【コラム】

Java API、使ってますか?

37 Javaのモジュラリティ強化を担う"スーパーパッケージ"とは

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JSR 294: Improved Modularity Support in the Java Programming Language

次期JavaプラットフォームであるJava SE 7ではモジュラリティの強化として2つの新しいAPIが追加される予定となっている。ひとつは本連載第12回でも紹介した「JSR 277: Java Module System」。そしてもうひとつが「JSR 294: Improved Modularity Support in the Java Programming Language」である。

現在、Javaではパッケージシステムによってプログラムのモジュール化を行うことができるようになっているが、JSR 294はそれをさらに強化するために"スーパーパッケージ"という概念を導入しようというものだ。スーパーパッケージとは具体的に次のようなものだと紹介されている。

  • パッケージや他のスーパーパッケージとそのタイプの集合
  • 明示的に"Export"されたメンバのみ外部からアクセスできる
  • "Export"されていないメンバは、同じスーパーパッケージ内の他のメンバからのみアクセスできる
  • Javaソースファイルによって定義し、Javaコンパイラによってコンパイルできる

これによって、あるパッケージを公開するか隠蔽するかを、パッケージごとに制御することが可能になる。このAPIについての概要は昨年5月に行われたJavaOneのレポート記事でも紹介しているが、現在正式にEarly Draftが公開されているので、今回はその中身をチェックしてみようと思う。

スーパーパッケージの定義

スーパーパッケージは、メンバとしてパッケージとスーパーパッケージを持つことができる。スーパーパッケージは、superpackageキーワードとmemberキーワードを用いてリスト1のように定義する。この例の場合、FooのメンバはHogeとBarである。したがってHogeとBarはFooの中で有効となっている。

リスト1

superpackage Foo {
             member package Hoge;
             member superpackage Bar;
}

BarはFooのメンバであるスーパーパッケージなのでリスト2のように定義する。PiyoはBarのメンバだが、この例のようにexport宣言することで外部にも公開される。この2つの例の場合、FooからBarの公開メンバであるPiyoにアクセスすることも可能となる。

リスト2

superpackage Bar menmer Foo {
             member package Piyo;
             export package Piyo;
}

さらに、もしBarが公開メンバとしてスーパーパッケージBazを含む場合、BazもFooからアクセスすることが可能となる。

リスト3

superpackage Bar menmer Foo {
             member package Piyo;
             member superpackage Baz;

             export package Piyo;
             export superpackage Baz;
}

JVM仕様の変更

スーパーパッケージの定義ファイルは「super-package.java」という名前で生成する。たとえばcom.fooという名前のスーパーパッケージならば、定義ファイルはcom/foo/super-package.javaとして作成しなければならないとのことだ。

これをコンパイルすると「com/foo/super-package.class」という名前のクラスファイルが生成される。そのフォーマットは新たに追加されるスーパークラスのためのクラスファイル仕様によって決められる。このクラスファイルにはスーパーパッケージ名、自身をメンバとするスーパーパッケージ名、メンバのパッケージ名、exportするパッケージまたはクラス名、スーパーパッケージのアノテーションといった情報が記載される。

また、通常のJavaプログラムのためのクラスファイル仕様も修正され、スーパーパッケージのための属性が追加される。その他、スーパーパッケージによってimportの仕組みが従来とは変わってくるため、それに伴ってクラスローディングの手順にも変更が加わることになる。

リフレクションAPIの変更

Javaでは、リフレクションAPIによってJavaクラスからフィールドやメソッドなどの情報を取得することができる。このリフレクションAPIに、スーパーパッケージの情報を扱うためのクラスやメソッドなどが追加される。現時点では以下のものが候補に上がっている。

  • java.lang.reflect.Superpackageクラス
  • java.lang.SuperpackageFormatErrorクラス
  • java.lang.Class.getSuperpackage()メソッド
  • java.lang.ClassLoader.defineSuperpackage(java.lang.String, byte[], int, int)メソッド
  • java.lang.ClassLoader.findSuperpackage(java.lang.String)メソッド
  • java.lang.annotation.ElementType.SUPERPACKAGEフィールド

その他の検討事項

上記の変更点に加え、エキスパートグループで今後検討していくべき項目として次のような内容が挙げられている。

  • 動的に生成/ロードされたクラスの、スーパーパッケージへの所属のさせ方
  • 新しく追加される予約語が本当に適切であるかどうか
  • 「スーパーパッケージ」以外の適切な呼び方はないか(たとえば「モジュール」など)
  • Exportのための構文について
  • JVM仕様に追加される新しい属性について

また、JSR 294はJSR 277と密接な関係にあるため、両仕様で矛盾が生じないようにすり合わせていくことも重要となる。

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インデックス

連載目次
第60回 どうなる? 今後のJavaプラットフォーム(Java SE編)
第59回 どうなる? 今後のJavaプラットフォーム(Java EE編)
第58回 Java SE 7の要注目機能"クロージャ"はどうなるのか その6
第57回 Java SE 7の要注目機能"クロージャ"はどうなるのか その5
第56回 Java SE 7の要注目機能"クロージャ"はどうなるのか その4
第55回 Java SE 7の要注目機能"クロージャ"はどうなるのか その3
第54回 Java SE 7の要注目機能"クロージャ"はどうなるのか その2
第53回 Java SE 7の要注目機能"クロージャ"はどうなるのか
第52回 Early Draftが公開されたJSF 2.0
第51回 EJBから独立したJava Persistence 2.0
第50回 モバイルJavaの新しい潮流となるか - MSA 2.0のドラフト公開
第49回 やっぱり基本はServlet - Servlet 3.0のEarly Draftを読む
第48回 JOGLで3Dプログラミング その4
第47回 JOGLで3Dプログラミング その3
第46回 JOGLで3Dプログラミング その2
第45回 JOGLで3Dプログラミング
第44回 JARファイルを効率的にネットワーク転送するためのPack200形式
第43回 Early Draftで把握するEJB 3.1の新機能
第42回 次世代の携帯端末向けJava仕様"MIDP 3.0"はどうなるか その2
第41回 次世代の携帯端末向けJava仕様"MIDP 3.0"はどうなるか その1
第40回 リソースアダプタによる接続の仕組み
第39回 JCAを利用したシステム間接続
第38回 Java EEと外部システムの接続性を支えるJCAがバージョンアップ
第37回 Javaのモジュラリティ強化を担う"スーパーパッケージ"とは
第36回 JSR 308対応のコンパイラを試す
第35回 公開されたJSR 308のEarly Draftを検証する
第34回 スクリプト言語とJavaを結びつけるJSR 223
第33回 Java EE環境に統一されたコンポーネントモデルを提供するJSR 299 その2
第32回 Java EE環境に統一されたコンポーネントモデルを提供するJSR 299 その1
第31回 Javaの文法がそのまま使えるスクリプト言語"BeanShell"
第30回 Javaアプリケーションにオブジェクトのキャッシュ機構を提供するJCache API
第29回 Javaアプリケーションからのリソース管理を可能にするJSR 284
第28回 XMLデータソースへの問い合わせはJSR 225で
第27回 Portlet Specification 2.0をもっと手軽に利用する
第26回 次期Javaポートレット仕様となるJSR 286
第25回 JSFとポートレットをつなげるJSR 301
第24回 Webサービス向けのポートレット仕様「WSRP」
第23回 高い相互運用性を実現するポートレットAPI - JSR 168
第22回 Java EE環境でタスクのスケジューリングを可能にするJSR 236
第21回 Java EE環境でのスレッドプログラミングを可能にするJSR 237
第20回 音声認識/合成のためのAPI - Java Speech APIとJSR 113
第19回 JSR 291でJavaプラットフォームにダイナミックコンポーネントモデルを導入
第18回 JAX-RSで簡単RESTful - JSR 311
第17回 待望のServlet 3.0がJSRに登場 - JSR 315
第16回 アノテーションを使ってバグ退治 - JSR 305
第15回 アノテーションをさらに広い範囲で利用可能にするJSR 308
第14回 Webアプリケーション開発の要となるか - JSF 2.0がJSRに登場
第13回 Webサービス経由でのJMX Agentへの接続を可能にするJSR 262
第12回 Javaアプリケーションのモジュール化をサポートするJava Module System
第11回 "NIO.2"がやってきた - JSR 203: More New I/O APIs for the Java Platform
第10回 JSR 295: Beans Bindingの参照実装を試す
第9回 けっこう便利! 単位を扱うAPI -- JSR 275: Units Specification
第8回 アノテーションでバリデーション - JSR 303: Bean Validator
第7回 Swing開発の救世主となるか - Swing Application Framework
第6回 JavaBeansのプロパティを同期させるバインディングAPI
第5回 誰よりも早く"Java SE 7"を睨む
第4回 日時情報の取り扱いを改善する JSR 310: Date and Time API
第3回 古いAPIも進化している!? - JSR 919: JavaMail 1.4
第2回 JSR 1 リアルタイムJava仕様
第1回 JCPによって進められるJava関連技術の標準化

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