日本最大級のスマートフォン・タブレット向けマンガ配信サービス「まんが王国」や、イラスト投稿サイト「ETOPICA」、マンガに特化したクラウドファンディングサービス「FUNDIY」などを展開するビーグリー。『インターネットによって隠れた才能を持つクリエイターとファンを繋ぐことで、新たな市場、新たな顧客を開拓し、文化の発展に貢献する』をミッションに、コンテンツプラットフォーム事業を展開している。

同社は2014年9月に東京都港区に本社を移転。移転にあわせ課題となったのがメーカー保守切れ(EOSL/EOL)を迎える社内サーバの保守管理だった。社内サーバは、社内で利用する経理系システムのほか、コミック配信で必要になる契約情報の管理システムが稼働するなど、同社の事業にかかせない重要資産となっている。基本的に社内で管理されているため、社屋移転で物理的な運搬や再設置が発生することで故障などが懸念された。また、もともと同社は、事業の拡大に合わせて機器をその都度整備してきたため、複数のベンダーの機器が混在する環境だった。そこで、移転に合わせて保守管理を一元化することを計画した。

2013年から計画を開始し、2014年8月からデータライブの「EOSL/EOLサーバ保守」サービスを契約。メーカー保守切れを迎えた機器を延伸稼働させるとともに、さまざまなメーカーの機器の保守管理の一元化を実現した。ビーグリー技術開発部岩上俊介氏とデータライブ業務本部 営業部 チームリーダーの天野博昭氏の対談からデータライブが提供するサービスのどこに魅力を感じたのかを探る。

株式会社ビーグリー

2004年10月創立。2006年4月には携帯電話向けコミックサービス「ケータイ★まんが王国」を開始。その後、2011年11月から、スマートフォン向け電子コミックサービス「まんが王国」を開始し、2014年12月にはサービス開始から8年半で累計3億冊ダウンロードを突破した。

「まんが王国」は、月間約70万アクティブユーザー(当社調べ:ログインユーザー)を誇り、会員登録をしなくても無料で常時1,000作品以上の試し読みが出来る日本最大級のマンガ配信サービスとなっている。また、マンガに特化したクラウドファンディングサービス「FUNDIY」や、世の中の情報に関してユーザーがイラストを投稿できるイラストキュレーションサービス「ETOPICA」も手がける。

資本金13億7,387万円。海外子会社を含めた連結従業員は222名(2014年12月末現在)。

URL: https://www.beaglee.com/

ビーグリーが抱えていた課題と、データライブの解決策

課題 解決策
メーカーによる正規保守と延長保守サポートが切れるサーバ製品に対する保守サポートを受けたい データライブの「EOSL/EOLサーバ保守」を契約し、保守切れになった機器の延伸稼働を実現
複数のベンダーと複数のサーバ製品が混在し、担当者による保守期限などの管理が煩雑な状態になっている 保守切れを迎える機器をデータライブの「EOSL/EOLサーバ保守」に順次移行することで、サーバ製品の保守管理を一元化

マルチベンダー環境の保守管理を一元化したい

──まず、EOSL/EOL保守サービスの対象になっている機器について教えてください。

ビーグリー 技術開発部 岩上俊介氏

岩上氏: 社内サーバとして約50台を稼働させていますが、そのうち、メーカーの延長保守が切れたものをお願いしています。ベンダーとしては、HP、IBM、Dellを中心に4~5社ですね。

天野氏: さまざまハードウェアが混在した環境なのですよね。

岩上氏: はい。社内サーバは基本的に必要になったときに購入するというかたちで増やしてきました。本来は、ベンダー1社に絞ったほうが管理の効率がいいと思うのですが、調達スピードと価格を重視していたせいもあり、異なるベンダーの機器で構成する環境となりました。

天野氏: 社内サーバはどのような用途に使っているのですか。

岩上氏: ファイルサーバとして使っているものが多いですね。その他にも、いわゆる基幹系と言われる経理系のシステムや、コンテンツ配信のための契約情報を管理するシステムで使っています。こうした重要なシステムについては、ホットスタンバイ構成で冗長化しています。3台構成をとっている機器もあります。50台のうち、約20台はこうした冗長構成です。

──それぞれメーカー保守を延長されていたのですか。

岩上氏: はい。ただ、なかにはデータセンター経由で購入して、社内に引き上げてきたものや壊れることを前提として保守に入っていない機器もありました。リプレースは基本的に3年目から計画を検討しはじめ、延長保守を入れて、故障が発生した時点で交換するという流れです。

天野氏: リプレース時期がそれぞれ異なると管理も面倒になります。ご依頼を受けたときに、そういった課題も解決したいとおっしゃられていました。

岩上氏: はい。保守管理をどう一元化するかは課題の1つでした。機器も混在していますので、データライブさんが、マルチベンダーに対応してくれることは大きなポイントでした。

パーツは入手が困難で調達価格も高くなりがち

──そもそもデータライブを知ったきっかけはなんでしょうか。

岩上氏: リユース品の利用がきっかけです。発注の手違いでNICが足りなくなったことがありました。サービスリリースまでスケジュール調整ができないなか、データライブさんに連絡したところ、翌日に対応していただきました。機器を購入したあとに、営業にきていただき、それから何度かご相談させていただくようになりました。

データライブ 業務本部 営業部 チームリーダー 天野博昭氏

天野氏: EOSL/EOSサービスがあることもそのときに知っていらっしゃったのですか。

岩上氏: しばらくしてからです。検討を開始したのは2013年春から。保守切れした機器がでるなかで、実際に見積もりを出したのが2014年の春。ちょうど社屋移転プロジェクトが立ち上がり、社内サーバの情報を洗い出すなかで、データライブさんのサービスがあることを知り、移転にあわせて8月頭から契約するスケジュールで進めました。

──保守契約が切れた機器で故障が起こった場合はどうしていたのですか。

岩上氏: 重要なものは冗長化していましたから、基本的に故障が発生しても、業務には支障がでないようになっています。ホットスタンバイ構成で、データベースをリアルタイムで同期しています。ただ、故障しても部品がすぐに交換できるわけではありません。価格とスピード重視で機器を選定していましたから、部品単体での入手が難しい面がありました。また、価格面でも、サーバとセットで購入する場合と、ディスク単体で購入するのとでは大きく変わります。例えば、2.5インチ1TBのディスクを交換用に購入するといった場合、コストが高くなってしまうのです。

天野氏: そうしたなかで、部品をすぐに提供してもらえるというメリットは大きいとご判断いただいたのですね。

岩上氏: はい。実際に何度か機器の障害が発生していますが、業務に支障が出ることはありませんでした。機器の障害は原因の切り分けが難しいのですが、データライブさんに情報をお送りすると「この辺りに問題がありそうです」と答えをいただけます。そこまで含めておまかせできる安心感があります。

天野氏: ありがとうございます。障害の切り分けから、迅速な調達、サポートまでを提供できる体制を築いています。

「連絡先が違うだけ」という安心感

──具体的にはどのような障害が発生したのでしょうか。

岩上氏: 1つは、ハードディスクの故障です。障害予測のアラートが出ていたのでディスクのログをお送りして、交換していただきました。RAID構成でしたが、パーツ交換後、リビルドして元通り。サービスレベルはまったく落ちませんでした。もう1つは、電源ユニットです。2週間くらいの期間に何度かトラブルが起きたため、まとめて交換していただきました。電話連絡してからの対応が早いこともそうですが、障害の内容に応じて柔軟に対応してくれることも魅力ではないでしょうか。

天野氏: どのあたりが柔軟な対応だとお感じになられましたか。

岩上氏: 例えば、電源ユニットは予防で交換したものもあります。シャットダウンが発生して、原因がはっきりしていなかったのですが、問い合わせたところ、「様子がおかしく、再発の可能性がある」ということで、交換していただきました。障害が発生していなくても対応していただけることは、とても助かります。

天野氏: ありがとうございます。ちなみに、サポートを受ける際に気をつけていらっしゃることなどございますか。

岩上氏: 事前にできるだけログを取得して、問い合わせのときに送るようにしていますね。問題の切り分けがしやすくなり、スムーズなサポートにつながると思います。

天野氏: メーカー保守との違いを何か感じていらっしゃいますか。

岩上氏: 感じていませんね。対応も早く、連絡すればメーカーと同じサービスを受けられるという安心感があります。メーカーやエンジニアによっては対応にばらつきがでるものですが、データライブさんの場合、そういったことはなく、何も困らずに対応していただいています。本当に「連絡先が違うだけ」ということを実感しています。

トータルでの保守サポートが大きな魅力

──マルチベンダー対応であることはどうでしょうか。

岩上氏: とても助かっています。複数のベンダーの製品に対して、同じ品質の保守サービスを提供できることは、第三者保守サービスを受ける大きなメリットだと思います。

天野氏: 実際に、保守の一元管理という点ではどのような効果があったのでしょうか。

岩上氏: これまでは購入元がそれぞれ異なっていたり、購入担当者も時間経過と共に追いにくくなるなど、管理が困難になる要素がいくつかありました。保守契約を行ったサーバ機器については、シリアル情報やサーバの役割などを記録しています。「ここを見れば分かる」という管理の仕方ができるようになったことは大きいですね。

──データライブに今後期待することはありますか。

岩上氏: サービス内容については言うことはありません。社内サーバのメーカー保守切れについて引き続き利用していきたいと思いますが、保守期間が柔軟に選べるサービスメニューが出来ると大変助かります。例えば12カ月以上であれば、15カ月や18カ月の様な期間を選択出来れば保守更新のタイミングも集約できるので管理が容易になります。

天野氏: 保守期間の柔軟化についてはちょうど準備を進めておりますので、近い将来でご紹介できると思います。

──ありがとうございました。