こんにちは、阿久津です。遂にWindows 8がRTM(Release To Manufacturing version:製造工程版)に達し、GA(General Availability version:一般提供版)のリリースまで数カ月を数えるだけとなったところで飛び込んできた、「Metro」改称のニュースには驚かされました。本誌でも報じられているように、Metroの名称を「Windows 8 Style UI」に変更するかも知れないという話題です。

確かにMicrosoftは、Metroを正式名称としてではなく、Windows Phone用のデザインシステムにおける内部コード名とブログ記事で説明していました。ですので、改称自体に何ら不思議なところはありませんが、首をかしげてしまうのは、そのタイミングです。

Windows 8がRTMに達したことを公式ブログなどを通じて発表した後で、看板となる機能名を改称するのはイメージ戦略的にあり得ません。前述の本誌記事でJunya Suzuki氏が述べているように、「欧州の重要なパートナーとの協議の結果、Metroという呼称を中止するに至った」という社内メモの存在まで報じられていることを踏まえますと、商標権問題が発覚したと見るのが自然でしょう。最近ではAppleが、iPad商標権問題で中国企業に48億円を支払うことで和解に至ったことを踏まえますと、訟訴問題を避けて、改称における混乱を選択したのではないでしょうか。

本誌記事では「週末ないし週明けにも何らかの動きがあるだろう」と結んでいますが、執筆時点(8月7日)でも「Windows 8 style UI」といった改称後の名称は発表されていません。

繰り返しになりますが、MetroはWindows 8における看板機能の一つ。それだけに、どのような名称を用いてくるのか興味深く静観したいと思います。

さて、まもなくWindows 8が登場することを踏まえますと、そろそろGPTディスクに移行してよい時期ではないでしょうか。そもそも現在のWindows OSでは、HDD(ハードディスクドライブ)のパーティションテーブル配置として、MBR(Master Boot Record:マスターブートレコード)か、GPT(GUID Partition Table:GUIDパーティションテーブル)のいずれかを使用しています。

MBRの場合、1セクタ=512KB(キロバイト)で使用するため、最大2TB(テラバイト)までしか管理できませんが、GPTは最大9.4ZB(ゼタバイト)まで管理可能です。ZBは身近な単位ではないためピンと来ないかも知れませんが、1ZBは1,024の三乗となりますので、1,073,741,824TBと途方もない大容量です。2015年には世界のストレージ総容量が1ZBになると言われていますが、個人ZBクラスを扱うことはしばらく先の話。しかし、既に3GB、4GB……とHDDの単体容量は増えていますので、MBRディスクでは力不足であることは理解できるでしょう。

ただしGPTディスクの使用は制限があり、Windows 7やService Pack 1を適用したWindows Vistaなら、UEFI(Unified Extensible Firmware Interface)上であれば起動ドライブとしても使用できますが、それ以外はデータドライブ用としてしか使用できません。Windows 8のGPT対応については公表されていませんが、公式ブログ記事を読む限りでは、Windows 7とほぼ同等でしょう(図01)。

図01 GPTディスクの対応状態

そこで今回は、MBRディスクからGPTディスクに変換するチューニングをお届けします。もっともこれらの操作はGUI(グラフィカルユーザーインターフェース)から実行できますので、Diskpartコマンドを使ったCUI(キャラクターユーザーインターフェース)の操作もあわせてご覧ください。なお、データが保存してある場合には、削除されますので必要な場合はバックアップしておいてください。

1.「ディスクの管理」を起動します。
2.MBRディスクのボリュームを解放(削除)します。
3.ディスクの種類をGTPに変更します。
4.新しいボリュームを作成します。

これでチューニングが終了しました(図02~14)。

図02 [Win]+[R]キーを押して「ファイル名を指定して実行」を起動し、テキストボックスに「diskmgmt.msc」と入力して<OK>ボタンをクリックします

図03 「ディスクの管理」が起動します。対象となるボリューム(画面では「D:」)を右クリックしてください

図04 コンテキストメニューから<ボリュームの削除>をクリックします

図05 確認をうながすダイアログが現れます。<はい>ボタンをクリックしてください

図06 次にディスク(画面では「ディスク1」)を右クリックし、メニューから<GPTディスクに変換>をクリックします

図07 続いてGPTに変換したディスクのボリューム部分を右クリックし、メニューから<新しいシンプルボリューム>をクリックします

図08 これでボリュームを作成するウィザードが起動します。まずは<次へ>ボタンをクリックしてください

図09 ボリュームサイズの指定をうながされますが、初期状態で最大容量が選択されています。そのまま<次へ>ボタンをクリックしてください

図10 ドライブ文字の割り当てはお好みに応じて行いましょう。設定を終えたら<次へ>ボタンをクリックします

図11 最後にパーティションのフォーマット選択をうながされます。特に問題がなければ初期状態のまま<次へ>ボタンをクリックしてください

図12 これで一連の設定および初期化が終了しました。<完了>ボタンをクリックします

図13 図06 次にディスク(画面では「ディスク1」)を右クリックし、メニューから<プロパティ>をクリックします

図14 プロパティダイアログの<ボリューム>タブをクリックしてください。ご覧のとおり「パーティションのスタイル」がGPTディスクになっています

手順のとおり一度ボリュームを解放していますので、変換対象となるディスクにユーザーデータを保存している場合は事前バックアップを必ず行ってください。次はDiskpartコマンドを使って変換してみましょう(図15~24)。

図15 [Win]+[R]キーを押して「ファイル名を指定して実行」を起動し、テキストボックスに「cmd」と入力して<OK>ボタンをクリックします

図16 管理者権限でコマンドプロンプトを起動したら、「diskpart」と入力して[Enter]キーを押します

図17 次に「list vol」と入力して[Enter]キーを押します。これで現在のボリュームが列挙されました

図18 今回はDドライブを対象にしますので、「select vol 2」と入力して[Enter]キーを押します

図19 ボリュームを削除するため、「delete vol」と入力して[Enter]キーを押します

図20 次に現在のディスク状況を確認するため「list disk」と入力して[Enter]キーを押します。「*(アスタリスク)」マークでディスクが選択されている場合は次へ進んでください。ディスクが選択されていない場合は「select disk 1」と実行します

図21 GPTディスクに変換するため、「convert gpt」と入力して[Enter]キーを押します

図22 パーティションを作成するため、「create partition primary」と入力して[Enter]キーを押します

図23 このままではディスクを使用できませんので、フォーマットを行います。「format fs=ntfs quick」と入力して[Enter]キーを押してください

図24 最後にドライブ文字を割り当てます。「assign letter=d」と入力して[Enter]キーを押してください。これで作業完了です。Diskpartを終了するには「exit」と入力して[Enter]キーを押してください

Diskpartの使用ポイントは「list~」と「select」コマンドの活用。前者はボリュームやディスクを列挙し、後者は各オブジェクトを選択するというもの。これらを間違えずに使用すれば簡単にGPTディスクに変換できます。大容量ディスクをお使いの方はお試しください。

それでは、また次号でお会いしましょう。

阿久津良和(Cactus)