あなたも「自分だけは大丈夫」だと、思っていたら大間違いです

昨今、インターネットを利用した犯罪が猛威を振るっているのは、みなご承知のことだろう。海外では、本物そっくりに作られた銀行のオンラインバンキングのページを通じて多額の金銭被害が発生した事例も。また、「なう」でお馴染みのマイクロブログサービスの偽ログイン画面にてIDやパスワードを“抜かれて”しまい、悪用されたといったケースもニュースとしてご存知の方も多いことだろう。 そういった“脅威・リスクに晒されている”という背景から、“セキュリティ対策は行って当たり前”という機運が高まってきてはいるものの、被害自体は年々増加している背景にあるものは、いったい何なのか。 そこにあるのは、「俺は知識もあるし気を付けてるから引っ掛からないよ」といった慢心なのかも知れない。

アンケート調査によって炙り出されたこととは?

今年2月にマイナビニュースで行われた「インターネット利用上のリスク意識に関するアンケート」調査によれば、96%近くの方々がプライベートでインターネットを活用しており、パソコンはもちろん近年躍進目覚ましいスマートフォンやタブレットデバイスでの利用も増えてきている。

昨今の時流の流れか、パソコン以外でもスマートフォンやタブレットを併せて使うユーザーが多い。また、少数ながらもモバイル機器で長時間に及ぶインターネットの利用もみられる

では、実際にどのようなシーンでインターネットを活用しているのだろうか。アンケートの結果によれば、オンラインショッピング(72.7%)や動画投稿サイトの閲覧(65.4%)、オンラインバンキング(37.7%)が上位を占めた。気に入った商品を探しワンクリックで購入できるオンラインショッピングは非常に便利だが、ここで気になるのは決済方法についてだ。約70%の回答者がクレジットカードでの支払いを選択しており、銀行振替やコンビニ支払といった方法を大きく上回っていることがわかる。かく言う筆者も、オンラインショッピングを利用する際にはクレジットカードによる決済を好んで選択している。わざわざ銀行窓口やATM等へ足を運ぶ必要が無いという利便性の良さが、そもそもオンラインショッピングの魅力でもあると感じているからだろう。一部の回答者は「金銭の支払いはしない」と答えているが、グラフを見れば一目瞭然。少数派であることがうかがえる。

利用者の大多数がオンラインショッピングを利用しており、その決済にはクレジットカードを利用するとの調査結果が

危険性が増してきているが被害には遭わないだろうというユーザー心理

さて、オンラインショッピングなどを利用し、決済についてはクレジットカードを利用するユーザーが多いなか、昨今猛威を振るっている「インターネット詐欺が急増している事を知っていますか?」という問いに対して気になる解答が得られた。インターネット詐欺について“知っている”と答えたのは回答者の約77%と高い数値でリスクについての知識を持っているようだ。また、多数のユーザーがインターネット詐欺について認知しているなか、対するインターネット詐欺への意識については“自分は引っ掛からないと思う(危険には近寄らない)”と答えたユーザーが37.7%、“自分は引っ掛からないと思う(見分けられる)”と答えたユーザーが18.0%と、約半数が自分は引っ掛からないと思っている。 みな、悪意ある者たちによる脅威は感じながらも、その脅威と自分自身は無縁。少なくとも自分自身で脅威から身を守ることができると考えている。この結果が意味すること、現していることは非常に興味深い。もちろん、ユーザーが何らかのセキュリティ対策ソフトを導入しているため、そのような意識へと帰結するのかもしれない。しかし、被害に遭わない“だろう”では済まされない現実もあるのだ。

インターネット詐欺に対する意識調査では、インターネットを利用した詐欺行為の認知度は高いものの、自分は引っ掛からないという、やや自信過剰な面も。こういった「自分は大丈夫」という思いが危険を招くこともあるのだ

ごく僅かではあるが実際にインターネット詐欺に遭遇した人も

今回アンケート調査に協力してくれたユーザーのなかに、約5%のユーザーが実際にワンクリック詐欺やフィッシングなどのインターネット詐欺に遭遇し被害を受けたと答えている。どのような被害だったかを聞いたところ、最も多かったのは「法外な金額の請求(画面表示)」だった。これは、アダルトサイトなどでよく見られる手法(ワンクリック詐欺)で、ボタンをクリックしてしまうと何やら自分のIPだの個人情報だのを特定しました! と言わんばかりの表示が成された後に所定の口座に法外な金額を振り込ませるよう仕向けるもの。こういった「何もアクションを起こさず無視する」という対処方法で済むものだけであれば“自分は引っ掛からない”と言えるだけの自信が持てるかもしれないが、ごく少数、IDやパスワードを盗用され金銭被害が発生した、と解答したユーザーも存在した。

実際に詐欺行為に遭遇したユーザーが居るのか調査したところ、300名中15名が被害に遭ったとのこと。被害のなかでもっとも多かったのが法外な請求を表示するタイプのもの。数は少ないがもっとリスクの高いID・パスワードの盗用に遭うというケースも

また、被害に遭った際にセキュリティソフトを導入していたかについて問うたところ、パソコンに対しては約8割が対策を講じていたなか、スマートフォンやタブレット端末に対しては約半数が導入していなかったという結果が導き出された。 驚くべき事だが、実際にインターネット詐欺に遭ったユーザーのなかで多数がセキュリティ対策を講じているにも関わらず被害に遭っているということ。悪意ある者たちの技術革新のスピードは目覚ましく、つねにイタチごっこの様相を呈しているというのが実情なのだ。

インターネット詐欺被害に遭ったユーザーの多くはセキュリティ対策を講じていた。にもかかわらず被害に遭ってしまったのは、悪意ある者たちの手法が日々進化し、網の目をかいくぐっている現実がうかがえる