ニフティが2014年10月1日より提供開始した、「ニフティクラウド」の新サーバータイプ「Type-e」。これまで2回(下記参照)に渡って、その概要と注目点について紹介してきたが、第3回となる本稿では「現役エンジニアが試す」ということで、前回までの内容を踏まえ、実際にこの新しいサーバータイプのパフォーマンスを試し、その使い方について考えてみる。Type-eの活用は運用コストの削減にもストレートに関係するので、エンジニアとしてはぜひともチェックしておきたい。

【クラウド新潮流】

エンジニア目線でのニフティクラウドのイメージと、Type-eの概要

ニフティクラウドの特徴は、なんといってもその使いやすさと高い稼働率、それにCPU性能の高さにあると認識している。しかし逆にいうと、CPU性能が高すぎてその性能を持て余しているケースもあるといえる。Type-eは、このCPU性能の高さと価格の低さを両立させるための、新しいサーバータイプとなっているようだ。

Type-eはニフティクラウド従来のサーバータイプ「Type-h」と同じハードウェア構成で、かつ、Type-hに比べCPU性能の上限値を抑えたタイプとされている。従来からニフティクラウドで評価されている部分(使いやすさや品質など)は変えずに、性能のみを押さえたというのは、ユーザー目線からすれば非常にわかりやすく、ポイントも高い。Type-eの価格はType-h比で50%~70%ほど抑えられており、海外のクラウドサービスと比較してもそん色ないため、ぜひ活用を検討したい。

ニフティクラウドでは、Type-eとType-hの切替が柔軟に行えるので、システムの繁忙期にはType-hの高いスペックを設定し、閑散期にはType-eのもっとも廉価な構成に変更するといった運用も簡単にできる。クラウドサービスは利用をはじめるのは簡単だが、月々一定の運用コストが発生するのもまた事実。利用方法を可能な限り最適化して、運用コストに無駄をなくすのが、上手なクラウドサービスの活用方法だ。

本記事では、実際にType-eとType-hの性能を計測し、どの程度の差があるのか紹介しようと思う。ニフティクラウド活用の資料としてもらえれば幸いだ。

ニフティクラウドにサーバー構築 -ゾーンの選択に注意

まずは構築までのスムーズさと、そこにおける留意点を確認していこう。ニフティクラウドの利用を開始すると、最初にリージョンとゾーンの設定を求められる。ここでひとつ注意が必要だ。新しく提供が開始されたType-eが使用できるゾーンは、今のところ東日本リージョンのeast-14、east-21に限られている。西日本リージョンのwest-11でもType-eの提供は予定されているということだが、Type-eの利用を前提に構築を行う場合、現状ではサーバー作成のゾーンは注意して選択する必要があるわけだ。一見複雑そうではあるが、リージョン/ゾーンとサービスの関係が「ニフティクラウド ゾーン別機能対応表」にまとまっているので、利用する前に一度チェックしておきたい。

ニフティクラウドダッシュボード

ニフティクラウド ゾーン別機能対応表

サーバーの新規作成手順

サーバーの新規作成では特に迷うことはないだろう。ダッシュボートからサーバーを選択して「サーバー作成」をクリックすれば、モーダルダイアログが起動する。値を入力して次へ進めば、数分でサーバーの作成は完了する。実際に筆者が試したときには、約3分で作業が完了した。このあたりは別稿「【コラム】現役エンジニアが本音で試すニフティクラウド」で詳しく説明しているので、サーバー作成方法がわからない場合には、そちらを参考にしていただければと思う。

これだけ少ないステップで作成できる

別稿「【コラム】現役エンジニアが本音で試すニフティクラウド」でも記載しているとおり、非常にスムーズにサーバーを作成することができ、立ち上げで詰まる箇所はない。なお、ニフティクラウドのサービスが始まった当初は、利用できるオペレーティングシステムが限られていたが、現在ではカスタマイズ版として、さまざまなオペレーティングシステムが利用できるようになった点も注目されている。特にエッジサーバーとして人気があるFreeBSDが選択できるようになった点は、エンジニアとしてはうれしいところだ。

性能計測! Type-eとType-hの実測値やいかに

ここではType-eとType-hにどのくらいの差があるのか確かめるために、両タイプのベンチマークを取得してみた。今回は最も廉価に利用できるスペック「mini」と、そのType-e版である「e-mini」のサーバーを作成。オペレーティングシステムとしてFreeBSD 10.0-RELEASEをインストールし、unixbenchをインストールして性能を計測した。

結果はType-hのインデックスが357.9、Type-eのインデックスが180.9であった。この計測から、Type-eの性能はType-hのほぼ半分まで抑えられていることがわかる。

Type-eへの変更前に、システムの負荷を計測する

上記のテストから、Type-eの性能はType-hのほぼ半分になることがわかった。価格面でもType-eはType-hの約半分以下に設定されているため、性能がネックにならないシステムの場合は、ぜひともこちらを選択したいところである。

ただし、選択を間違えると運用に支障を来たすことになりかねないので、変更は慎重に進めたい。まずは運用しているシステムの負荷状態をモニタリングして、問題がないことを確認した上でType-eへ切替えるというのは欠かせないフローだ。

システム負荷のモニタリング方法はいくつもあるが、UNIX系のオペレーティングシステムを使っているなら、top(1)コマンドを使う方法が簡単だろう。top(1)コマンドには出力をダンプするための-dというオプションがある。このオプションを指定して(たとえば-d 2といった指定)、ロードアベレージとCPUの負荷データを取ってみよう。1分置きに取得するようにcron(8)に仕込んで、1週間の負荷状態がどのようになっているか、グラフ化するといいだろう。

top(1)でシステムの負荷状態をモニタリングし、適切なスペックを検討する

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ロードアベレージが常に1以下であるような運用であれば、Type-hからType-eへ切り替えたほうがいいだろう。逆に、ロードアベレージが常に1以上で、プロセッサの負荷も常に100%に近い状態にあるのなら、それはリソースが足りていないことになるので、Type-hでさらにリソースの豊富なサーバーへ切り替えたほうがよいといえる。

参考までに他サービスと比較すると

Type-eの登場でより使いやすくなったニフティクラウドだが、パフォーマンスにはもともと定評があった。そこで参考までに、Type-e、Type-hと他のクラウドサービスとのUnixBenchのベンチマーク結果を比較してみた。

今回、比較したのは、国内のクラウドサービス事業者として著名なA社と海外PaaS事業者として定評のあるB社の2つ。できるだけ同じ環境で比較するために、1vCPU(1コア)/1GBメモリ、OSとしてUbuntu 12.04LTSを選択した。ニフティの場合は「small (1vCPU/1GBメモリ)」と「e-small(1vCPU/1GBメモリ)」、A社の場合は「仮想1コア/メモリ1GB」、B社の場合は「標準 A1(1コア、1.75GBメモリ)」となる。

結果は、Type-hのスコアが「2139.6」でType-eが「1087.5」のところ、A社が「1623.0」、B社が「1032.2」となった。Type-eはType-hの約半分の性能に抑えられていたが、廉価版のe-smallであってもB社の標準(Standard)と同等ということになるわけだ。ちなみにType-hの場合、A社とは約1.3倍、B社とは約2倍の差が計測され、Type-hの性能はやはり抜群によいことがわかる。

Type-hの性能が抜きん出ていることが分かる

費用対効果の高いクラウド活用へ

オンプレミスでサーバーを運用するというスタイルから、クラウドのサービスを組み合わせて、必要なときに必要なサービスを必要なだけ利用するという使い方へのシフトが本格的に始まっている。特にこれまでのエッジサーバーに求められていた領域では、その傾向が顕著だ。

この場合の課題は運用コストと性能・品質のバランスをいかにとるかにある。その観点で、直感的で扱いやすいと定評のあるニフティクラウドに、品質やサポートなど従来のよい部分はそのままに運用コストを抑えられる、Type-eが登場したのは朗報だといえよう。すべては検証できなかったが、低価格帯のType-eであっても他社の標準タイプに引けを取らない性能だと考えておけばよさそうだ。実に理想的なバランスだと言えるだろう。

今後は、間違いなくクラウドとうまく付き合っていかなければならない。適切なサービスを選択して、費用対効果の高い運用を実現するために、ニフティクラウドは筆頭の選択肢になるだろう。

(マイナビニュース広告企画)

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