次のネタであるが、Tweet-a-Wattモドキを作ってみたいと思う。Tweet-a-Wattそのものはこちらで紹介されているもの。日本でもキット販売が行われたりしている。何をやっているかというと、アメリカで販売されているKill A Wattという、いわゆるワットモニターであるが、これを改造して測定したデータを、Zigbee経由でホストに送り、ホストはそのままTwitterに消費電力データをPostするという仕組みだ。これによって外出中にも家の中の消費電力が監視できるというHackである。

これはこれで完成しているのだが、筆者からすると別にZigbeeで飛ばしてもらう必要はないし、TwitterにPostされる必要もない。むしろ有線で接続してPCなどでログを取れる方が便利である。あと、今のTweet-a-Wattは1つのワットメーターに一対のXbeeが必要になっているが、3~4個のワットメーターをまとめて取り扱えたほうがうれしい。何をやりたいのか? というと、今はこんな具合(Photo01)に、ベンチマーク環境毎に複数のワットメーターを用意して、それぞれ必要に応じて目視で確認するという割と原始的な作業になっていて、これをいい加減自動サンプリングにしたいという強い希望があるからだ。この手のものとしては、国外でよければWatts up?という製品がある。これのWhat up? PROとかPRO ESなどはUSB経由でデータを取り込めるので、これを一杯並べればそれはそれで解決する。ただしお値段が結構するものなので、複数用意するのはかなり財布に痛い。これがいわゆるワットモニター系ならば、Amazonで5,000円前後で販売されているから、4台並べてもWatts up? PROを1台購入する金額(製品代+送料)とそう差が無い。そんなわけで、ワットモニターをTweet-a-wattを参考に改造することで、USB経由で消費電力の取り込みを行うシステムを作ろう、というのが今回の趣旨である。

Photo01: 上のものは大崎電気工業株式会社のMWC-01だが、データ出力可能という文言に挽かれて購入したところ、なんとサンプリング間隔が最小で30分(筆者の所有するバージョン:最近は最小1分まで対応したようだ)。データそのものは0.5秒毎に出ているのでこれをなんとかすることも考えたが、単価も高いので取りやめに。

実は先のTweet-a-Wattの記事そのものは英語しかないのだが、オライリー・ジャパンから発売されているMake: Technology on Your Time Volume 08にはこの記事の日本語訳が掲載されている上、高橋隆雄氏による「日本で製作するための注意点」という記事が追加され、ここでサンワサプライのTAP-TST7に移植した場合の注意点が説明されている。そこでこの記事を参考に、筆者はTAP-TST5を使ってみた(Photo02)。いやTAP-TST7でもいいのだけど、別に積算料金とかCO2換算とかの必要性は感じなかったので、やや安いTAP-TST5でいいや、と。

Photo02: 原稿執筆時点でAmazon.co.jpにおける価格は\4,703。筆者はもう少し安いところで購入して、\4,000をぎりぎり切ったと記憶している。

さて、まずはこれが使えるか否か、の判断である。裏面のネジを外し(Photo03)、基板を引っ張り出してみる。もともとのKill A Wattの回路(http://cdn.makezine.com/make/18/MAKE18_TweetAWatt.pdf のP119の3aの写真を参照)とはだいぶ基板の様子が異なっている(Photo04)が、これは想定範囲内。問題のオペアンプ部はやはりLM2902を使っており(Photo05)、同じやり方が使えそうに思える。今回の場合、中にXbeeモジュールを入れるとかいう事はしないので、配線的にもかなり楽にできるだろう。

Photo03: ネジは3箇所のみ。

Photo04: 展開図。左側が液晶が付いた側で、デジタル回路はこちらに集約。右側はコンセント側で、こちらにアナログ回路とオペアンプが配されている。

Photo05: 基板とかアナログ部品は仕様違いにあわせて色々変更があるようだが、基本的な回路そのものは大きくは違わないようだ。

ちなみにオリジナルのTweet-a-Wattの回路はこちらである。この回路の場合、XBeeの20pin(AD0/DIO0)で電圧、11pin(AD4/DIO4)で電流を測定するようになっており、他にD1/D2という2つのLEDを点灯させるほか、電源そのものをこのLM2902から取るようになっており、この結果MCP1700-33という電源レギュレータや、バッテリー代わりに大容量(10000μF)のコンデンサを搭載する電源回路が用意されているが、今回はUSB接続のArduinoなりchipKitを繋ぐ事を考えているので、こうした電源回路は一切不要となる。そんなわけで回路は図1の様にシンプルである。もっともこれはまだ試作回路である。LM2902のPin 14には電圧、Pin 1には電流が出てくるが、これを抵抗の分圧回路を経由で入力している。電圧の方は1:1で本来の50%のものがArduinoのAD0に入力されるが、これは電圧200Vのアメリカにあわせたものではないかと思う。電流の方は1:2での分圧で、本来の66%ほどが入力されている形だ。このあたりはこの後検討することになるだろうが、とりあえずはオリジナルのTweet-a-wattに準ずることにした。

図1:

(続く)