今回の選書

「時間がない!」を卒業する200のアイデア(マイケル・ヘッペル著 服部真琴訳) クロスメディア・パブリッシング

「時間がない!」を卒業する200のアイデア(マイケル・ヘッペル著 服部真琴訳) クロスメディア・パブリッシング

選書サマリー

「時間がない!」を卒業しよう。そのためには、はじめに「なぜ時間が欲しいのか」動機を見つけることだ。あなたは、1日1時間節約して何をしたいか。

動機がわかったら、それを紙に書きだしてみることだ。書いたら、手近な場所に置き、やる気を出したい時や初心に戻りたい時などに、読み返すことだ。

1日1時間を手にするためには、まず15分単位のブロックを1日に4つ見つけることだ。1日には15分間のブロックが全部で96個ある。それぞれの時間に何をしているかをチェックすることだ。

自分の行動を7日間、15分ごと、長くても1時間ごとに行動を記録してみてほしい。自分の時間の使い方が見えてくるはずだ。

この時、夜にまとめて書いてはいけない。自分が何をしたかを忘れてしまうからだ。その結果、自分の行動をでっちあげることになってしまう。

やることが多すぎると、行動のペースが落ち、毎日の貴重な時間が無駄になる。同じように、物が多すぎると、悪いエネルギーが生まれる。いらない物はどんどん捨てて欲しい。

まず、身の回りを徹底的に整理することだ。ゴミ箱を持って不用品の山へ向うのだ。ゴミの山やモノの山、とりわけ紙類は、あなたの大きな重荷になっているはずだ。

デスクの上にあるものは「捨てる」「ファイルする」「押しつける」の3つに分類してほしい。

まず「捨てる」だ。未練は断ち切って、巨大な「捨てるもの」の山を作る。そして、とにかく捨てる。最初のゴミ袋は、この作業でいっぱいになるはずだ。 次に「ファイルする」だ。分別したら、それも大半は捨てることができる。なぜなら、ファイルした書類の9割は、ファイルから出されることさえないからだ。キャビネットは、ゴミ箱と同じなのだ。

最後に「押しつける」だ。あなたのデスクにあるものは、あなたが管理すべきものばかりではないはずだ。誰かにあげてしまえばいい。できるだけ多くのものを、人に押しつけることだ。

コンピューターの整理は簡単だ。「バックアップ」と名前をつけたフォルダを作成し、数日ごとに外付けのディスクに転送すればいい。大切なデータは、何でもフォルダに放り込む。

その他のものは、ゴミ箱直行だ。メモリの半分は、使わないファイルで埋まっているはずだ。

メールは、メール専用のフォルダを複数作成し、重要なものだけ保存する。迷惑メールを掘り起こすなら「大儲け」とか「バイアグラ」など、特定の単語を含むメールを検索し、まとめて削除する。

さらに、日付に従って整理する。たとえば、1年前の日付を基準に、それ以前のメールは全削除する。このときもためらいは禁物だ。

また、データサイズに従って分類することもできる。大容量のファイルが添付されたメールをいつまでも保存していたら、あなたとコンピューターの作業速度が落ちてしまう。

家の中の不用品も捨てるべきだ。「必要なものも捨ててしまうかも」と不安かもしれないが、そんなものが必要になる日は来ない。仮に来たとしても、それを捜し回って、時間を無駄にするだけだ。

大掃除のときは、さらに時間を費やして「取っておく」もののありかがわかるようにする。箱に保管したら、中身をラベルで記すようにするのだ。

箱の上部と側面2ヵ所に高品質の油性ペンで中身を書く。これなら、上や横に別の箱があっても、必ず中身がわかるはずだ。その際、中身を詰めた日付を書いておくことをお勧めする。

数年後、箱を調べて欲しい。保存した日から、一度も箱を開けたことがない箱がたくさんあることに気づき、驚くはずだ。

選書コメント

時間をねん出するためのアイデアを200も紹介してくれる本です。時間不足は、すべてのビジネスパーソンに共通する、永遠の悩みと言えます。

メールにツイッター、フェイスブックなど、様々なツールが登場して、便利になったはずですが、時間はますます奪われ、何だか忙しくなるばかりです。

いったい、どうすれば無駄を減らし、時間を節約できるのでしょう?そのためのアイデア集です。一日一時間のねん出を目指します。この手の本では珍しい、英国式です。

なお「時間節約の本を読んで、時間を消費した」という、笑い話にならないよう、本書はパラパラ必要なところだけ読めば使えるようになっています。著者が勧める通り、トイレに置くのに最適です。

前半では、考え方や心構え、そして「リスト作り」など、具体的な方法を紹介します。後半には、個別のケースとして、自宅編と職場編、さらに上級テクニックとおまけを紹介して締めくくられます。

もちろん、読んだだけではだめで、実行しなければ、時間は手に入りません。それを考えて「やるべきことを、寝る前に五つ書き出せ」など、すぐできるものばかりです。

他にも「口に出す」「誰かにお任せ」「会議は45分」「無駄な仕事は誰かにお任せ」「メールでなく電話」「やらないことリストを作る」など誰もがすぐに採用できるものばかりです。

本書のアイデアを実行に移せれば、ねん出できるのは一日時間、どころではないはずです。「時間が足りない!」悩む、おそらくすべてのビジネスパーソンにお勧めできる一冊です。

選者紹介

藤井孝一

経営コンサルタント。週末起業フォーラム代表。株式会社アンテレクト代表取締役

1966年千葉県生まれ。株式会社アンテレクト代表取締役。経営者や起業家という枠にとどまらず、ビジネスパーソン全般の知識武装のお手伝いを行うべく、著作やメールマガジン、講演会、DVDなど数々の媒体を活用した情報発信を続けている。著書にベストセラーとなった『週末起業』(筑摩書房)はじめ、『かき氷の魔法』(幻冬舎)、『情報起業』(フォレスト出版)など。

情報提供: ビジネスパーソンの情報サイト「ビジネス選書&サマリー