【コラム】

Flashアニメ作家・青池良輔の「創作番長クリエイタ」

11 紙からデジタルへ -キャラクターをデジタルデータ化する手法を考える

 

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Flashアニメ作家・青池良輔がクリエイターになる方法を熱く伝授する連載「創作番長クリエイタ」。連載第11回では、キャラクターをデジタルデータ化する方法を考えていく。

紙からデジタルへ(作画)

デジタルで作品を作るにあたり、アプリケーションを選択(第10回)できれば、後は作るのみです。このコラムでは、僕が普段使用しているAdobe Flashをメインアプリケーションに話を進めてゆきます。

自分の考えたキャラクター(第6回)を、コンピュータ上でアニメートする為に、キャラクターデザインをデータ化する必要があります。ここでもいくつかの方法がありますので、それらを紹介していきたいと思います。

1.紙に描いた物をスキャンする

紙での作画に慣れている人は、この方法が一番身近かもしれません。利点としては描き慣れたラインでの作画が可能で、手描きの優しさも活かせるという点です。デメリットとしては、スキャンした画像は、ゴミやかすれが目立ってしまい画像編集ソフトでのクリーンナップや、コントラストの調整等が必要になるという部分です。一枚の絵なら特に問題は感じないのですが、動画枚数が多くなってくると、この調整作業をシステマティックに行えるよう、スキャンの設定や、アプリケーションの使い方に工夫が必要です。また、スキャンした画像は基本、ビットマップですので、ある程度解像度を高くしておくことをお勧めします。アニメーション制作中に、絵のサイズを変更した時に、スキャンした解像度でのサイズより大きくなると、ビットマップのガタガタした感じが出てしまいます。また、ビットマップをFlashでのビットマップトレース、Illustratorのライブトレースなどでベクター化することもできます。その場合は、拡大縮小は自由になりますが、往々にして細かいディティールは失われてしまいます。

2.スキャンしたものをPCでトレース

スキャンしたデータをそのまま使用するのではなく、あくまで下書きとして利用し、PC上で改めてトレースする方法です。スキャンの状態をあまり意識する必要もなく、イラストの作画等では大変有効だと思います。二度手間という感じもありますが、丁寧な作画、きれいな仕上がりにはなると思います。

3.PC上で作画する

タブレットやマウスを使用して、PC上で直接描画する方法です。この場合も、何のアプリケーションを使うかという部分で、作業やその後のファイルの扱いが変わります。僕の場合は、「下書き」、「作画」、「仕上」、「アニメート」を全てFlashで行っています。Flashでも、ベジェ曲線でラインを描くペンシルツールと、手描きの質感を反映するブラシツールでは、作品の印象が変わってきます。これらはどちらもベクターになりますので、ファイルが軽く扱いやすくなっています。同じベクターでも、デザイン色の強いパッキリした作風であればIlllustratorで作画する方が簡易な場合もあります。Aftereffectsをメインで使う人であれば、Photoshopでの作画が向いているかもしれません。ビットマップベースで深みのあるリッチな作画が出来ると思います。

ここで、重要視したいのは「表現したいテイスト」です。温かいのか、シャープなのか、手描きのニュアンスを残したいのか、クリーンにしたいのか、それによって作品のトーンが決まるので、ちょっと楽しみながら選んでみても良いのではないでしょうか。

手法選択には、作画のしやすさも大切

さらにこの手法選びにおいては、「自分にとっての作画のしやすさ」も大切です。各ツールで描いてみたサンプルを見てみると、Photoshopで描いた物が立派に見えるかもしれません。しかし、これから「アニメーション」を制作することを考えると、あまり丁寧な絵には注意が必要です。丁寧な絵を描くためにかかる時間は、そのまま制作時間に直結します。作業量に関しては、実際に「やってみないとわからない」とは思いますが、選んだ手法で100枚なり200枚なりの絵を描くとすれば、少し現実的に「できる」か「できないか」が想像できるのではないでしょうか? 自分がこれから創ろうとする作品が沢山の動画を必要とするのであれば、1枚の絵に割く労力をセーブしておきます。これには納得がいかないという方もいるかもしれませんが、あくまでも「完成」のためです。

世の中には、ガラスに油絵を1枚ずつ描いてアニメーションを作っている作家さんや、修正の利かない砂アニメをやっている人もいる事を考えると、デジタル上で何を選ぶのかというのは小さい問題かもしれませんが、「理想」と「現実」のバランスの中で、自分の作品にとってベストと思える選択を探してみてください。

青池良輔


1972年、山口県出身。大阪芸術大学映像学科卒業後、カナダに渡り映像ディレクター、プロデューサーとして活動。その後、Flashアニメで様々な作品を発表。短編アニメやCFを多数手がける。最新作はDVD『CATMAN』(2008年)、『ペレストロイカ ハラペコトリオの満腹革命』(2008年)。『藤子・F・不二雄のパラレル・スペース DVD-BOX』(2009年)では、 谷村美月主演の実写作品「征地球論」の監督と脚本を担当。森永アロエヨーグルトのWebサイトで、最新Flashアニメ『GIRLS BATTLE アロ恵』公開中。全国のTOHOシネマズで本編前に上映されている短編『紙兎ロペ』では、アニメーション制作を担当。

 

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インデックス

連載目次
第31回 超実践編 -試行錯誤しつつも、キャラクターデザインを進めていく
第30回 超実践編突入 Flashアニメーションの企画を立て制作開始
第29回 Flashアニメーション制作テクニックをまとめてみる
第28回 あえて「動きの少ないアニメーション」について考えてみる
第27回 アニメーションにおける演技やアクションの構築について考える
第26回 「キャラクターの運動曲線」について考えてみる
第25回 アニメーションの特徴的な技法「予備動作」と「後追い」を学ぶ
第24回 アニメーションの特徴的な技法「スクィッシュ&ストレッチ」を学ぶ
第23回 アニメーションで大切な「詰め」について考える
第22回 Flashアニメーションのキャラクターの口の動きを考える
第21回 Flashアニメーションでキャラクターを活き活きと見せる演出方法とは?
第20回 トゥイーンのみを活用してアニメーションを作ってみる
第19回 コマアニメの中にトゥイーンアニメーションを効率よく組み込む方法とは?
第18回 描いたキャラクターを動かしてみる
第17回 Flashアニメーション制作 ついに制作実践編に突入
第16回 アイデアから絵コンテ完成まで -創作までの流れをまとめてみる
第15回 紙からデジタルへ -ビデオコンテを作成する
第14回 紙からデジタルへ -絵コンテを具体的な「絵」の形にしていく方法とは
第13回 紙からデジタルへ 脚本から絵コンテを描く方法とは
第12回 キャラクターをFlashでアニメーションにする方法を考える
第11回 紙からデジタルへ -キャラクターをデジタルデータ化する手法を考える
第10回 紙からデジタルへ -制作アプリケーション選択について考える
第9回 ショートコンテンツ(短編作品)の物語作法について、さらに深く考える
第8回 ショートコンテンツ(短編作品)の物語作法について考える
第7回 著作権の意味や役割について考える
第6回 完全オリジナルのキャラクターを確立する方法
第5回 どのようにキャラクターの個性を設定するべきか
第4回 絵が苦手でもツールを駆使してアイデアをビジュアル化する
第3回 自分のアイデアをさらに磨き上げる方法とは?
第2回 クリエイターがアイデアを具体的な形に落とし込む方法とは?
第1回 クリエイターになるために、有効な時間の使い方を考える

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