ビジネスのデジタル化が進むなか、「ITモダナイゼーション」にどう対応していくかに注目が集まるようになった。デジタルビジネスでは、基幹系システムに格納された販売データや顧客データをほかのさまざまなデータと組み合わせ、新しい価値を生み出していくことが重要とされるが、企業には、メインフレームを中心としていまだに多くのレガシーシステムが残っている。
レガシーシステムのデータを資産として活用できるようにすることが、デジタルビジネス成功のポイントの1つになってきたのだ。
そうしたなかで注目されているのが、モダナイゼーションに向けたシステム可視化の手法だ。前編に引き続き、システムズの中本氏にモダナイゼーションの手法について話を伺った。
20年以上にわたってシステムマイグレーション事業を手がけてきたシステムズでは、モダナイゼーションの手法を9つに分類し、さらに、モダナイゼーションの準備作業として、システム可視化のサービスも提供している。
レガシー資産を活用する9つのモダナイゼーション手法
「モダナイゼーションは大きく、中核的/再構築的モダナイゼーションと、準備的モダナイゼーションの2つに分けられます。このうち、再構築的モダナイゼーションは、リプレイスやリビルドといった手法を用いてシステムを再構築するものです。スクラッチ開発やパッケージへの置き換えがこれにあたります。また、中核的モダナイゼーションでは、プログラムのソースコードを書き換えるリライトや、プラットフォームを移行しITインフラの刷新を行うリホスト、画面やインターフェースの改良やアクセス性の向上を図るリインターフェースやラッピングといった手法も用います。システムズが得意とするのは、このうちの変換ツールによるリライトを用いたモダナイゼーションです。
一方、これら中核的/再構築的モダナイゼーションの前段階にあるのが、準備的モダナイゼーションです。メインフレームを中心にしたレガシーシステムの利用状況や重要性などを業務と機能といったビジネス的な視点で調査し、モダナイゼーション手法として採用する方式や優先順位などを決めるアセスメントのフェーズです。手法としては、ドキュメントの再整備を行うリドキュメント、ソースコードの設計改善を図るリファクターなどを用います」(中本氏)
この準備的モダナイゼーションに関してシステムズが提供しているのがレガシーシステム資産可視化サービスだ。
レガシーシステム資産をどう可視化するのか
システムズが提供するレガシーシステム資産可視化サービスは、大きく、「資産棚卸」「日本語データ・ディクショナリー整備」「プログラムの整構造化」「ドキュメント整備」という4つの作業サービスを提供する。
資産棚卸とは、資産情報と稼働情報を洗い出し、棚卸結果ドキュメントとして出力するものだ。現存するプログラムの本数やステップ数を調査するだけでなく、ジョブの実行ログやライブラリの稼働状況を調べ、実際に使用しているプログラムの本数、未使用数、重複数などを割り出し、文書化し再整備していく。
「度重なる改修により肥大化、複雑化し、開発当時の担当者のリタイヤによりブラックボックス化が進むシステムでは、実際に稼働しているプログラムがどのくらいあるか、そのなかで重複している部分はないかを調べるのにとても苦労します。仕様書などのドキュメントに最新の開発変更履歴が反映されていないことが多々あり、システム部門の方も、どこから手をつければよいのかわからないというのが実情です。このようにレガシー化したホスト系システムのドキュメントは、オープン系システム開発経験者にもわかるようなかたちで出力し再整備していきますので、棚卸だけでもかなり喜ばれます」(中本氏)
次の日本語データ・ディクショナリー整備とは、定義やドキュメントからデータ項目などを洗い出し、規則に則って辞書として整備していく作業だ。整備するのは、データ項目名、ファイル名、テーブル名、プログラム名、画面名、帳票名、ジョブ名など。データ項目に不足や同義語がある場合、追加・修正を行い、精度を上げる。こうしたデータ項目の整備は、データ活用では欠かせない取り組みとして知られる。精度が低く、ノイズが多ければ十分な結果に至らないため、特に注意して取り組む必要があるという。
プログラムの整構造化は、プログラムのソースコードを見やすく変換していく作業となる。コードがスパゲティ状態になる原因の1つにGOTO文があることが一般に知られている。手続き型言語では、業務処理が追加されるたびに、GOTO文を使ってサブルーチン化し、コードを拡張していく手法がよく用いられた。業務処理を追加した担当者が運用を継続できれば問題は少ないが、実際には、異動や退職で担当を外れてしまい、コードのメンテナンスに一貫性がなくなるケースがよく見られる。
整構造化では、こうした冗長化、複雑化したGOTO文の処理について、階層化や命令範囲の明確化、実行されない文の削除などを行って、わかりやすく整える。また、リマーク(コメントアウト)したデッドコードを無くして見やすくする。こうした作業の多くは整構造化ツールを使って自動的に行うことができるため、何万ステップという大規模なプログラムにも対応できるという。
「棚卸しただけで移行すると、スパゲティ状態のまま新しいシステムに移行してしまうことになります。整構造化は、こうしたスパゲティ状態を解消して修正し、プログラムを見やすくする意味もあります」(同氏)
最後のドキュメント整備は、資産棚卸、データ・ディクショナリー整備、整構造化で行った処理を、システム全体を把握するためのドキュメントとして出力するものだ。データベースやファイルのレイアウト、プログラムのCRUD図、テーブル定義、ER図、ジョブ構成図など11種類を出力する。
変化に柔軟に対応できるITを実現する
こうした4つの作業で構成する「レガシーシステム資産可視化」の効果について、中本氏はこう話す。
「資産棚卸や可視化というと、現状のシステム状況をわかりやすく表示したものというイメージをもたれるかもしれません。しかし実際にモダナイゼーションでは、移行に必要な資産を可視化し、仕分けるために行う作業です。リドキュメントやリファクターという手法を使って可視化することで、属人性が排除され、日本語化、標準化が進みます。また、移行後の保守の自動化、効率化がもたらされます。
特に大きな効果は、実際にマイグレーションやモダナイゼーションを進めたときに現れます。新システムへの移行後に、運用保守の視点で見通しが良くなり、システムの問題点を改善しやすくなります。ロジックや業務の変更に合わせて、システムを柔軟に改善していくことができるようになるのです」(中本氏)
レガシーシステムのマイグレーションと言うと、負の遺産を整理するといった発想になりがちだ。実際、それほど重要ではないシステムを削除することでITコストを削減することはできる。だが、レガシーシステムの多くは、多くの叡智を結集し、多額の費用を投入して構築されてきたものだ。その意味では、企業の業務ノウハウがつまった資産であり、デジタルビジネスに向けて貴重なデータ資産ということができる。
そのため、単なるマイグレーションではなく、資産を活用するためのモダナイゼーションという発想が重要になる。ITコストを削減しながら、新しいビジネスに向けて、いかに既存資産を最適化していくかが問われていると言っていい。
「モダナイゼーションに向けたレガシーシステム資産可視化はそのためのサービスです。ブラックボックス化の進むレガシーシステムをホワイトボックス化し、刷新後のシステム運用管理の最適化につなげてほしい。それによって、市場の変化に柔軟に対応できるITを実現していってほしいと思っています」と中本氏は話を締めくくった。
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