ポール・ウェラーの深い言葉に感動

はじめまして、hitoです。現在、デビューに向けて活動している歌手のタマゴです。いつも、色々な音楽を聴いています。辛いことがあっても救われたり、いろいろ考えさせられたり。音楽は私にとってなくてはならないモノです。私自身もそんな音楽をいつか皆さんに届けたい、そう思って歌っています。とにかく音楽が大好き! このコラムでは、私が観て何かを得た音楽DVDソフトを毎月紹介していきたいと思っています。どうぞ、よろしくお願いします。

まずは、ポール・ウェラーの『アズ・イズ・ナウ』です。ポール・ウェラーの最高傑作と言われる2005年のアルバムの制作風景や、ライブ映像などを収録したドキュメンタリー作品です。実は私、ポール・ウェラーにはちょっとした縁があるんです。現在、私はパリスマッチの古澤大さんにプロデュースをお願いしているのですが、パリスマッチというユニット名は、ポール・ウェラーの前のユニットであるスタイル・カウンシルの曲名から、頂いているそうなのです。そういう縁もあって、ポール・ウェラーの作品はよく聴いていたのですが、このDVDはいろいろな面で勉強になりました。

とにかくポール・ウェラーの発言ひとつひとつの重みや、深みが凄いんです。これまで も彼の作品を楽しんでいたのですが、彼の発言に触れた事はありませんでした。今回初めて彼の生の言葉を聞いて、感じるものがたくさんありました。パンクからお洒落なポップに変化し、それからも多種多様な音楽を発信してきたポール・ウェラーが「今、僕はロックに帰ってきたんだ」みたいな事を言っているんです。50代手前の男性が言うからこそ、この言葉は深い意味を持っているなと思いました。もちろん発言だけでなくて、最新の彼の音楽も素晴らしいんです……。真剣に音楽に取り組み続けている彼の音と言葉に、色々考えさせられました。とにかく、ポール・ウェラーの放つあらゆる言葉は、そのまま歌詞になりそうなものばかりでした。

サニーデイ・サービスというバンドが大好きで、その中心人物だった曽我部恵一さんの、『曽我部恵一 NAKED SONGS』を観ました。作品同様、淡々とした落ち着いた作品で、なんていうか、ライブDVDと言うよりも、まるで絵本を見ているような感じがしました。弾き 語りで唄い続ける曽我部さんの姿が、モノクロの映像にとても合っていて、シンプルなんですが、だからこそ逆に強く伝わります。タイトル通り、そのままむき出しの作品だなあと感じました。曽我部さんの好きな下北沢の街をカメラが進んで行き、様々な演出でスタッフ紹介がされるという手法も良かったです。

曽我部さんの作品は個人的な曽我部ワールドをみんなに見せる、という感じでしたが……。東京スカパダイスオーケストラの埼玉スーパーアリーナのライブDVDは、何から何まで、その逆と言った感じです。演奏はもちろん、MCや照明などの演出にいたるまで、全ての要素が観客を楽しませるためにあるという感じでした。こういうのが、計算されつくしたエンターテイメントなんだと思います。観客みんなの笑顔も含めて、皆でこの空間を作っているという感じでした。個人的にはギターの加藤隆志さんのパフォーマンスが、ものすごく印象に残っています。赤い照明に照らされてギターソロを弾く姿には、鳥肌がたちました。

さらにハナレグミ、チャラ、甲本ヒロトの3人がゲストボーカルとして登場しているんです。これはかなりお得! ハナレグミのオリジナル曲もスカっぽいアレンジになっていりして、新鮮でした。チャラさんは、ライブDVDを持っているぐらいに好きなアーティストなんですが、とにかくスカパラ同様に観客を盛り上げるのが上手で勉強になりました。私もいつかあんなふうになれたらなあ、なんて妄想してしまいました。甲本さんはMCも何もなく登場してサッと唄い帰るという感じで、そのあっさり感が潔かったです。彼はとにかく居るだけで存在感が凄くて。唄ってる時は真剣というか怒ってるみたいな、怖い顔なんですが、振り帰ってスカパラのメンバーを見るときの笑顔がとっても素敵で印象的でした。 このDVDは2枚組みでとても長い作品なんですが、構成が秀逸なので退屈せず、一気に楽しめました。私もまだ持ち歌が少ないので、こんな長い作品が作れるように、良い曲をどんどん書かなければと思いました。負けずに頑張ります。

hito
今年、歌手デビューを予定している注目の新人アーティスト。現在はモデルとして、様々なファッション誌やカタログで活動中。自ら作詞・作曲もこなす。オリジナル楽曲はこちらで試聴可能。