【コラム】

Java API、使ってますか?

52 Early Draftが公開されたJSF 2.0

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JSR 314: JavaServer Faces 2.0

JSR 314: JavaServer Faces 2.0(JSF 2.0)はJava EE 6に含まれる予定となっている次期バージョンのJSF仕様である。JSFはもともとJava EEアプリケーションのビューを開発するための環境を改善するために考案されたものであり、これを利用すれば豊富なUIコンポーネントをタグベースで利用することができる。

しかし現状では、当初の狙いほどJSFが普及しているとは言えない。従来のJSFの問題点としては、カスタムコンポーネントの開発が容易でなかったり、肝心のEJBとの相性が良くなかったりといったことが挙げられる。またAjaxををベースとしたリッチなUIへの対応が遅れている点も、他のフレームワークに押される大きな要因だ。

JSF 2.0で目指すのはこれらの問題の解決である。JSF 2.0仕様の基本的なコンセプトは本連載の第14回で取り上げている。今回は、先日公開されたEarly Draftを元に、上記課題を解決するための具体的な方向性を紹介したい。

カスタムコンポーネントの開発を容易に

JSF 2.0における重要なコンセプトのひとつがEoD(Ease of Development)のさらなる促進である。そのためにはカスタムコンポーネント開発を容易に行えるようにすることが不可欠だとされている。

そこで2.0では、ページデザインのための重要な機能としてFaceletsがサポートされる。FaceletsはJSFアプリケーションを構築するための強力なテンプレートシステムであり、これを利用することでHTML風のテンプレートによってJSFベースのビューが定義できるようになる。

残念ながらEarly DraftにはJSF 2.0におけるFaceletsサポートの詳細はまだ記載されていないが、まずはリクエスト処理とFaceletsのライフサイクルの統合を目指すという。同時に、テンプレートベースのレンダラやイベントを導入していく予定とのことである。

その他、コンフィギュレーションの容易性を向上させるために、Ruby on RailsにおけるRAILS_ENV環境変数にならったプロパティが導入される。これはjavax.faces.application.ProjectStageで定義される各プロパティに対してそれぞれデフォルトの設定値を用意するというもの。プロパティには"Development"や"Production"、"SystemTest"、"UnitTest"などが提案されており、これによってプロジェクトのステージごとのデフォルト設定を自動的に読み込むことが可能となる。

Ajaxのサポート

充実したビューの構築環境を提供するフレームワークとして、Ajaxのサポートは絶対に欠かせない要件でもある。JSF 2.0では、JSFのコンポーネントにAjaxを用いた動的なコンテンツを統合するためのリソースやJavaScript APIが提供される。

Ajaxリソースをロードする方法としては下記の3つのアプローチがあるという。

  • アノテーションを用いたアプローチ
  • リソースAPIによるアプローチ
  • PDL(Page Definition Language)によるアプローチ

たとえばアノテーションを用いる場合、カスタムコンポーネントやレンダラにおいて@ResourceDependencyを使ってリスト1のように必要なAjaxリソースやライブラリを指定することができる。

リスト1

@ResourceDependency (name="ajax.js", 
                     library="javax.faces", 
                     target="head")
public class MyComponent extends UIOutput {
    ......
}

なお、この例で指定しているajax.jsはJSF 2.0で提供される予定のJavaScript APIを含むAjaxリソースである。その他、JavaScript APIではUIコンポーネントツリーの部分的な探索や、ページの一部分のみのアップデート、新しいリソース配信メカニズムなどがサポートされる予定。

JSFにJavaScript APIを統合する場合に問題となるのが名前空間だ。そのためJSF 2.0ではOpen Ajax Allianceに登録した"javax"をトップレベルの名前空間として使用し、"faces"をそのプロパティに、"Ajax"をfacesのプロパティに使用するとのこと。

その他、Ajaxを利用した動的なコンポーネントを用意することも提案されている。ただし、これはJSF 2.0の仕様に含むのではなく、コンポーネントライブラリの一部として提供される可能性が高い。

他のAPIとの関係

Java EE 6に含まれる予定のAPIにはJSFと関係の深いものがいくつかある。ServletやJSPはもちろんだが、JSR 299: Web Beansは特に注目すべきだろう。これはEJBとJSFのシームレスな統合を実現する新しいAPIであり、JBoss Seamをベースとして仕様策定が進められている。Web Beansが登場すれば、JSFで問題視されていたEJBのコンポーネントモデルとのギャップが解決される。またJSF 2.0ではPortlet 2.0などとの互換性も重視していくという。

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インデックス

連載目次
第60回 どうなる? 今後のJavaプラットフォーム(Java SE編)
第59回 どうなる? 今後のJavaプラットフォーム(Java EE編)
第58回 Java SE 7の要注目機能"クロージャ"はどうなるのか その6
第57回 Java SE 7の要注目機能"クロージャ"はどうなるのか その5
第56回 Java SE 7の要注目機能"クロージャ"はどうなるのか その4
第55回 Java SE 7の要注目機能"クロージャ"はどうなるのか その3
第54回 Java SE 7の要注目機能"クロージャ"はどうなるのか その2
第53回 Java SE 7の要注目機能"クロージャ"はどうなるのか
第52回 Early Draftが公開されたJSF 2.0
第51回 EJBから独立したJava Persistence 2.0
第50回 モバイルJavaの新しい潮流となるか - MSA 2.0のドラフト公開
第49回 やっぱり基本はServlet - Servlet 3.0のEarly Draftを読む
第48回 JOGLで3Dプログラミング その4
第47回 JOGLで3Dプログラミング その3
第46回 JOGLで3Dプログラミング その2
第45回 JOGLで3Dプログラミング
第44回 JARファイルを効率的にネットワーク転送するためのPack200形式
第43回 Early Draftで把握するEJB 3.1の新機能
第42回 次世代の携帯端末向けJava仕様"MIDP 3.0"はどうなるか その2
第41回 次世代の携帯端末向けJava仕様"MIDP 3.0"はどうなるか その1
第40回 リソースアダプタによる接続の仕組み
第39回 JCAを利用したシステム間接続
第38回 Java EEと外部システムの接続性を支えるJCAがバージョンアップ
第37回 Javaのモジュラリティ強化を担う"スーパーパッケージ"とは
第36回 JSR 308対応のコンパイラを試す
第35回 公開されたJSR 308のEarly Draftを検証する
第34回 スクリプト言語とJavaを結びつけるJSR 223
第33回 Java EE環境に統一されたコンポーネントモデルを提供するJSR 299 その2
第32回 Java EE環境に統一されたコンポーネントモデルを提供するJSR 299 その1
第31回 Javaの文法がそのまま使えるスクリプト言語"BeanShell"
第30回 Javaアプリケーションにオブジェクトのキャッシュ機構を提供するJCache API
第29回 Javaアプリケーションからのリソース管理を可能にするJSR 284
第28回 XMLデータソースへの問い合わせはJSR 225で
第27回 Portlet Specification 2.0をもっと手軽に利用する
第26回 次期Javaポートレット仕様となるJSR 286
第25回 JSFとポートレットをつなげるJSR 301
第24回 Webサービス向けのポートレット仕様「WSRP」
第23回 高い相互運用性を実現するポートレットAPI - JSR 168
第22回 Java EE環境でタスクのスケジューリングを可能にするJSR 236
第21回 Java EE環境でのスレッドプログラミングを可能にするJSR 237
第20回 音声認識/合成のためのAPI - Java Speech APIとJSR 113
第19回 JSR 291でJavaプラットフォームにダイナミックコンポーネントモデルを導入
第18回 JAX-RSで簡単RESTful - JSR 311
第17回 待望のServlet 3.0がJSRに登場 - JSR 315
第16回 アノテーションを使ってバグ退治 - JSR 305
第15回 アノテーションをさらに広い範囲で利用可能にするJSR 308
第14回 Webアプリケーション開発の要となるか - JSF 2.0がJSRに登場
第13回 Webサービス経由でのJMX Agentへの接続を可能にするJSR 262
第12回 Javaアプリケーションのモジュール化をサポートするJava Module System
第11回 "NIO.2"がやってきた - JSR 203: More New I/O APIs for the Java Platform
第10回 JSR 295: Beans Bindingの参照実装を試す
第9回 けっこう便利! 単位を扱うAPI -- JSR 275: Units Specification
第8回 アノテーションでバリデーション - JSR 303: Bean Validator
第7回 Swing開発の救世主となるか - Swing Application Framework
第6回 JavaBeansのプロパティを同期させるバインディングAPI
第5回 誰よりも早く"Java SE 7"を睨む
第4回 日時情報の取り扱いを改善する JSR 310: Date and Time API
第3回 古いAPIも進化している!? - JSR 919: JavaMail 1.4
第2回 JSR 1 リアルタイムJava仕様
第1回 JCPによって進められるJava関連技術の標準化

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