NECは25日、ロスレス画像圧縮の国際標準規格であるJPEG-LSやJPEG2000(可逆モード)と同等の圧縮率を備えつつ、圧縮速度をJPEG-LSの10倍以上、JPEG2000(可逆モード)の30倍以上に高速化する技術を発表した。

一般に、ロスレス画像圧縮では情報の切り捨てが許されない。このため、圧縮処理が非常に重くなり、大規模な画像データへの応用や低電力デバイスへの搭載が難しかった。今回は、アルゴリズムを自然画像のロスレス画像圧縮に特化させることで、処理に必要な回路規模の小型化を実現。サブサンプリングされた低解像度画像をもとに、独自の階層的2次元内挿予測手法を用いて高解像度画像を予測/符号化する新画素予測方式を採用することで、画素予測時の演算負荷を大幅に低減させ、高速化を達成した。

また、画像を低解像度から順次圧縮展開するプログレッシブ符号化/復号機能に対応しているので、低解像度のプレビュー画像などは、さらに高速な圧縮展開が可能だ。

なお、この研究技術は、すでに宇宙航空研究開発機構(以下JAXA)の衛星搭載CPU上での予備実験で成功をおさめており、2010年からの金星探査計画で衛星写真のロスレス画像圧縮方式として採用される予定となっている。