マクロメディアを買収した後のアドビ システムズにて、Web制作ツールやFlash、Flex、AIRなどのRIA開発者向けのマーケティングに従事し、教育市場部を経て現在はDTP、電子出版、Web制作/開発ツール等のマーケティングを担当している西山氏に、CS 5.5のリリースの狙いと、その背景にある事情について話を伺った。
なお、詳細は、2011年7月29日に開催される『マイコミ スマートフォンアワード2011』における西山氏の講演「スマフォアプリ開発におけるAdobe CSシリーズの役割」で解説される予定である。無料で参加できるので、併せてご聴講いただきたい。
拡大するスマホ市場で、収益をだせるアプリ開発ツール
――CS5から1年しか経っていないのにCS 5.5をリリースした理由を教えてください
「その理由はスマートフォン市場の急成長にあります。今からちょうど1年ほど前の話なのですが、当時、MM総研によると2010年に販売されるスマートフォンの年間販売台数は、前年比2倍となる約440万台だと予測されていました」
――その時点でも1年で2倍ですから、凄まじい伸び方ですね
「ところがふたを開けてみると、2010年のスマートフォン販売台数は同総研によると予想を2倍近く上回る、約855万台でした」
――えっ!?
「さらに、2011年には年間販売が1,000万台を超えるとも言われています。昨年の予想がまったく当たらなかったことを考えると、さらに驚くべき台数になっている可能性もあります」
――まさにスマートフォン時代ですね。アプリも数え切れないくらい出ていますし
「そうなんです。この状況に対応すべくアプリを開発しようと思っても、昨今では、開発費が膨張している傾向があります。ちょっとしたものでも数百万円、開発規模によっては1,000万円以上かかることもあるようです。スマートフォン用アプリにビジネスチャンスがあるのは確かですが、リスクを考えると二の足を踏んでしまう開発者が多いのが現状です」
――きちんと収益が出せるアプリは一握りだと言われていますね
「我々アドビ システムズは、ツールでコンテンツ制作者の皆さんをお手伝いしたいと考えて、スマートフォン用アプリやコンテンツのオーサリングに特化した機能を加えた新バージョン、CS 5.5を緊急リリースしました。クオリティ面で支援するだけではなく、ROIの面も強化したバージョンアップになります」
HTML5にも強力に対応したCS 5.5の真価とは?
――モバイル向けの技術というとHTML5が注目されていますよね
「HTML5は、対応しているWebブラウザの普及率が低いこともあり、Webデザイナーさんが仕事で取り入れるには時期尚早と言われています。けれども、スマートフォン用Webサイトであれば、iOSもAndroidもWebブラウザがHTML5に対応しているので、思う存分HTML5の新機能をお使いいただけます」
――御社はHTML5よりもFlash技術を推されているのでは?
「アドビ システムズはFlashの企業というイメージが強いですし、FlashとHTML5が競合する技術だと思われている方も多いようですね。CS 5.5にはDreamweaverというHTML/XHTMLのオーサリングツールも含まれていますし、HTML5に関する機能は前バージョンから搭載しています」
――HTML5にもかなり力を入れている、と
「はい。コストをカットして、すぐれたコンテンツを開発できるツール、というのがCS 5.5のテーマです」
――コストカットというと?
「たとえばDreamweaver CS 5.5は、JavaScriptの知識がなくてもHTMLにアニメーション効果などを組み込めるフリーAPIの「jQuery」や「PhoneGap」を簡単に組み込める機能を備えています。これらを使えば、HTMLベースでスマートフォン用アプリの開発をすることもできるんです」
――Flashのデザイナーさん向けの機能はないんですか?
「Flashを使ってスマートフォン用アプリを制作できる機能は以前から搭載していましたが、CS 5.5では解像度の異なる複数のFlashコンテンツを制作する際に役立つ、共通アセット管理という新機能があります」
――3つのOS向けアプリを同時に開発できるんですか!
「CS 5.5にはさらに、JAVAなどの開発経験を持つ人向けにコード入力ベースの開発ツール、Flash Builder 4.5.1というツールも含んでいるのですが、こちらのツールもiOSとAndroid、BlackBerryという3つのOSに向けて同時開発ができるようになりました」
――これまではアプリを制作する際にiPhone用とAndroid用を別々に作っていたわけですね
「はい。ところがFlash Builder 4.5.1を使えば約6~7割の部分を共有しながら、各OS固有のソースコードを3~4割書き足すことで各OS向けのアプリを制作できるので、人件費をふくめた開発コストを半分近くカットできるというわけです」
――それは非常に大きな意味がありますね
「新バージョンではモバイルアプリケーションならではの機能やデザインがパーツとして用意されるなど、さらにスマートフォン用アプリの開発が容易になりました。たとえば、twitterクライアントならゼロから作っても10分程度でできてしまうと思います。『マイコミ スマートフォンアワード2011』で、実際のアプリケーション開発を含むライブデモを披露する予定です」
取材当日は、ワン・ソースのコードを各プラットフォームに対応可能にするCS 5.5の画面も披露され、取材陣もかなりのインパクトを受けた。『マイコミ スマートフォンアワード2011』当日には、CS 5.5で設定したターゲットデバイスでアプリを即座にプレビューできる模様なども披露される予定だ。このあたりは、まずは百聞は一件にしかずというところなので、アプリ開発市場での質とコストの両立にお悩みの方は、以下よりぜひ事前参加をしてほしい。
(マイコミジャーナル広告企画)
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