Windows 7のリリース候補版 (RC) が公開されました。注目すべきは、公開が若干前倒しとなったことでしょうか。殺到が予想されるアクセスを平準化する目的かもしれませんが、正式リリースを早めたいのかも、と思わず勘ぐってしまいます。一方のAppleに、目立った動きはありませんが……。

さて、今回はVPNサーバ構築編の第2弾、「iPhoneのひかり電話端末化」について。VPN経由で自宅LANに接続し、ひかり電話ルータの子機としてiPhoneを登録、自宅の電話で受発信することが狙いだ。VPN (PPTP) サーバ機能内蔵ルータ「BUFFALO BHR-4RV」の設定を終えていることが前提となるため、『第320回 VPNサーバでMac、iPhone、自宅LANを徹底活用(1)』分をご一読のうえ読み進めていただきたい。

公衆無線LAN回線を確保する

事前に「公衆無線し放題」のプロファイルを入手しておこう

VPNは有線 / 無線を問わず利用できるが、電話機としての用途を考えると、後者のほうが利用価値は高い。公衆無線LANサービスを利用すれば外出先でも通話OK、しかもiPhoneの場合ソフトバンクモバイルが「公衆無線LANし放題」プランを提供しているので、全国約3,500カ所のBBモバイルポイントを無償利用できる。つまり、マクドナルドやJR駅構内にいるときは、iPhoneが自宅電話回線の子機に早変わりするわけだ。

その利用方法だが、My Softbankで配布されているプロファイルを利用するといい。まずiPhoneでSafariを起動し、My Softbank → Eメール(i)設定 → 簡単設定プロファイルの順にアクセスすればダウンロードできる。その後ホーム → 設定 → 一般 → プロファイルの順にブラウズすれば、プロファイルをインストールする画面が現れるはずだ。

SIPクライアントの入手

ひかり電話の子機として通話機能を利用するには、SIP (Session Initiation Protocol) に対応したクライアントソフトが必要。筆者が選んだのは、iPhone向けが「SipPhone on iPhone」(800円)、OS X向けが「X-Lite」 (無償) の2つ。後者はヘッドセットを購入しなければ実用的とは言い難く、購入したとしても外出先でそれを使うのはいかがなものか (かなりの神経の持ち主でなければ厳しそう) と思われるため、ここではiPhone向けのSipPhoneにターゲットを絞り話を進めたい。

iPhone向けSIPクライアント「SipPhone on iPhone」。3G回線経由では利用できないが、無線LAN経由ならばひかり電話子機として使える

ひかり電話子機として使えるOS X用SIPクライアント「X-Lite」。うれしいことにフリーウェアだ

ひかり電話ルータの設定

ひかり電話で使用するルータはNTT地域会社からレンタルされ、市販品は利用できない。筆者は「RT-S330SE」を利用しているが、割り当てられる製品は先方に決定されるため、場合によっては本稿の記述内容が適用されないかもしれない。この点、あらかじめご了承願いたい。

RT-S330SEにiPhoneを登録する方法だが、Webブラウザで管理画面 (ex. http://192.168.12.250/ ) を表示し、電話設定 → 内線設定の順に展開、空き内線番号をクリックする。これを仮に「3」とすると、内線番号「3」にユーザIDが「0003」という設定画面が現れるので、任意のニックネームとパスワードを入力し、着信に使う番号 (複数可) と相手に通知する番号1つを指定、最後に[設定]ボタンをクリックすればOKだ。

ニックネームとパスワードを入力する程度でOK

SipPhone on iPhoneの設定

続いて、iPhoneアプリ「SipPhone on iPhone」の設定を行う。起動後に「Accounts」タブを開き、[Add new SIP acco...]をタップして、先ほどRT-S330SEに登録した内線の情報を登録しよう。「Domain」にRT-S330SEのIPアドレス (192.168.12.250) 、「Username」に内線番号、「Password」にはパスワード、「Advance」に移り「Auth User」にユーザIDを入力すればOKだ。

SipPhone on iPhoneでのアカウント設定。ひかり電話ルータのIPアドレスと内線番号、パスワード、ユーザIDを入力すれば準備完了

これで、iPhoneが無線LANで通信可能なとき、SipPhone on iPhoneをひかり電話の端末 (子機) として利用できるようになる。起動した状態でRT-S330SEの「内線設定」画面を開き、iPhone端末の状態に「登録済み」と表示されていれば、ふだんひかり電話で利用している電話機とまったく同等に、受発信できるようになっているはずだ。もちろん、RT-S330SE直結の電話機と同様、内線通話にも利用できる。

SipPhone on iPhoneが検出され受発信可能になると、RT-S330SE上に「登録済み」と表示される

ということは、外出先からVPNでリモートアクセスしたときも内線通話OK、すなわち自宅とロハで通話可能というわけで……次回は、通話品質など実際の使い心地をレポートする予定だ。

内線番号「2」のひかり電話端末 (RT-330SE直結の電話機) からiPhoneを内線で呼び出したところ