【コラム】

どこでもサイエンス

36 地球上の生物は推定870万種。実はその9割が発見されていない

36/109

地球上の生物は870万種と推定され、その9割が発見されていないのだそうです。ということは、100万種くらいは発見されているということですね。それにしても、発見されていないものがなんでわかるのかとか、生物の種とか、いろいろおもしろそうですねー。ということで、そのあたりのお話でございますー。

学生のころ、友人が新種の生物を発見しました。いーなー、これで、卒業は楽勝だよなーと、こちとら論文のための測定をヒーヒーいってやりながら思ったものです。ただその友人はしかし、研究の世界に進まなかったのですけどね。あ、それはこっちも同じか。

それはさておき、新種の発見ってのはニュースなのですが、実はあんがいそうでもないのかもー。というのは、地球上の生物の9割はまだ発見されていないと考えられているからなんですな。

とはいうものの、ほぼわかっているものだってございます。たとえば、最近、絶滅しそうと話題のウナギ。結構いろいろ種があって、Wikipediaによると…えっと18種ですね。では、大型哺乳類でも絶頂の人類はというと…ウナギなみの分け方だと、チンパンジー、ボノボ、それにヒトの3種って感じになるみたいです。70億人もいるヒトが1種なんですな。チンパンジーが人類というのはなっとくいかん! という方もいらっしゃると思いますが、生物学的分類ではそうなるのでございます。

この生物学的分類ですが、DNAだの遺伝子だのが知られていない時代、18世紀!に、基礎がつくられました。作ったのはスウェーデンのカール・リンネという科学者です。アルファベットだとCarl Linnaeusでございます。スウェーデン語の発音はリニーアスみたいですが、まあ、リンネさんで通っておりますなー。

さっき書いたように、DNAだの遺伝子だのが知られていない時代だったので、リンネさんの分類は、外形の特徴によるものでございます。母乳をあげるのが哺乳類とか、植物をおしべの数で分類するとか、そんな感じですね。リンネさんが偉いのは、種は違うけど、似たものを属というグループにし、そのグループ通しが似ているものを綱にまとめ、さらに、目をその上位に集めるという、階層を生物につかったことでございます。

また、それまでは、すごーく長ったらしかった生物名を、属・種と表す「二名法」を使いはじめたことです。ヒトなら、ホモ・サピエンス。チンパンジーなら、パン・トログロダイト。ボノボは、パン・パニスカスってな具合です。ちなみに、鳥のトキは、ニッポニア・ニッポンですな。ちなみに「欧米語の漢文」であるラテン語であらわすお約束になっております。ニッポンがラテン語なの? 固有名詞なのでいいんですねー。

さて、そんな生物の種ですが、リンネさんは見た目で分類しました。顕微鏡は発明されていたので、それも利用したでしょうね。植物をおしべの数で分類しましたが、いまでは意味がない分類ってことになっています。あとWikiでは、クジラを魚類と分類していたということだそうですが…ま、ご愛嬌でございます。ともあれ、これを基礎として、分類がされてきました。

最近では、DNA、それも細胞の核じゃなくて、ミトコンドリアのそれを読み取って分類を決めたりするのだそうです。遺伝子のパターンをとって分類ってのが日常的になっております。そして、分類もどんどん複雑になり、種、属、目、綱だったリンネさんの時代に比べて、いやーーーおぼえられないーーってくらいになっています。

種、属、科、目、綱、門、界、ドメインで、さらに亜属とか亜科なんてのが入ることがございます。英語だとなかなかおもしろくて、科はファミリー、綱はクラス、門はディビジョンってのはいいとして、界はキングダム(王国)でございます。ドメインは、スーパーキングダム(超王国)とかインペリアム、エンペラー(帝国)とかが使われることもあるようです。

――ちょっと脱線です(ここ、ややこしいので、読み飛ばしてください)

ドメインになると3つです。3帝国ってわけですな。

  1. 真核生物 帝国(ドメインといいなさい)
  2. 古細菌 帝国(だからドメインだって)
  3. 真正細菌 帝国(・・もうええわ)

です。3つしかないからねー。テストにでそうですな。別の分類方法では2つにしちゃえってのがあって、真核生物とそれ以外(原核生物)または、真核生物は古細菌にいれちゃう(えーー)ってのがございます。混乱していますな。まあ3帝国が普通みたいですけど。なお、真正細菌はバクテリアなどの、細胞核をもたない生き物です。そんなんがいるんですね、いや習ったかなー…。

界は5つです。五つの王国ってことですね。真核生物を

  1. 動物 王国(界でしょ・・もういいか)
  2. 植物 王国(コケはここにはいります)
  3. 菌 王国(カビの一部やキノコなど)
  4. 原生動物 王国(アメーバやゾウリムシ、ワカメなど)
  5. 原核動物 王国(モネラということもあります。納豆菌なんがそうなんですと!)

にわけるのですな。1~4が「真核生物」帝国傘下です。ただ、これだと帝国が違うはずの「古細菌」と「真正細菌」が同じ「原核動物」王国になっちゃうので、困ったもんだ、になってしまいますな。高校の生物の教科書では界は5つにしていたと思います。学術分野では、古細菌と真正細菌は明確にわけているようです。

――脱線終了でございます

ってわけで調べれば調べるほど、生物はややこしくなってくるのですが。ともかく種というところにおとせば、いいわけでございます。

が、これも調べるとややこしいですなー。

種ですが、古い考え方だと、子孫をずっと残せれば同じ種としました。トラとライオンの子供なんてのが見世物になった時代もありましたが、その子供は生まれません。つまりトラとライオンは違う種ってことになります。ところが、植物なんかだと、子孫をのこせちゃたりするケースが多いんですよねー。これが。

まして、雄と雌がない場合なんてどうなるのよ。ってな話をはじめると、キリがなくなっていきますね。そこで、いろいろな種の分け方があるのですが…・あー、とてもまとめられない!! まあ、生物学者も悩んで悩んで種を考えているでございますな。ようやるわと思います。

そんなこんなで、現在までに100万種以上の生物の種が、発見・登録されてまいりました。これはデータベースに登録されています。で、そのうち大半は動物界に所属し、ほとんどが昆虫です。

さらに、このデータベースを解析した研究者が、発見されている種の穴の開き方のパターンに注目し、全部で870万±130万種ってなことを発表しております

まあ、そういう研究もあるということでございます。この研究が正しいと9割が未発見ということになりますなー。9割…うん、なんか自分でも新種が発見できるような気がしてきましたー(無理無理)。

5界説のイメージ(画像は編集部作成)

著者プロフィール

東明六郎(しののめろくろう)
科学系キュレーター。
あっちの話題と、こっちの情報をくっつけて、おもしろくする業界の人。天文、宇宙系を主なフィールドとする。天文ニュースがあると、突然忙しくなり、生き生きする。年齢不詳で、アイドルのコンサートにも行くミーハーだが、まさかのあんな科学者とも知り合い。安く買える新書を愛し、一度本や資料を読むと、どこに何が書いてあったか覚えるのが特技。だが、細かい内容はその場で忘れる。

36/109

インデックス

連載目次
第109回 世の中を変えた発明、なんでしょう。
第108回 ハイテク素材と赤い炭
第107回 8月7日(月)深夜・月食を見よう!
第106回 2017年の宇宙、どうでしょう? - 下半期・その2
第105回 2017年の宇宙、どうでしょう? - 下半期・その1
第104回 予言者? ジュール・ヴェルヌ
第103回 幻の毎日新聞プラネタリウム館 - 東日(毎日)天文館
第102回 地球は、どう、動いてる?
第101回 アインシュタインの方位磁石 - サイエンスな人の一品
第100回 アストロバイオロジーって、何それ、オイシイの?
第99回 太陽はスゴイ? - 成績発表会
第98回 実験装置、見たい?
第97回 地図と星は仲がいい
第96回 山が変える惑星の模様
第95回 ほとんどの星は爆発しない
第94回 それも「バラ科」ですか……!?
第93回 2017年の宇宙、どうでしょう? - 上半期編その2
第92回 2017年の宇宙、どうでしょう? - 上半期編その1
第91回 流れ星を見つけるコツ
第90回 コピー機の発明について、調べてみたよ
第89回 いにしえの中国やインドの宇宙
第88回 「火星の呪い」が発動
第87回 来年のノーベル賞予想ごっこ
第86回 天文学研究のため、レンジは使わないでください
第85回 カフェでリア充、科学者ハレー
第84回 お月見の日は、どう決まる?
第83回 たまご、熱すると固まるナゾ
第82回 8月12日のペルセウス座流星群と黒い彗星
第81回 絶滅のサイエンスとリョコウバトとウナギ
第80回 ジュノー探査機、木星到着
第79回 「ニホニウム」で知ったかぶりをするための知識5連発
第78回 2016年の「宇宙どうでしょう?」 (下半期)
第77回 増やせばワカルDNA - 「PCR」のお話
第76回 宇宙人を探すなんて、できるの?
第75回 海がない国 スイスで生まれた深海潜水艇
第74回 とりあえず春は、北斗七星。
第73回 くらべてワカル!? 宇宙の世界
第72回 さくらが春に咲くのは、寒さを越えるプログラムがあるから
第71回 ひさしぶりの日食のお知らせ - 日本は2016年3月9日午前11時前後
第70回 「重力波」つかまえました
第69回 春のこよみのサイエンス
第68回 火星をざっくり知っておきましょー
第67回 冬はハワイが近い!? - ジェットストリーム
第66回 2016年の「宇宙、どうでしょう?」(上半期)
第65回 年間最多の流れ星が見える! 12月14日夜はふたご座流星群
第64回 毒についてチョット調べてみました
第63回 凧とかみなり、フランクリン
第62回 はやぶさ2も見られるの?? 人工衛星を見るはなし
第61回 ノーベル賞をゲットしたニュートリノ探知装置
第60回 科学者が、虹遊びをすると…
第59回 日本人は、元素の名づけ親になれるか!?
第58回 数字のケントーをつける話=フェルミ問題
第57回 「星の名決定」総選挙に参加できるぞ!
第56回 夏休み、おてがるサイエンス
第55回 冥王星に接近しました
第54回 硬い冷たいダイヤだよ
第53回 2015年の「宇宙、どうでしょう?」(下半期)
第52回 潜水艦を発明した愛すべきおっさん
第51回 冥王星まめちしき10連発(ビフォー編)
第50回 ジュラ紀とかエディアカラとか、実はローカルな地名ばかりの地球の歴史年代
第49回 夜空の神2共演 - 金星と木星が接近するぞ!
第48回 キャンディをかむと光るのは本当か?
第47回 2015年4月4日夜9時。むこう3年ない皆既月食をみのがすな!!
第46回 浦島太郎とか双子とかとカーナビなサイエンス
第45回 100万年かけて、あったかいーの
第44回 電話より先に発明されたファックス
第43回 世界の「宇宙窓」から
第42回 圧力鍋は、できそこないのエンジン!?
第41回 2015年の「宇宙、どうでしょう?」(上半期)
第40回 12月13~14日は、年に一番流れ星が多い時期
第39回 はやぶさ2、打ち上げそして旅の友
第38回 これだけ知っとこ、小惑星探査機「はやぶさ2」
第37回 誘導ミサイルとポップコーン
第36回 地球上の生物は推定870万種。実はその9割が発見されていない
第35回 祝・日本のお家芸・青色LEDがノーベル賞
第34回 2014年10月8日夜8時。ゼッコーの皆既月食をみのがすな!
第33回 シロウトにチャンス到来・惑星の名前をつけられるぞ!
第32回 スゴイぜ! 彗星探査機「ロゼッタ」
第31回 天才&変人キャベンディッシュ
第30回 渡り鳥が作るV字型編隊の謎
第29回 やってはいけない!サイエンス
第28回 フロッピーの栄枯盛衰
第27回 2014年の宇宙、どうでしょう? - 下半期編その2
第26回 2014年の宇宙、どうでしょう? - 下半期編その1
第25回 100円で作れるちょっぴりキケンな科学オモチャ「アストロ・ブラスター」
第24回 5月24日土曜夕方に本当にでるのか!? - 「きりん座流星群」
第23回 いま、サイエンスで一番アツイ? - タンパク質ギョーカイをのぞく
第22回 英国科学雑誌のQ&Aコーナー - そんなに熱くなるなんて…
第21回 2年2カ月に1度のチャンス! - 火星ただいま接近中
第20回 科学なパーソナリティ列伝
第19回 今年が寒いのは太陽のせい? - 実は暗い太陽の未来
第18回 日本に降る雨は「だいたい雪」、だそうです
第17回 どこでもサイエンス-チョコレートは惚れ薬?
第16回 江戸時代からある「クローン」
第15回 2014年の宇宙、どうでしょう? - 上半期編
第14回 謎実験 - ニュートンビーズ
第13回 12月14日はふたご座流星群の日! - サクッとわかる観察ポイント
第12回 新月が出たぞという意味の「カレンダエ」からはじまった「カレンダー」
第11回 気持ちよく歌えるエコーのおはなし
第10回 ノーベル賞を楽しむネタ知識あれこれ(後編)
第9回 ノーベル賞を楽しむネタ知識あれこれ(前編)
第8回 ただいま接近中 ‐ アイソン彗星
第7回 信号ひとつは70ワット - 交通信号機にまつわる科学のはなし
第6回 いますぐ使える「月」の知識11連発(後編)
第5回 いますぐ使える「月」の知識11連発(前編)
第4回 飲める「リトマス試験紙」
第3回 カンタン工作 - 百均虫めがねで「カメラ箱」を作ろう
第2回 8月12日と13日の夜はペルセウス座流星群を観察しよう
第1回 教科書を覗いてみよう - 小学校3年生の理科より「明かりをつけよう」

もっと見る

関連キーワード


人気記事

一覧

イチオシ記事

新着記事