【コラム】

海外モバイルトピックス

88 八百屋や雑貨屋でも買える! スペインの格安SIM売り場の現状

 

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大手通信事業者の回線を借り、低価格で再販を行うMVNO(仮想移動体通信事業者)。日本では「格安SIM」の名ですっかりおなじみのモノとなっている。イオンなど大手流通の参入により、地方在住の一般消費者でも低価格な基本料金の格安SIMが簡単に契約できるようになっている。このMVNOはすでに海外では広く知られた存在であり、低所得者や2回線目需要として各国で一定のシェアを獲得している。では海外ではどのように格安SIMが売られているのだろうか? 先日Mobile World Congress 2015が開催されたスペイン・バルセロナでその状況を見てきた。

八百屋や雑貨屋、どこでも売っている格安SIM

スペインは大手事業者が4社あり、いずれもが多くの店舗を構えて営業を行っている。回線契約は日本のような後払いのポストペイドだけではなく、先払いのプリペイドもよく利用されている。このうち料金が安いのはプリペイドで、利用者の割合は全体の30%前後と言われている。

プリペイドSIMの購入には身分証明書の提示によるユーザー登録が必須であり、あとから登録、といった方法は一切認められていない。各社の店舗は契約変更や端末購入などの来客で常に混雑しており、夕方などに訪問すれば行列は1時間待ち、といったこともざらにある。そのためプリペイドSIMの購入を含め、通信業者の店舗へ行くのはちょっと面倒だ。このあたりの状況は日本でも似たようなものだろう。

バルセロナの大手通信所業者の店舗。時間帯によっては1時間待ちもめずらしくない

ところがMVNOの格安SIMならば、わざわざ行列しなくとも簡単に購入できるのだ。その理由はバルセロナの街に行ってみればすぐに理解できる。繁華街や住宅街を歩いてみると、たいていの商店に同じような広告が掲載されているのに気が付く。実はその広告のほとんどがMVNOのものなのだ。しかも携帯電は販売店やIT関連のお店だけではなく、雑貨店や両替所、果ては八百屋までもMVNOの広告を掲げているのである。

八百屋の入り口はMVNO大手「Lycamobile」の広告で覆いつくされている

スペインにはMVNO事業者は何社かあるが、そのほとんどがプリペイド契約での販売を行っている。販売先が街中の商店なので手軽に購入できる。もちろん各MVNOは大手通信事業者の回線を利用しているため通信品質に問題は無い。

商店によっては複数のMVNOを扱う

プリペイドで支払い簡単、料金も単純

手軽に買えるプリペイドSIMであっても、スペインは登録が必要だ。MVNOのプリペイドSIMを販売しているこれらの小さい商店も、購入者の身分を確認する作業を必ず行っている。

とはいえIDカードやパスポートをその場でコピーし、店が保管することは行っていない。店員が購入者の身分証明書を見て本人であることを確認し、氏名や生年月日などは店に備え付けのパソコンから直接MVNO各社の利用者登録システムに入力して登録を行うのだ。なお虚偽の申請を行った場合は営業禁止など罰則があるとのことで、このあたりはきちんとした登録業務がされている。

購入してみたLebara MobileのSIM。登録には身分証明書が必要だ

実際に購入してみると、わずか数分でプリペイドSIMを入手することができた。最初に訪れた八百屋では同じくSIMを購入している客がいたのですぐ隣の両替所を訪問。Lebara MobileのプリペイドSIMが欲しいと伝えると、外国人客も多いからか中東系の店員との英会話もスムース。パスポートを提示して店員がちらりとこちらの顔を見て、あとは店のパソコンから必要事項を入力していく。

料金を払う前にSIMを手渡され、きちんとデータ通信ができるかどうかを確認してくれるのはなかなか親切だ。データ通信に必要なAPN設定はMVNOの場合、端末に自動設定されないこともある。今回も設定は店員に任せ、APN(gprsmov.lebaramobile.es)を入力してくれた。そして無事データ通信ができれば代金を払って完了、この間10分もかからなかった。

料金もわかりやすい。パッケージプランがお得

このように外国人でも購入が簡単なプリペイドSIMは料金体系も単純明快だ。同社のお勧めプランは5ユーロで500分の通話と1GBのデータが含まれる。あらかじめ5ユーロを払えばその月はこの無料利用分が利用できるわけだ。翌月以降も使い続けるなら、毎月5ユーロを残高に追加していけばよい。

またデータ通信が多ければ、1GBが8ユーロ、2GBが14ユーロ、3GBが25ユーロで追加できる。追加もスマートフォンの画面から「DATA1GB」と容量を書いたショートメッセージを指定の番号に送信するだけ。使い方も単純なので、これならカスタマーセンターに電話で料金確認などを行う必要も無いだろう。

ヨーロッパではスペインのようにほとんどの国にMVNOがあり、格安料金で使いたい消費者向けにサービスを行っている。日本ではまだ格安SIMはプリペイドよりもポストペイド契約が主流だが、スマートフォン利用者の低年齢化が進むにつれ、お小遣いで払える低価格のプリペイドSIMなども増えるかもしれない。海外での格安SIMの販売方法は日本でも参考になるだろう。

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インデックス

連載目次
第99回 Huawei新製品「P9/P9 Plus」発表会フォトレポート
第98回 情報をリアルタイムに点字表示できる、世界初の点字対応スマートウォッチがまもなく発売
第97回 1台のスマホで2つのLineを使いたい! 海外ではデュアルWeChatスマホが登場
第96回 空気清浄機や浄水器も売る、脱スマホメーカーを目指すシャオミ
第95回 2015年秋冬のスマートウォッチは丸形がトレンド
第94回 指先2本サイズの超小型なスマホが登場
第93回 スワロフスキーで装飾した本気の女子スマホ「Sugar」に注目
第92回 旅先でスマホが無料で使える! 香港で旅行者向け無料SIMが登場
第91回 日本のSIMロック解除にアジア周辺国が注目する理由
第90回 これからの旅行はスマートに! スマホで管理できるスーツケースが登場
第89回 日本人も便利になる!訪日客プリペイドSIM自販機が続々登場
第88回 八百屋や雑貨屋でも買える! スペインの格安SIM売り場の現状
第87回 ブランド時計が続々参入、2015年はスマートウォッチブームがやってくる?
第86回 世界に広がるガラホ?折り畳み型スマホがアジアで人気
第85回 来年はバレンタインチョコも"印刷"する時代がやってくる
第84回 先進国をターゲットに入れた中国新興メーカーのシャオミ
第83回 SIMフリースマホの国香港、海外用プリペイドSIMの販売が活発化
第82回 Facebookが無料? ソーシャルSIMの時代がやってくる
第81回 韓国で復活するデータ定額
第80回 出揃った中国各事業者のLTEサービス
第79回 スマートフォンシェア3位入りを目指すZTEの最新戦略
第78回 2014年はライフログ系スマートウォッチが熱くなる
第77回 中国で4G免許が交付、2014年は4G普及が一気に進む
第76回 台湾のLTE免許が6社に確定、競争激化で再編も
第75回 ライバルはFirefox OS-Nokiaの新端末に注目
第74回 パナソニックの「家電スマホ」はインドで成功するか
第73回 いよいよ始まる中国のTD-LTEサービス
第72回 Windows Phoneが中南米でシェア2位に浮上
第71回 価格下落が世界のスマホ需要を後押し
第70回 いよいよ出てきたFirefox OSスマホ
第69回 ミッドレンジモデルも魅力のSamsungの2013年春の陣
第68回 日本からも注目したいHuaweiの最新モデル
第67回 得意分野で勝負するシャープの海外戦略
第66回 パナソニックも海外市場から撤退
第65回 TD-LTE端末市場で一気に増す日本のプレゼンス
第64回 アジアで加熱する「5インチスマホ」競争
第63回 全社がLTE開始、競争が激化する香港
第62回 LTEで変わる韓国の業界勢力図
第61回 大きく変わる世界のメーカー勢力図、今年後半の動きを探る(後編)
第60回 大きく変わる世界のメーカー勢力図、今年後半の動きを探る(前編)
第59回 Vodafoneとドコモらが提携、一気に広がる国際提携
第58回 韓国でグローバル対応LTEスマートフォンが登場 - 日本への投入も期待
第57回 香港でも7000円台!! - HP TouchPad販売のドタバタ劇
第56回 韓国で全事業者が4Gを開始 - 月額料はパッケージ制、データ定額廃止の方向へ
第55回 「繋ぎ」には勿体無い、MeeGo OS搭載のNokia N9
第54回 世界の端末メーカーの勢力図が大激変
第53回 アジアで転売されるiPad 2、その現場を見た
第52回 ドコモのSIMロック解除、中国で大歓迎
第51回 2011年は低価格スマートフォンが流行に
第50回 2010年はMotorolaの復活に注目
第49回 AppleもNokiaも脅かす「その他」勢力が増大
第48回 気がつけば海外メーカーばかりな日本のスマートフォン
第47回 この冬はオール"フルタッチ"、本気で反撃に出るNokia
第46回 香港でiPadが発売、SIMロックフリー&単体販売
第45回 海外でも広がる「海外パケットし放題」サービス
第44回 発売開始前なのに何故!? - iPadが大量販売されている香港
第43回 海外も日本も同料金でデータ通信-日本通信がサービス開始予定
第42回 実用化が始まった太陽電池搭載ケータイ
第41回 Nokia、業績回復も今後が勝負 -急がれる「フルタッチ」端末の強化
第40回 「簡単ケータイ」が海外でも流行に
第39回 2009年の海外端末市場を振り返る
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第23回 iPhoneを脅かす存在になるか? Nokia 5800 XpressMusicが登場
第22回 日本向けOMNIAの姉妹品? 韓国でHaptic 2が発売開始
第21回 パケット通信+無線LAN定額がトレンドの香港
第20回 販売国の増えるiPhone、注目市場の投入はいつ?
第19回 カシオの海外進出が期待できる? - ソフトバンクとの端末供給合意
第18回 日本で増加する中国メーカー端末
第17回 マルチメディアへの対応を強化するBlackBerry
第16回 香港におけるiPhone 3G - SIM差し替えは当たり前
第15回 Motorola、新型「明」で中国市場奪回なるか
第14回 LGのデザイン携帯"Secret"、その秘密に迫る
第13回 Appleの発表を待たずに「3G iPhone」の発売が確定
第12回 中国の通信事業者6社が3社に再編
第11回 iPhone拡販のために販売戦略を変更するApple
第10回 不振のMotorola、事業建て直しはなるか
第9回 中国でTD-SCDMAの商用テストサービスが開始
第8回 チョコレートからウォン・ビンまで - ユニークな韓国携帯のニックネーム
第7回 シャープの中国市場参入、勝算の道はどこにあるか
第6回 Sony Ericsson、海外事業の好調が日本事業の見直しに?
第5回 "3G版iPhone"はいつ出てくるのか?
第4回 EMONSTER、海外ではいくらで売られている?
第3回 XPERIAを投入するSony Ericssonの意図
第2回 メーカーの勢いの差が表れたMobile World Congress 2008
第1回 Nokiaの決算報告から見た2007年の海外携帯市場

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