既報のとおり、Windows 10へのアップグレードが7月29日から始まる。それに先立ち、Windows 7(Service Pack 1)やWindows 8.1(Update)には、Windowsフラッグを模したアイコンが通知領域に現れていると思う。日本語では「Windows 10を入手する」という名称を付けているが、実行ファイル名などを確認すると「GWX(Get Windows 10)」ということが分かる。今回はGWXの動作を検証しよう。

GWXが起動しない?

多くの方が目にしているであろうGWXだが、必ずしもすべての環境で動作している訳ではない。FAQによれば、PCがWindows 10のシステム要件を満たしていない場合や、更新プログラムの適用状態が最新でない場合、GWX.exeの起動プロセスが発生しないと書かれている。

筆者が普段使用している仮想マシンを確認したところ、GWXが稼働していない。「%SystemRoot%\System32\GWX」フォルダーは存在しているが、プロセス上にGWX.exeが稼働している形跡を見付けられない。各タスクを手動実行してもだ。

仮想マシン上のWinodws 8.1。更新プログラムの確認や再起動を何度か試してみたが、執筆時点でGWXは実行されなかった

タスクスケジューラで「\Microsoft\Windows\Setup\GWXTriggers」を開いた状態。ここでGWXに関する起動処理を行う

GWXはWindows Update経由で導入したあと、タスクスケジューラで「\Microsoft\Windows\Setup\GWXTriggers」の各タスクを実行している。ネット上で情報を収集したところ、VMware上の仮想マシンでGWXが起動したケースも多く、別PCで稼働しているHyper-V上のWindows 8.1では、即座にGWXが現れた。

Hyper-V上のWindows 8.1を起動したところ、すぐにGWXが起動。ハードウェアチェックを行うとビデオドライバーの互換性問題を指摘された

こうした状況から、仮想マシンだからといってGWXが動作しないとは考えにくい。しばらくの間PCを放置するのが、一番簡単な解決策のようである。もし、何らかの解決方法を見付けたら本連載などでご報告したい。

GWXの動作を確認する

続いてGWXの操作方法について紹介しよう。Windows 10の予約方法は簡単なので割愛するが、メインウィンドウのハンバーガーボタンを押すと、各メニューが現れる。ポイントは「アップグレードの入手」だ。予約前は「PCのチェック」となる部分が、予約を終えると「PCは準備完了」に切り替わる。

予約前の状態は「PCのチェック」となる。クリック/タップするとハードウェアの互換性チェック結果が示される

予約後は「PCは準備完了」に切り替わり、「アップグレードに進む準備ができています」というメッセージとチェック結果を示す

また、Windows Updateの表示も書き換わり、「Windows 10のアップグレード予約が完了しました」というメッセージが現れるようになった。こちらはGWX.exeをプロセス上から削除しても結果は同じだ。

予約完了後のWindows Update。図のようなメッセージに切り替わる

GWX.exeはプロセス上に鎮座するが、Process Explorerで確認したところ、メモリを6.7Mバイトほど消費している。詳細は省くが、もう少し細かく見ると、GWX.exeの本体ともいえる部分が占めるメモリは0.1Mバイトにも満たない。そのため、常にGWX.exeが稼働していても害がないといえるだろう。

GWXのプロセス状態。タスクスケジューラ経由で起動していることが確認できる

消費メモリーを確認すると、プライベートバイト(固有の消費メモリ)は6.7Mバイトだった

GWXを削除する

7月29日直後からWindows 10へ移行せず、何カ月間かは様子を見たいという方は、GWXの本体となる「KB3035583」を削除すればよい。「プログラムと機能」の「インストールされた更新プログラム」を開き、更新プログラムをアンインストールする。このとき、検索ボックスに「KB3035583」と入力すると見付けやすいだろう。

「Win」+「R」キーを押すなどして「ファイル名を指定して実行」を起動し、テキストボックスに「appwiz.cpl」と入力して、「OK」ボタンをクリック/タップする

「プログラムのアンインストール」をクリック/タップし、「KB3035583」をダブルクリック/タップ。確認をうながすメッセージの「はい」ボタンをクリック/タップする

さらにタスクスケジューラを起動し、「\Microsoft\Windows\Setup\GWX」を削除すれば完了だ。あとはレジストリエントリの削除だが、この連載ではレジストリ編集を行っていないため割愛する。気になる方は「GWX」で検索し、エクスポート後に削除すればよい。

「Win」+「R」キーを押すなどして「ファイル名を指定して実行」を起動し、テキストボックスに「taskschd.msc」と入力して、「OK」ボタンをクリック/タップする

「\Microsoft\Windows\Setup」を開いて「gwx」を右クリック/長押し。「フォルダーの削除」をクリックする

なお、筆者はGWXのアンインストールを推奨しない。どうしても存在が気になる場合は、GWXアイコンをインジケーターに移動させて、非表示にしておくとよいだろう。

阿久津良和(Cactus)