日本OAUG(Oracle Applications Users Group)は25日、東京都内のホテルで2007年度年次総会を開催した。日本OAUGはOracle Applicationsを利用するユーザーが情報交換を目的に組織するユーザーグループで、Oracleへの製品フィードバックやソリューション展開での連携など、さまざまなメリットを共有することを目指している。
今年初旬にOracleがApplications Unlimitedを発表するなど、同社製品のユーザーには2007年は転機となる年だった。同時にOAUGも参加企業数を70社近く増やして300の大台に到達し、新たな局面へと進もうとしている。
日本OAUGの運営機関であるSteering Committee会長の平岡昭良氏は2007年度の活動報告を行うなかで今後の課題や取り組みについて説明し、PeopleSoftやJ.D. Edwards、SiebelといったアプリケーションがOracle Applicationsに統合されていく過程で、いかに既存のユーザーコミュニティをOAUGに統合し、かつオラクル側にフィードバックを返していくかが課題になると指摘する。
また、すでにOracleへの強い影響力を持っている米国OAUGとの連携をいかに密接に行い、その影響力を行使していくかも課題だと述べる。「オラクルの製品戦略がわれわれのシステムに影響を与える一方で、われわれがいかにオラクルに影響を与えるか」が重要だという。「米国OAUGの影響力が高まる一方で、われわれ日本OAUGの会員数は実際のOracle Applicationsユーザー企業数と比較して少ない。未参加の企業には積極的に誘致を行い、どのように影響力を高めるかを検討していく必要がある」と加える。
また今後のトレンドについては、Fusion Middlewareにどのように取り組んでいくかが鍵になるという。アプリケーションの統合にあわせて、従来までの製品別のSIGから業種別のSIGへと組織を変更し、実際のソリューションに合った形で複数ある製品を組み合わせた統合システムを実現し、その情報のフィードバックや会員企業内でのノウハウの共有を行っていくかが必要になると指摘する。
続いて壇上に立った日本オラクル執行役員 アプリケーションビジネス推進本部長の藤本 寛氏は日本OAUGとの連携強化を表明するとともに、既存ユーザーに対して迅速に情報を届けてサポートを充実させ、いかにオラクルとしてユーザーコミュニティを盛り上げ、支援体制を築くかについて説明した。
藤本氏によれば、日本オラクルは同年度に初めて売上高が1000億円の大台を超え、アプリケーションのライセンス販売は60%の伸びを見せたという。前述のようにOAUGのメンバー企業は300社を超えているが、実際の製品全体のユーザー数は1000社を超えており、これら非OAUGメンバー企業をコミュニティに誘致していくかが今後の目標だと述べている。また2008年度はトータルな顧客満足度と価値の向上、そしてそれらを実行することがユーザーにとっての成功体験につながるとアピールする。
具体的には、既存顧客への取り組みを強化し、これまで営業チームに頼り切りだったサポート体制を刷新、専任部隊を設置してより密で迅速にユーザーと最新情報を共有する体制を築いていく計画だという。Japan Upgrade Management Office開設によるバージョンアップ前のシステム検証支援のほか、現状の300名体制から2010年までの1000名への支援部隊増強によるコンサルティングサービスの拡大、OAUGとの連携など、ユーザーとの対話を重視した体制へと移行する。またCRMやSCMなど、前述のアプリケーション統合やソリューションの範囲拡大にあわせ、オラクル側がノウハウ吸収で支援体制を強化、投資対効果の最大化を目指す。
またユーザー側の要望として、開発者などのエンジニア以外を対象としたエンドユーザーの教育プログラムも強化していくという。今後は従来のOracle Masterの枠を拡大し、PeopleSoftやJ.D. Edwardsといった他のアプリケーションにも同様の教育・研修プログラムを展開していく計画だ。同様の試みは現在同社が力を入れている「Oracle On Demand」にも反映されることになり、E-Business Suite以外のアプリケーションにもその対応範囲を拡大していくことを約束した。
また今回のOAUGの年次会では、米Oracleが4月に米ネバダ州ラスベガスで開催したユーザーカンファレンスの「COLLABORATE 07」で発表した「Application Integration Architecture(AIA)」の紹介やデモストレーションも行われた。Applications Unlimitedの中でオラクルは「製品の継続的なサポート」と「Fusion Middleware対応による新たな価値の提供」の2つを約束しているが、AIAはそれを具体的なものにするソリューションだといえる。
Fusion Middlewareによる異なるアプリケーション間の連携が容易になったが、細かい機能間の連携や実際のフローはユーザー側のカスタマイズやインテグレーション作業に依存する部分が大きかった。AIAではこの部分を「Process Integration Pack」という形でパッケージとして提供し、ユーザー側のアプリケーション統合に関する負担を軽減する。
紹介されたデモでは、Siebelの商品マスターを使って見積もりを作成しつつ、具体的な製品の構成のカスタマイズはOracle EBSのConfiguratorを使って詳細情報を設定する。EBSで設定した商品のカスタマイズにより見積もりの価格情報が決定されるが、その際の販売条件や割引ルールはSiebel側で設定されたものに準拠する。出荷先情報はSiebel側で作成し、実際の受注フローはEBSで処理する形態をとるなど、2種類のアプリケーションが密に連携している様子がわかる。これはあくまで例だが、定義されたシナリオに沿って適切なアプリケーションが適宜呼び出されるのがAIAだという。
前出の藤本氏は「オラクルだけですべてを行うというのではなく、既存のアプリケーションやシステムをなるべく活用しつつ、それらをSOAで統合してシステムを構築していく」と述べ、AIAやApplications Unlimitedの狙いが既存資産やノウハウの活用にある点を強調する。
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