東日本電信電話(NTT東日本)及び西日本電信電話(NTT西日本)は、2020年~2025年を目処に「PSTN(公衆交換電話網=加入電話及びINSネット)をIP網へ移行する」と発表してから6年が経った。総務省では情報通信審議会で移行に向けた手順やサポート対策、スケジュールの検討を続けているが、これが実現した場合、電話やFAXにはどういった変化があるのだろうか。
2016年12月1日に開催されたセミナー「ビジネスにおける固定電話・FAXの未来 ~PSTNからIP網への移行で何が変わるのか~」では、NTT東日本とインターコムが、IP網への移行経緯やビジネスへの影響、FAXの今後について講演を行った。
電話やFAXは継続利用可能。「INSネット ディジタル通信モード」は要注意
まずNTT東日本で固定電話のネットワークサービスを担当する山内健雅氏が登壇し、NTTが電話網をIP化することになった経緯を語った。ネットワークは端末(CPUやストレージ)の進化に伴って高速化してきており、回線契約数もブロードバンドに偏ってきている。2014年のFTTH(光回線)利用割合は、2004年度比で240%にもなった。一方、ISDNのようなナローバンドは57%減(常時接続)と激減している。
電話も光回線を利用したIP電話(0ABJ-IP電話)への乗り換えが進み、2012年半ばにはIP電話が固定電話(加入電話、INSネット)の契約数を逆転する事態になった。こうした利用動向に加え、まもなくPSTNを成立させるために必要な中継交換機の維持限界が到来することもあって、NTT東西は2020年度頃からIP化していく予定だ。NTT局内にある交換機はすべてルータに入れ替えられることになる。
NTT局と宅内をつなぐ回線は光の他に、PSTNで使われてきたメタル回線も残るので、今利用している電話やFAXはIP化後も続けて利用できるが、交換機を必要とする一部のサービスは、終了される予定となっている。一番影響があると考えられるのは「INSネット」だろう。INSネットには「通話モード」と「ディジタル通信モード」があるが、今回サービスが終了するのは「ディジタル通信モード」の方だ。EDI(電子商取引)やPOSレジ、CAT端末、警備端末などで利用されているケースが多いという。
「ぜひ、この機会にご自身の会社がどういう回線を利用しているのかを確かめておいていただきたいと思います」と、山内氏は自社の利用状況把握を促す。
今から代替サービスの検討を。電話・FAXは光回線への移行も。
POSレジやCAT端末、パソコンなどの機器が、DSU(ディジタルサービスユニット)や、TA(ターミナルアダプタ)のUSBポート、シリアルポート、ディジタルポートに接続されている場合は、ディジタル通信モードを利用している可能性がある。またNTT東西からの請求書に「INS通信料」(INS通話料ではないので注意)の項目があれば、やはり注意が必要だ。
ディジタル通信モードを利用している場合には、光回線に移行してもらいたいと、山内氏は言う。大規模事業所用として提供されている「INSネット1500」の代替サービスとして、NTT東西では音声やFAXを中心に利用しているユーザーに対しては、「ひかり電話オフィスA(エース)」を用意している。アナログ回線やISDNを複数契約している場合、同サービスに集約すれば、コスト圧縮につながり、またデータ通信も高速に行えるようになるという。
ひかり電話オフィスAにも対応しているFAXソフトとして、インターコムの綟川勇一氏からは、同社の「まいと~く FAX(以下、まいと~く)」シリーズが紹介された。EDIやWeb-EDI、メールなど、データをやりとりする方法は進化しているが、日本の“現場”ではまだまだFAXが多用されている。EDIのように導入・運用のハードルが高くなく、なにより確実なことが利用され続けている理由だという。
「企業の購買担当の方からは、受発注業務においてFAXが使えなくなれば、会社の死活問題に関わるという声も聞きます。NTTの山内様から『FAXは使い続けるようにしていく』と伺って、当社としても安心しています」(綟川氏)
日本企業ならではのニーズを捉えたFAXソフト「まいと~く」
「まいと~く」は1994年から発売されているFAXソフトで、BCN AWARDでは「通信ソフト部門」のNo.1を16年間連続で獲得している。現在、個人や小規模オフィス向けの「まいと~く FAX 9」の他、2~8回線を利用できる「まいと~く FAX Server 7」、クラウド環境でも利用できる「まいと~く Center Hybrid」、そして72回線に対応可能な「まいと~く Center」の4つをラインナップしている。その機能は日本企業のニーズに細かく対応したものになっているという。
綟川氏は「ここ1~2年は仮想化、クラウド、システム連携、そしてIP網への移行対応といったものが、FAXへの大きなニーズとして挙がってきています」と語り、「まいと~く」シリーズの対応状況を説明した。ここでは、それぞれの状況について説明する。
仮想環境への対応
FAXソフトを仮想環境で動作させるのは困難である。モデムを仮想OSから認識できないため、FAXソフトだけは物理サーバーに入れて、管理・運用するのが常道となっている。しかし「まいと~く」では、FAX通信用ハードウェアの「ネットワークボックス」や、LANポートでFAXサーバーとFAXモデムを接続できる「シリアルデバイスユニット」をソフト本体に同梱し、仮想環境で利用してもらうことによってこうした問題を解決している。VMwareとHyper-Vでの動作も確認済みだ。
クラウド対応
「まいと~く Center」、「まいと~く Center Hybrid」では、クラウド上のサーバーに「まいと~く」をインストールし、回線とモデム(シリアルデバイスユニットやネットワークボックス)は各拠点に置くという構成で使用可能。Amazon Web Services、Microsoft Azure、ニフティクラウド、SOFTLAYER(まいと~く Centerのみ)といったIaaSに対応している。
システム連携
「基幹システムや業務アプリから、自動的にFAXを送りたい」という要望にあわせ、「まいと~く」シリーズでは以下のような連携機能を搭載している。
CSV連携:送りたいファイルのパス(ネットワーク上の保存場所)や送信先などを記載したCSVファイルを「まいと~く」の監視フォルダに入れておくと、自動でファイルを取得、印刷、送信までをやってくれる。送信結果をCSVに追記して、結果ファイルとして生成する機能もある。
FAX機能開発キットのオプション提供:業務システムに独自のFAX機能を追加でき、販売管理系や帳票作成など、多くのアプリケーションとの連携実績がある。なおインターフェースにはWebAPI(HTTPリクエスト)とAPI(.NET)が用意されている。
メール連携:注文書を添付したメールの件名にFAX番号を入れ、「まいと~く」へ送信すればFAXされる。
また綟川氏は「まいと~く」の活用方法として、「FAXモデムの統合管理」「DR/BCP対策」のふたつを披露した。
FAXモデムの統合管理
拠点が多い場合、FAXサーバー台数の分だけ「まいと~く」を用意しなければならない。しかし「まいと~く」の入ったサーバー1台を、例えばデータセンターに置き、各拠点には「シリアルデバイスユニット」や「ネットワークボックス」のような、LANでつながるモデムだけを置くという構成にすれば、コストを圧縮でき、また拠点のFAX番号も変えなくてすむ。
DR/BCP対策
大規模事業者向けの「まいと~く Center」なら、緊急時、ホットスタンバイによる自動切り替えシステムの構築が可能。「まいと~く Center Hybrid」など中規模向けの製品なら、サーバーを複数台用意して回線を分散化させることで、縮退運用が可能だ。通常使用しているのと同構成のサーバーを用意しておけば、コールドスタンバイとして利用することもできる。
最後に綟川氏は、「『まいと~く』シリーズの『基本パック』(1年または5年の保守費用込み)には、専用電話によるソフトウェアサポート、モデム故障時の無償交換、無償バージョンアップなどの保守サポートも揃っています。2025年以降も安心して利用できるFAXソフトとして、ご検討いただけると幸いです」と、サポート体制も含めた今後の「まいと~く」シリーズについて力強く語った。
また、講演終了後の質疑応答の時間には、多く質問が寄せられた。今回のセミナーは、来場者の不安や疑問の解消につながっただけでなく、登壇企業に直接ユーザーのニーズを伝えられる機会となったのではないだろうか。
本稿で紹介している「まいと~く」シリーズはこちら >>
(マイナビニュース広告企画:提供 インターコム)
[PR]提供: