをより有益に活用できるようにする。

IOPESは、電子メールクライアントと連動して強力な検索機能を提供する。例えば、電子メール内にある電話番号のデータを参照したい場合など、その情報に「phone」や「number」といった関連語句がなくても内容から電話番号であるかを判別し、素早くユーザーに返す。こうした検索や抽出内容はユーザーがカスタマイズでき、検索内容をタグ化することで以後の検索に活用したり、ユーザー間で共有できたりする。

仕組み的には、ユーザーがクエリーとしていくつかのキーワードをタイプすることで、事前に設定したコンセプト(例えば、人名や電話番号、住所、スケジュールなど)やコンセプト間の相関関係に基づいて最適な結果を素早く探し出す。こうしたコンセプトは付属のタグ化ユーティリティでユーザーが新たに設定することも可能。また電子メールのプライバシーを守りつつ、タグのユーザー間での共有も行える。

対応システムはWindowsで、Lotus Notes(6.0以上)用とMicrosoft Outlook(2003以上)用の2種類のモジュールが用意されている。配布パッケージには電子メールクローラ、ドキュメント処理/コンセプトタグ化パイプライン、インデクサ、検索用ランタイム、タグ化ユーティリティが同梱され、動作のためにInternet Explorer(5.0以上)またはFirefox(1.5以上)のWebブラウザが必要となる。alphaWorksは研究中の技術を先行リリースしてユーザーからのフィードバックを求める形態をとるため、同ソフトウェアは無償で利用できる。配布パッケージはalphaWorksのIOPESページからダウンロード可能。