英語コミュニケーション力はOPIcテストでどう測る?
国内でNECラーニングが2013年4月より提供を開始した英語スピーキングテスト「OPIc」は、コンピュータとインターネットを使って手軽に受験できるテストでありながら、“英語コミュニケーション力”を正確に測ることができる。いったい、どのようなテストなのだろうか。
今回は、東京でフリーランスの翻訳家である坂本よしえ(仮名)さんに、実際にテストを受けてもらい、レビューしていただくことにした。坂本さんは、海外のIT関連記事の翻訳を得意としているが、現在はある外資系企業に常駐し、内部資料を翻訳する業務に就いている。学生時代に英国の大学院を修了するなど英会話にも堪能で、最近では通訳の学校に通うなどしてキャリアアップを目指している。
試験の直前、坂本さんは「通訳の勉強を介して実感しているのですが、フランクな会話ならともかく、英語でしっかりとしたコミュニケーションを取るのは、思ったよりも難しいことです。私もまだ勉強中なので、ちょっと緊張しますね」と語った。
なお、本文では例えとして設問の内容をいくつか記述しているが、あくまでもイメージであり、実際の質問として登場するものではない。その点はご留意いただきたい。
ホンモノのコミュニケーション力を評価する英語スピーキングテスト「OPIc」
個別のブースで「Ava」との会話に集中しよう
今回の試験は、JR山手線の田町駅のすぐそば、NECラーニングのOPIcテストセンターで行われた。試験の申し込みはすべてWebサイト上で行える。受験票もメールで受け取れるので非常に簡単だ。 会場には、プリントアウトした受験票と本人確認証明書を持参する。筆記用具は使わない。本人確認証明書は、免許証のように顔写真付きのものが望ましい。写真付きでない場合は、健康保険証や住民基本台帳カードなど、“複数”枚用意する必要がある。
試験会場には、開始の20分から5分前までに着席するが、入り口で運営スタッフによる本人確認があるため、ちょっと早めのほうがよいだろう。参考書の持ち込みなどはできないので、リラックスすることに専念しよう。
各受験者の席には、ノートパソコンとマウス、それとヘッドセットが置かれている。前面と左右は仕切りで覆われ、試験に集中できるようになっている。なおデスクには、身分証明書を提示しておき、ほかのものは置いてはいけない。
試験前には20分のオリエンテーションがあり、試験の注意点やパソコンの操作方法などを細かく教えてくれる。
最初の説明や機器の確認が終わると、「バックグラウンドサーベイ」が行われる。これは、できるだけ受験者に関わる設問を選択し、内容的にまったく知らないことを問われて回答できないということを避けて、正確なレベル判定を行うための措置だ。 「仕事をしているか、どこに住んでいるか、休みの日は何をしているか、趣味や感心事は何か、どんなスポーツを楽しむかといったことに回答しました。興味については全部で12個以上選択する必要がありましたが、設問として選ばれなかったものもあります」
次に、セルフアセスメントを行い、回答例を聞きながら自身の英語レベルを自己判断する。坂本さんは6段階のうち、上から2番目を選んだ。なおこのレベルは、試験途中で1回だけ変更するチャンスがある。
英語で40分話し続けられるのか?
続けて、テストの操作をサンプルで試し、ちょっとした練習をする。準備ができたら、試験官の合図で40分のテストが始まる。 試験では、40分間のうちに12問~15問の設問に回答する。すべて答えなくてもよく、途中で時間がなくなってしまっても、そこまで話した内容で評価されるという。逆に40分もたず、早く試験を終えてしまっても同様だ。
「私は15問の設問に回答しましたが、さまざまなことを聞かれました。主に『仕事のこと』『映画のこと』『あなたの国(日本)のこと』などですね。『あるシチュエーションで、あなたならどう答えますか?』というような質問もありました。どれも、一言二言で回答できるようなものではありません。設問自体が長い場合もあり、何問かは聞き直してしまいました」
各設問では、画面の女性キャラクター「Ava」が受験者に質問をするが、再度聞き返せるのは1回まで。聞くこともコミュニケーション力の1つであるからだ。今回、坂本さんは、コミュニケーション力ということを念頭に、会話をするように回答してみたという。
「最初の設問で自己紹介をするのですが、できるだけ長く話してみました。自分のことですから色々話せますし、舌をなめらかにしておこうかなって思って。これはうまくいったようです」
大好きな映画について答えるときには、5分以上も会話を続けていた坂本さん。「Ava」におすすめの俳優を教えてあげたそうだ。
「設問を続けているうちに、ほんとうに「Ava」と会話しているような気持ちになりました。バックグラウンドサーベイのおかげか、何も話せないという設問はありませんでした」
坂本さんが15問の設問に答え終わったのは37分過ぎ。40分のテスト時間をほぼ使いきった。
「今回は私だけが最後まで残っていたので、時間を使いすぎているのかなと思いました。ただ、会場のモニターに経過時間を映してくれていたので、安心して会話を続けることができました」
結果は上々自己評価とバッチリ一致
試験の結果は、1週間後にNECラーニングのWebサイトで確認することができる。坂本さんの結果は「Intermediate HIGH」。OIPc7レベルの上から2番目の成績だった。
ACTFLの認定証もWebブラウザからプリントアウトできる。2枚目には、認定レベルに応じて、どのような英語コミュニケーション力があるのか、今後どのようなところを強化していくべきかといったことを日本語で解説してくれている。
「英語コミュニケーション力を鍛えようと思っても、明確な勉強方法がないというのが難しいところです。そのため、今後の勉強の方向性も示唆されているのがいいですね。通訳の勉強でも参考にできそうです」
最後に坂本さんは、OPIcテストをとても楽しめたとあらためて強調しつつ、試験会場での注意点を教えてくれた。
「すごく長くしゃべってハッスルしたのか、試験後は少しボーっとしてしまいました。おかげでデスクに提示していた免許証を忘れてしまいまして…。受験をされる皆さんは、よく注意してくださいね!」