従来のWinodwsはローカルデバイス全体を対象にしたフルバックアップが基本だったが、Windows 8以降はシステムファイルを初期状態にする「PCのリフレッシュ」などが加わり、フルバックアップの必要性が低下した。PCを利用する上でバックアップは不可欠だが、その際に役立つのが「ファイル履歴」だ。その概要やバックアップ実行までを紹介しよう。
「Windows 8.1ミニTips 第17回」より、2014年4月9日にリリースされたWindows 8.1 Updateを適用した環境を対象としています。
ファイル履歴とは
Windows 7以前は「バックアップと復元」を用いて、個人用ファイルやシステムイメージのバックアップを作成していた。Windows 8.1には「PCを初期状態に戻す」「リフレッシュする」機能があるため、基本的にシステムイメージは不要だ。
そして新たに加わった「ファイル履歴」は、個人用ファイルだけを対象にしたバックアップ機能である。具体的には、一定時間ごとにドキュメントフォルダーなどを対象にミラーリングバックアップを実行するというものだ。
さらにディスク容量が許す限り、更新前のファイルも残すため、時間をさかのぼってファイルを復元することも可能。対象となるフォルダーは下記の通りだが、その他にも自身が作成したライブラリーも対象に加わる。
■「ファイル履歴」が対象とするフォルダー
・ドキュメントフォルダー
・ミュージックフォルダー
・ピクチャフォルダー
・ビデオフォルダー
・デスクトップフォルダー
・お気に入りフォルダー
・アドレス帳フォルダー
・OneDriveフォルダー
では、システムイメージのバックアップ機能は削除されたのかと言えば、答えは否。「ファイル履歴」のナビゲーションウィンドウに、「システムイメージバックアップ」として残されているのだ。ただしUEFI環境の場合、回復パーティションの容量不足に伴うイメージ作成エラーや、システムイメージによる復元失敗といったトラブルが多数報告されている点は覚えておきたい。
いずれ機会を見て再検証したいが、現時点でフルバックアップを求める場合は標準機能ではなく、他のバックアップアプリケーションを用いた方が簡単だ。
ファイル履歴の保存先
ファイル履歴はローカルディスクや、NASなどの共有フォルダーを保存先として利用できる。既定値では1時間ごとにバックアップを実行するため、常に稼働しているローカルディスクがベストな選択だ。
だが、バックアップデータの安全性を考えれば、物理的に異なるNASなどを用いた方がよいという見方もある。無線LANなどネットワークの速度が遅い場合は、他の作業を阻害する可能性も出てくるため、注意してほしい。
ローカルディスクをバックアップ先として利用する場合、「ファイル履歴」を起動し、「オンにする」ボタンをクリック/タップするだけだ。
ネットワーク上の共有フォルダーを利用する場合は、ナビゲーションウィンドウの「ドライブの選択」から「ネットワークの場所の追加」、もしくは「ネットワーク上の場所をすべて表示」をクリック/タップし、保存先を選択する。
ファイル履歴を「オン」にする
ファイル履歴をオンにすると、すぐに初回のファイルコピーが始まる。前述したバックアップ元の容量によって所要時間は異なるが、数分から数10分待てば実行時刻を含んだメッセージに切り替わり、作業完了だ。
後はスケジュールされたタスクを元に定期的なバックアップが行われる。なお、タスクは「\タスクスケジューラライブラリ\Microsoft\Windows\FileHistory」に登録する仕組みだ。
バックアップのログ情報を確認する場合は、ナビゲーションウィンドウの「詳細設定」から、「ファイル履歴イベントログを開いて最新のイベントまたはエラーを表示する」をクリック/タップする。
基本的にバックアップが正しく実行できている場合、ログは残らない。下図は別PCでファイル履歴を実行した際のイベントログだが、とあるアプリケーションのログファイルがロック中でバックアップに失敗→その後成功した、という処理が加わった情報が示されている。
この他にもイベントログには、「MAX_PATH」というパスの最大値を超えたファイルがバックアップ対象に含まれる場合、エラーログが残ることを確認した。もし、お使いの環境で同様のイベントログ(イベントIDは100)が記録された場合は、ファイル名やフォルダー名の付け方を見直してみるとよいだろう。
阿久津良和(Cactus)