上からレンホー

「無駄があるのであれば、それを止めていただいて、戻していただいて、被災地に使っていただきたい」

2013年4月25日の参議院予算委員会にて、民主党の蓮舫議員は安倍首相に要請します。復興関連の予算が、被災地以外のパチンコ店やスーパーマーケットの省エネ対策に使われていることを指摘します。ウィキペディアによれば、蓮舫議員は台湾生まれで、幼稚園から大学まで青山学院大学(青学)に通っていたとあり、そこからたぶん東京育ちでしょうし、参院も東京選出です。しかし、取り上げた店舗はすべて山口県、安倍首相のお膝元です。つまり、予算質疑にかこつけた政権攻撃なのでしょうが、応じた安倍首相は苦笑しながらこう返します。

「この予算自体を、こういう仕組みをつくったのは、皆さんですよね? 」

民主党政権時代に組まれた予算を執行しているに、過ぎない首相に「要請」するとは、どれだけ「上から目線」なのでしょうか。「要請」とは文章表現によるものではなく、蓮舫議員の発言をそのまま採用しています。「お願い」なら、まだ理解もできるのですが。

安倍首相の箴言

蓮舫議員の主張は「無駄があるなら削れ」と一見筋が通っているかのようですが、執行された予算を突然停止させることによる現場の混乱は甚大です。「政治主導」の名の下に、建設中止を発表した八ッ場ダムの混乱をみるまでもなく、動いているプロジェクトを止めるときには、より慎重さが求められることは、民主党政権が体現して見せたことです。それを軽々に「削れ」と命じる様に、安倍首相は先の言葉にこう続けたのでしょう。

「反省してないんですか?それは反省していますよね?」

上から目線で尻ぬぐいを「要請」する彼女に、反省の二文字は理解できないのかもしれません。

集客ができないことが、いままでのホームページ制作会社の問題点だ。こう指摘するのは、おなじくホームページ制作会社を経営するM氏。ニッチマーケティング戦略の構築を標榜し、ホームページは作るだけではダメだと喝破します。主張は正論です。ホームページは作っただけでは役立たずです。というより、設計段階から集客を意識しなければならないのです。大雑把に言えば、広告により集客するのか、検索エンジンからの流入をメインとするかで、予算配分が違ってくるからです。

衝撃のフリーダイヤル

そこでM氏の会社のホームページを見てみます。ワードプレスというCMS(サイト管理システム)を利用し、それぞれのコンテンツはお客が自分で作るシステムになっています。ワードプレスはもともと「ブログ」として提供されていたもので、コンテンツもブログを書く要領で作ることができますが、ニッチマーケティング戦略とやらはここに登場しません。

高校生の小遣いぐらいの月額利用は定額制で、ページ追加・変更費用、ドメイン・サーバ費用、メイン画像作成がすべて0円です。もっともワードプレスを利用したなら、ページの追加更新は各自の責任で行われるので、無料なのは当たり前ですが、

「ハイクオリティなメイン画像をご要望の場合、ハイクオリティ画像作成をご注文ください」

と続きます。つまり、ロークオリティなメイン画像作成のみ0円ということですが、さらなる突っ込みどころはページの最上部にありました。

「TEL0120-XXX-XXXX」

画面最上部に受付時間とともに、記載されたフリーダイヤルの電話番号です。原稿に起こす際、念のため電話をかけてみましたが、番号をお確かめくださいと、お馴染みの合成音声でたしなめられました。

名前も変えずに公開する愚

さらによく見るとこんな一文を発見します。

「【ホームページ名】では、見せかけの低価格やわかりにくい価格設定はいたしません。」

種明かしをすると「テンプレート」です。テンプレートとは先のワードプレスや、ムーバブルタイプにおけるデザインの基本となるもので、それを業種別にカスタマイズしたものが販売されています。M氏はそのなかの「ホームページ制作業向けテンプレート」を購入し、それを自社のサイトとしていたのです。つまり【ホームページ名】には、自社名やサービス名をいれなければならなかったのです。ついでにこんな箇所も発見。

「また、弊社にご相談いただければ、メール、お電話(サポート内容によって、記述を変更する。)で丁寧にご対応致します。」

括弧内はテンプレートにあった注意書きでしょう。このレベルで…いや、M氏は自分のちからだけで、まともにホームページを作ったことがないのです。そのくせ、同業他社を見下す「上から目線0.2」です。まともな予算編成を一度もできずに、政権の座を追われたどこかの政党に似ています。

自分たちが組んだ予算の停止を、現在の首相に対して、上から目線で「要請」する国会議員の無責任さにはあきれ果てて溜息すらでませんが、さらに2013年5月11日には

「今日本で一番面白い(はずの)ケーススタディ。民主党公開大反省会」

を開くそうです。パネリストは菅直人、枝野幸男、長妻昭。長妻氏以外は、原発事故、東日本大震災の初動にあたった当事者が「面白い」と銘打つイベントに登場できる時点で、あの党の辞書そのものに「反省」がないのかもしれません。そして敬称略は、国民としての素直な感情の発露です。

エンタープライズ1.0への箴言


「上から目線の無責任ほどタチの悪いものはない」

宮脇 睦(みやわき あつし)
プログラマーを振り出しにさまざまな社会経験を積んだ後、有限会社アズモードを設立。営業の現場を知る強みを生かし、Webとリアルビジネスの融合を目指した「営業戦略付きホームページ」を提供している。コラムニストとして精力的に活動し、「Web担当者Forum(インプレスビジネスメディア)」、「通販支援ブログ(スクロール360)」でも連載しているほか、漫画原作も手がける。著書に『Web2.0が殺すもの』『楽天市場がなくなる日』(ともに洋泉社)がある。

筆者ブログ「ITジャーナリスト宮脇睦の本当のことが言えない世界の片隅で」