最新パーツを組み込んだPCをいち早く手に入れられると評判のBTOメーカー「ストーム」。幅広いカスタマイズを実現しながら、最短3営業日というスピーディーな出荷体制を組んでいる。それを可能にしているのが、神奈川県相模原市にあるストームの工場だ。今回はパーツの管理から組み立て、チェックまで、職人たちがこだわりをもってスピーディーに対応する工場現場を見学させていただいた。
BTOメーカーのストームといえば、CPUクーラーひとつにしても20種類以上の選択肢が用意されるほど、パーツのカスタマイズが充実しているのが大きな特徴だ。PCケースは機種によって70種類以上もの選択肢があり、ユーザーは徹底的にこだわり抜いたスペックのPCを注文できるようになっている。最新パーツや人気のパーツを、他のBTOメーカーと比べてもいち早く取り入れている点がストームの魅力だ。
アイティーシーでストームを担当する下村 雅紀氏によると、
下村氏「お客様からご要望をいただければ、BTOメニューの選択肢に入っていないパーツであっても、組み込むことがあります。購入前にお客様からいただいたご相談には、可能な限りお応えできる体制にしていて、チェックして問題なければ出荷しています。組み込んで相性などのトラブルが見つかったら、お客様と相談してパーツを交換していく流れになります。」
と柔軟に対応している。第1回のインタビューでも触れたように、ストームの運営会社であるアイティーシーは、メモリを中心とした工業製品の商社だ。商社としての仕入れに強みを持つ利点が、ここにも活かされている。さらに、特定用途にカスタマイズ可能なWindows XP Embeddedのライセンスを数百もストックしており、FAや組み込み系など法人の細かなニーズに即対応できる。
これほどの充実ぶりから、工場はさぞかし大きいのだろうと思うかもしれないが、実際には効率化が徹底されており、組み立てスタッフは基本5人という。ただし倉庫を含めた面積は230平方メートルと大きく、さまざまなPCパーツが大量に詰まれている様子は、まさに圧巻だった。
さらに、ほかの会社と共用にはなっているが、652.5平方メートルのライン生産が可能な工場も敷地内にあり、法人による大量発注にも臨機応変に対応できる準備が常に整えられている。では、さっそく出荷までの流れを紹介していこう。
出荷までの流れ
(1)オーダー表を受ける
まずは本社から送られてくるオーダー表を受け取ることからスタートする。お客様から注文を受け、支払いが済んだものが工場に送られてくるという。なおストームでは銀行振り込み、代引き、クレジットカード、ショッピングクレジットと3種類の支払い方法が用意されている。
(2)パーツのピックアップ
続いてオーダー表に基づいて、CPUやメモリ、HDDといったパーツをピックアップする。BTOメニューに載せているパーツは、工場内にそのほとんどがストックされているという。BTOのメニューに載っているパーツは、基本的に自作で人気のあるものが中心だが、組み合わせによっては動作チェックで問題が発生することもあるという。
下村氏「最近では少なくなっていますが、ビデオカードと電源やマザーボードの組み合わせで相性が出て、うまく動作しないことがあります。ただ、MicronやSAMSUNGなど高品質のメモリを使えば相性の問題がおきにくくなる傾向はあります。購入後のパーツ拡張も考えると、高品質なメモリを最初から選んでおくと安心です。」
ストームでは、基本的にMicron製メモリを、BTOでSAMSUNG製のメモリも扱っているという。なお、CPUクーラーに関しては種類が豊富なこともあって、お客様から選択肢の幅を広げてほしいという要望を多数いただくそうだ。現在CPUクーラーでイチオシなのがZALMAN製の「CNPS9900MAX」。BTOメニューにZALMAN製のCPUクーラー搭載モデルを設けている。ユーザーからはCPUクーラーに対する要望のほか、ビデオカード、PCケース、マザーボードの変更が人気となっている。
BTOメーカーでは、マザーボードが固定されていることも多いが、ストームでは機種によって10種類以上のマザーボードを選択できる。低価格なものから、高機能なものまで、予算や目的に合わせて選べるのがうれしいところだ。ちなみに、法人から工業用のマザーボードなどニッチな指定があっても対応できるという。