マウスコンピューターの高性能デスクトップPCといえば「MDV ADVANCE」シリーズだが、インテルから"Ivy Bridge"世代の最新Core i7が登場したのにあわせて、従来よりも一層使いやすい新デザインのケースを採用した「MDV-AGZ8010S」が発売されている。今回、その実機を試用する機会を得たので、使い勝手とパフォーマンスを詳しく検証してみよう。

新設計のケースを採用した「MDV-AGZ8010S」

最新CPUと余裕の拡張性をリーズナブルな価格にパッケージ

マウスコンピューターの最上位シリーズと聞くと、「価格が高くて手が出せないのではないか」「自分の部屋に置くと目立ちすぎるのではないか」と思うユーザーもいるかもしれない。しかし、MDV-AGZ8010Sは10万円を切るリーズナブルな価格に設定されている。また本体もいわゆるゲーミングPCのような派手なものではなく、オフィスに設置しても違和感のないシンプルで飽きの来ない印象のものになっている。

今回紹介するMDV-AGZ8010Sは、CPUはコードネーム"Ivy Bridge"で呼ばれる最新世代のCore i7、しかもその最上位に位置するCore i7-3770Kを搭載。動作周波数3.50GHz、ターボ・ブースト機能利用時最大3.90GHzのクアッドコアプロセッサだが、以前の"Sandy Bridge"世代における同じ周波数のモデル・Core i7-2700Kに比べて省電力になっており、熱設計の指標となるTDPの値も従来の95Wから77Wへと下げられている。

そして、今回の新機種でぜひ注目したいのは、「MDV ADVANCE」シリーズで定評のあったミドルタワーケースが新デザインを採用し、使い勝手をさらにアップしたことだ。早速サイドパネルを開けて中をのぞいてみると、従来の同社製品を含む、多くのデスクトップPCで最上部に取り付けられている電源ユニットが、逆に最下部へと移動していることがわかる。電源はケース内で最も体積が大きく重いパーツなので、安定性の向上を図るためこのような配置にしたということだ。また、ケースファンと電源ファンが、それぞれ筐体の背面最上部、最下部に位置する格好となるため、ケース内の空気が隅に滞留することなく、暖気を効率良く排気できるようにしている。

本体左側のサイドパネルを開けたところ 電源ユニットが底面に移動し、安定性を向上

また、ケースの外側に関しては、従来背面のみだったUSB 3.0ポートが前面×2、背面×2の合計4ポートとなり、外付けHDD等を接続するときにもケースの後ろへ回り込む必要がなくなった。さらにSD/メモリースティック対応のカードリーダーをフロント部に標準装備しているが、これは3.5インチベイではなく専用スペースへの搭載となっているため、カードリーダー装着のためにベイの数が減るということはなく、複数のベイアクセサリーを搭載するユーザーにもやさしい仕様だ。

ケース前面の専用スペースにUSB 3.0ポートとカードスロットを搭載

そのほか、背面にはスリット付きのキャップでカバーされたスルーホールが設けられており、マザーボードや拡張スロット上のピンヘッダなどから、ケース外部へとケーブルを引き出すことも可能。また細かいところでは、電源ボタンがケース前面から上面隅へと移されており、机の下に本体を設置した場合でも、手の届きやすいボタン配置となった。

上下に排気ファン、中央に拡張スロットという配置になった背面パネル。ラバー製の黒いキャップの部分がスルーホールになっている 床置きの場合にも手が届きやすい電源ボタン

そして、大型のグラフィックスカードも確実に支えるVGAサポートバー、3.5インチベイへワンタッチでドライブを装着できるHDDホルダの採用は、従来から継続。高負荷時も安定した動作が可能で、メンテナンスやパーツの増設を容易に行える作業性の高さは、これまで通りとなっている。

グラフィックスカードを支えるVGAサポートバー ワンタッチでドライブを装着できるHDDホルダ(出荷時搭載のHDDはビス止め)
フロント部の左端とサイドパネルに吸気用のエアホールを設け、ドライブやグラフィックスカードなどを効果的に冷却

豊富なBTOオプションで動画からゲームまであらゆる用途に対応

柔軟なカスタマイズが可能なことが特徴のマウスコンピューター製品の中でも、この「MDV ADVANCE」シリーズは特に豊富なBTOオプションが用意されている。標準ではグラフィックスカードとしてGeForce GTX 560を搭載しており、これでも中程度の負荷のゲームまでなら、フルHD解像度でも十分快適なプレイが可能だが、よりヘビーな最新の重量級タイトルをプレイしたいというユーザーには同GTX 570、GTX 580も用意されている。また、業務用グラフィックスカードのQuadro 2000Dを選択することも可能で、3DCG制作やCADといったプロフェッショナル用途にも対応する。

ストレージの種類も非常に幅広い選択肢が提供されており、HDDは3TBまでの各種容量を最大2台、SSDはインテル520、ADATA S511、ADATA SX900の各種容量を取りそろえている。SSDは2台をRAID 0構成で搭載することも可能で、60GB×2台の場合、標準構成からの価格アップはわずか15,960円に抑えられている。自作PCのハイエンドユーザーの間では、今やSSD+HDDのデュアルストレージはなかば常識であり、SSD RAIDもメジャーな楽しみ方になりつつある。しかし、確実な動作が保証されセットアップの手間もないメーカー製PCでも、同様に柔軟なストレージ構成が可能なのはうれしいところだ。

そのほか、メモリは標準で8GB(4GB×2)を搭載し、オプションで16GB(4GB×4)、32GB(8GB×4)を選択することも可能。さらに見逃せないのが、標準で80PLUS GOLD認証を取得した700W電源が用意されている点だ。80PLUS GOLDは低負荷時においても高い変換効率が得られることの証明であるので、たとえ搭載パーツが少ないユーザーでもメリットはあるといえるだろう。