クリスマスを目前に控え、彼女との素敵な夜を過ごしたいと思ってはいるものの、洒落たレストランもよく知らない。それならば、自宅でまったりとしながら、彼女とおいしいワインを飲むのも悪くはないだろう。でも、せっかくなら、ワインをよりいっそうおいしく楽しみたい。それに、自宅飲みはグラスなどのテーブルウェアにもこだわることで、ワインを日常的に嗜むイケてる男子をアピールする絶好のチャンスだ。そこで今回は、シニアワインアドバイザー資格を持ち、メルシャン生産・SCM本部生産統括部の田村隆幸氏にワインをおいしく飲むためのポイントを聞いてきた。

メルシャンオフィスがある、キリングループの受付

ワインに最適なグラスって何?

メルシャン生産・SCM本部生産統括部の田村隆幸氏

ワインを自宅で飲むにあたって、まずは気になるのは"グラス選び"だろう。お店で飲むちょっといいワインは、ボルドーやブルゴーニュなど種類に合わせた高級ブランドのグラスに注がれることが多いが、家庭でこれらをそろえるのはなかなか難しい。しかし、田村氏によると、大切なのは開栓したワインと空気をしっかり触れ合せることのようである。

「ワインというのは、酸化防止や保存性を高めるために亜硫酸塩が入っていて、未開栓のボトルの中は還元状態になっており、ワインが閉じています。ですから、グラスに注いだ直後はワインがまだ完全に開いていない状態なんです。そのため、酸素を適度に溶け込ませると、香りが立ち、味わいもまろやかになっておいしくなります。ワイングラスとは、酸素を効果的に触れさせるために、形状が最適化された道具ですが、うまく空気に触れさせることができれば、グラスにこだわる必要はないんです」(田村氏)

なんと! ワイングラスが大事だ! と思っていたら、そうではないとのこと。これは目から鱗だ。

やっぱり「通は」回すのか? 何故?

ワインと言えば、注いだグラスを数回軽く回すおなじみの所作が目に浮かぶ。実は、この動作は“スワリング”と言い、ワインを酸素に触れ合せるのが本来の目的らしい。他にもデキャンタにワインを移し替えて酸素と接触させるなど、その方法はワイングラスを回すことだけではないらしい!

そして、田村氏によると、基本的にワイングラスは”回せば回すほど酸素が溶け込む”とのこと。「ただし、やり過ぎは禁物。酸素が過剰になると、酸化が起こってしまい風味が損なわれてしまいます。一口飲んでみて"硬いな"と思ったら、ちょうどよくなるまで数回まわしてみてください」とアドバイスを受けた。なるほどー、ソムリエが華麗にグラスを回した後で、一瞬考えたような表情をしているのはワインの硬さを見ていたのか! これはイケメンポイント高そうだぞ!

ちなみに、ボトルを1本開けると、そのまま放置していても2時間ほどで自然に酸素が溶け込んでいくそうだ。そこで「香りが次第に開いてワインの味わいが変化していく様子を2時間くらいかけて楽しむのがベスト」というのが田村氏のオススメの飲み方。ワインをおいしく楽しむには、ペースも重要なようである。

一方、ワインと酸素をうまくなじませることさえできれば、グラスはそれほど気にしなくても大丈夫と田村氏に教わったが、こだわりたい場合に押さえるべきポイントは次のとおり解説してくれた。

「上にボールがあり、下にステム(脚)がついているというのが基本。ステムは、手の温度をワインに伝えないようにするためのものです。ボール(グラス)の口が上に広がっているものよりは閉じた形のほうが、閉じ込められた香りを楽しむことができますし、グラスを回す際にもワインがこぼれにくいというメリットもあります。唇が直接触れるグラスは薄いほうがおいしく感じると言われています。また、透明度の高いグラスのほうが視覚的な効果によってもおいしく感じると思います」

しかし、実践してみると、スマートにワイングラスを回す田村氏のようにはいかない。田村氏曰く、ポイントは「できるだけ水平に保つこと。空気と接触する表面積をできるだけ大きくすることが重要ですが、グラスを傾け過ぎるとワインがこぼれてしまって、速く回せません」とのことだった。

確かに、グラスをあまりに速く回してしまうと、遠心力が働いて、ワインが勢いよく外に飛び出そうになってしまう。でも、グラスをテーブルの上から離さずに回せば水平性が保たれて縦方向へのブレがなく、うまくいく。このテクニックも使えるぞ!

シミュレーションで試してみた!

というわけで、田村氏によるワインをおいしく飲むためのアドバイスは、"いかにしてワインを空気に触れさせるか?" にかかっているとわかった。しかし、グラスを回すことで本当にワインに空気を溶け込ませることができているのか? さらに、グラスの種類による違いはあるのだろうか? と素朴な疑問が湧いてきた。そこで、グラス形状の違いにより、回転させた場合の酸素の含有量や変化に違いがあるのかを確かめるべく、汎用熱流体解析ソフト「ANSYS Fluent」を展開している、アンシス・ジャパンに協力をお願いすることにした。早速同社を訪れ、解析ソフトを用いてシミュレーションしてもらおう。

アンシス・ジャパンの受付にはクリスマスツリーが!! テンション上がるね!

検証で想定したグラスは、宴会などのイベントでよく使われる紙コップ(グラスA)、100均で買った小ぶりのワイングラス(グラスB)、専用高級ワイングラス(グラスC)の3種類。それぞれ高さは、8.6センチ、16センチ、21センチである。

そして、これらに100ccのワインを注いで1秒間に2回転の速度でそれぞれ同じように回した場合の酸素の溶け具合のシミュレーションを実施。なお、計算の際、アルコール度数15%のワインを想定して物性を定義した。

その結果、4回転後のワイン中の酸素量はグラスCが最も高かった。このグラスを基準に100%とした場合に、グラスAは61.4%、グラスBは79.1%の酸素量となった。

一方、5回連続回転させた場合のシミュレーション結果は、グラスAが81.7%、グラスBが103%、グラスCが132%。6回連続回転させると、グラスAは104%、グラスBは126.4%、グラスCは158.4%。この結果から、回転をグラスBは1回、グラスAは2回増やすと、ともにグラスCを4回転させた場合の酸素量と等しくなることがわかった。

グラスの回転数と酸素の溶け具合を解析したグラフ

また、グラス内の位置で酸素濃度を示したシミュレーション結果では、グラスAはグラス内の場所によって酸素濃度に偏りがあることも判明した。グラスを回転させるにつれて、ワインが空気と触れる上側の表面部分は酸素濃度が高くなっていくが、その下の部分では酸素があまり混ざらずに濃度が低いままだ。

グラスA:赤い部分が酸素濃度の高い箇所

これに比べ、グラスBとグラスCは両端から酸素濃度が高くなっていき、最終的に酸素濃度の高い部分が合流して全体的に広がっていく感じだ。特にグラスCのほうがムラなく酸素が混ざっていくのがわかる。

(左)グラスB、(右)グラスC:グラスAに比較し、酸素濃度の広がりが大きい

おいしいワインに最適な器は?

以上のことから、田村氏に教えてもらったワインをおいしくする秘訣は流体力学的にも間違っていないと納得できた。また、専用のワイングラスというのは、見た目や雰囲気だけでなく、ワインをよりおいしくするための理に適った形状になっているのだと理解した。

要するに重要なのは、高級なワイングラスでも紙コップでも安価なグラスでも、空気をうまくなじませることだ。ただし、今回の解析結果が示したとおり、専用のワイングラスでない場合は、空気と触れ合わせるためにより労力が必要ということになる。ちょっとカッコつけておきたい彼女の前では、専用のワイングラスを用意したほうがうっかりワインをこぼして無様な醜態をさらすリスクを抑えられそうだが、ワインそのもののおいしさに関してはこの法則に従えばいいのだ。この方法を覚えておけば、自宅でも高級ディナーに負けないおいしいワインを楽しめる。つまりワイン好きなあの子なら、喜ぶこと間違いなし! と思ったところで、新たな問題。よく考えたら、一緒にワインを飲める彼女がいないぞ。アンシス・ジャパンさん、彼女をみつける方法を解析してください!! え、無理……。そうですか……。

彼女をみつける方法は無理だけど・・・こんなことなら得意です。

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