Small Basicとは

Small Basicとは、Microsoftが無償で提供するBASIC言語の開発環境だ。言語仕様やAPIセット、開発環境の機能面などさまざまな面でシンプルさが追求されており、学習/教育向けの色合いの強いツールだが、単独で実行可能なexeファイルを生成可能だったり、作成したアプリケーションをSilverlightアプリケーションとしてWebに公開することができるなど、実用的な用途にも利用することが可能だ。

Small BasicのWebサイト

現在30代以上の技術者の方の中にはBASICでプログラミングを始めた、という方も多いのではないだろうか。当時を思い出しつつ、Small Basicで日曜プログラミングするのも悪くないだろう。

Hello, Small Basic!

Small BasicのインストールはWebサイトからダウンロードしたインストーラを実行するだけで完了する。Small Basicを起動すると以下のようなウィンドウが表示される。

図2 Small Basic

はじめの一歩としてお約束のHello Worldアプリケーションを作成してみよう。Small Basicのエディタに以下のコードを入力しよう。

TextWindow.WriteLine("Hello, Small Basic!")

コードの入力中には以下のように入力補完(intellisence)が効く。補完候補には説明もあわせて表示される。

図3 入力補完

コードを入力したらツールバーの[実行]ボタンをクリックしてプログラムを実行してみよう。以下のようにコマンドプロンプトが開き、メッセージが表示されるはずだ。

図4 プログラムの実行結果

グラフィックを使ってみよう

先ほどの例ではコンソールアプリケーションを作成したが、グラフィックを扱うアプリケーションを作成してみよう。

GraphicsWindow.Title = "Hello, Small Basic"
GraphicsWindow.BackgroundColor = "Black"
GraphicsWindow.PenColor = "White"

GraphicsWindow.Width = 200
GraphicsWindow.Height = 200
For i = 1 To 100 Step 5
  GraphicsWindow.DrawRectangle(100 - i, 100 - i, i * 2, i * 2)
EndFor

GraphicsWindow.Show()

このコードを実行すると以下のようなウィンドウが表示される。

図5 グラフィックを使ったアプリケーションの例

実行ファイルの生成とWebへの発行

Small Basicではプログラムファイルを*.sbという拡張子で保存する。プログラムを実行すると同じディレクトリに*.exeとSmallBasicLibrary.dllが生成される。作成したアプリケーションを配布する場合はこの2つのファイルを配布する必要がある。

また、Small Basicで作成したアプリケーションをSilverlightアプリケーションとしてWeb上に公開することもできる。Small Basicのツールバーから[公開]をクリックすると、以下のようにWebブラウザからアプリケーションにアクセスすることができる。右側のテキストエリアに表示されているHTMLタグをコピー&ペーストすることで任意のWebページにアプリケーションを埋め込むことも可能だ。

図6 Webに公開されたアプリケーション

まとめ

Small Basicは大きなアイコンや補完ウィンドウなど、Visual StudioやEclipseといった一般的な開発環境と比べるとプログラミング初心者にも親しみやすいユーザインタフェースになっている。

プログラムを1ファイルに記述する必要があったり、デバッガなど通常のIDEで一般的な機能が存在しないなど、本格的なプログラミングに向いているとは言い難い面も多いが、用途を考えれば徹底的に複雑さを排除することでシンプルで扱いやすい開発環境となっている点は評価できる。覚えることが少ないのですぐに使い始めることができるだろう。学習/教育用途だけでなく、ちょっとしたゲームなどを作るといった用途にも適したツールだ。

Small Basicのブログにはさまざまなサンプルやアプリケーションが紹介されているのでこちらもあわせてチェックしてみてほしい。