2014年を予測する前に、まずは2013年の予測を振り返ってみましょう。

次の表は、2013年に予測した内容と、それに関連したバラクーダネットワークスのアクションを簡単にまとめています。

2013年の予測 バラクーダネットワークスのアクション
仮想化はネットワーキングの概念を変える ネットワーク仮想化プラットフォーム、Eonを発表(2013年5月7日)
WAFがWindows Azureに対応(2013年7月9日)
アマゾンウェブサービス(AWS)に対応(2013年11月13日)
ADCとBarracuda NextG FirewallがWindows Azureに対応(2013年10月8日)
Barracuda NextG FirewallがAWSに対応(2013年12月13日)
データ増加はデータ保管の概念を変える Barracuda Backupでクラウドストレージを拡張(2013年8月26日)
企業向けの拡張版、Copy for Companiesを提供(2013年8月27日)
次世代ファイアウォールが主流に Barracuda Firewallを発表(2013年2月26日)
Barracuda NextG Firewallのアプリケーション制御を強化、トラフィックの優先順位付けをリアルタイムで実施(2013年4月24日)
Barracuda Firewall X100とX101を発表(2013年9月4日)
Barracuda NextG Firewallの新モデル、F600を発表(2013年10月15日)
企業はソーシャルメディアの活用と対策が迫られる Barracuda Web Filter 7.0がソーシャルメディアの迷惑行為に対処(2013年8月21日)
AndroidとiOSは、今後もビジネスアプリケーションに影響を与える Copyを発表(2013年2月20日)
バラクーダネットワークスがSignNowを買収(2013年5月22日)
SignNowとMobileIron AppConnectの統合(2013年7月30日)
クラウド 2Copyの無料ストレージ容量を15GBに拡張(2013年5月15日)
Barracuda BackupにCloud LiveBootを追加(2013年6月18日)

2014年も同じトレンドが続くと考えられますが、次のように若干の方向転換が予想されます。

1. 仮想化は、次の2つの役割で変化を続けます。

ネットワーク仮想化のさらなる拡大: サーバインフラストラクチャの仮想化により、既存の環境内でネットワーク機能の仮想化がさらに進んでいます。この仮想環境では、仮想化に対応したセキュリティアプライアンスとネットワークアプライアンスを活用することで、仮想サーバとエンドポイントを保護します。一部のベンダは「ソフトウェア定義ネットワーク(SDN)」を提案していますが、市場動向を静観するベンダや企業が大勢を占め、SDNの代名詞にもなったOpenFlowなどのテクノロジの採用は進んでいません。これに対して積極的に採用されたのが、既存のサーバ仮想環境でネットワーク機能を仮想化するソリューションです。バラクーダネットワークスはこのトレンドが今後も続くと予測しており、仮想環境(VMware、Citrix Xen、Microsoft Hyper-Vなど)にロードバランサ、ADC、SSL VPN、Webアプリケーションファイアウォール、ファイアウォール、メールセキュリティ、Webセキュリティなどのソリューションを導入するお客様が増えると考えています。

パブリッククラウドでのセキュリティの仮想化: AWSやMicrosoft Windows Azureなどのパブリッククラウドインフラストラクチャもオンプレミスの枠を超えた仮想化へと進んでおり、セキュリティレイヤの仮想化が始まっています。2013年、Barracuda NextG FirewallとBarracuda Web Application Firewallは、AmazonやMicrosoftのクラウド環境内で高レベルのセキュリティレイヤを実現しました。今後、企業がワークロードをクラウド環境に移行する動きに伴い、クラウド対応の仮想セキュリティおよびネットワークアプライアンスのニーズも高まると期待しています。

現在のところBarracuda NextG Firewallは、エンタープライズクラスのファイアウォール製品の中ではMicrosoft Azure環境に対応した業界初で唯一のソリューションです。優れたセキュリティを実現するVPNでAzure DMZ間を接続することにより、企業のAzureクラウドアカウントをセグメント化および保護します。

1. 今後もデータは増加を続け、社内でのファイル共有という従来のアプローチからクラウドへの移行が進みます。

これまで導入が避けられてきたオンラインファイル共有は、次第に許容されるようになり、現在では企業ITが積極的に活用:バラクーダネットワークスが提供するオンラインファイル共有サービスCopyは、ユーザ数が200万人を突破しています。「パーソナルクラウドの時代」が到来した今、このトレンドはビジネスにも及ぶと確信しています。ビジネスプロフェッショナルは、個人的にクラウド対応のITインフラストラクチャを活用してその利便性を実感していますから、ストレージやデータアクセスニーズに十分対応していないビジネス環境のインフラストラクチャに不満を募らせています。Copyの設計目的は、企業がオンラインファイル共有プラットフォームを安心して導入できるように、企業データの保管、保護、セキュリティ確保というビジネスニーズに対応することにあります。エンタープライズ向けオンラインファイル共有ソリューションの導入推進に、今後もCopyが貢献すると期待しています。

クラウドサービスプロバイダの業種別統合がさらに進む:増加の一途をたどるデータは、クラウドの経済性やプロバイダの動向に別の角度から影響を及ぼす要因です。Nirvanixの倒産はその1例であり、アプリケーション、プラットフォーム、基盤ストレージをさらに業種別に統合していくことが重要な鍵になることがわかります。さらに、SymantecはBackupExec.cloudの提供を中止したことは、どのようなクラウドサービスでも市場で求められる最低限の機能セットを提供できなければ存続できないことを示しています。

データ保管と可用性のニーズ増大を背景に、クラウドストレージがさらに魅力的な選択肢に: 企業データについてアクセス可能な保管期間と生成(再生成)可能な最長期間を義務づける法規制が次々と成立する中、クラウドストレージはようやくその経済性を最大限に発揮できるようになりました。クラウドでは、バックアップとアーカイブを集約することよって企業データの中央リポジトリを構築し、検索やインタラクティブな操作を開発することが可能になります。

2. SMB次世代ファイアウォールをクラウド接続: バラクーダネットワークスのお客様は、これからも、クラウドの行方を静観するタイプと積極的に導入するタイプに分かれると予想されます。バラクーダネットワークスは、このようなトレンドを見据えて新製品を設計してきました。その1つであるBarracuda Firewallは、ビジネスクリティカルなクラウドアプリケーション(salesforce.comなど)のネットワークパフォーマンスと優先度の割り当てを最適化できるので、インターネットを無計画に利用する場合よりもクラウドの有効活用が可能になります。さらにバラクーダネットワークスは、クラウドの柔軟性を利用した先進のマルウェアスキャン機能とコンテンツセキュリティ機能を提供しています。完全オンプレミスのデバイスの限られたコンピューティングリソースに負担をかけることなく、次々に登場する新しいセキュリティ脅威に対抗できます。また、常時接続環境への対応として、Barracuda Firewallはクラウドからの管理をサポートします。業界ベンダ他社も、ユーザの要望に対応して同様の製品を展開しています。

3. エンドユーザアプリとモバイルアプリは今後も成長: ソーシャルメディアだけでなく、エンドユーザアプリとコンテンツがビジネスに影響を与えるようになっていますが、このトレンドは今後も続くでしょう。ソーシャルメディアで潜在的な脅威だといえるFacebook、Twitter、LinkedInは当然のことながら、オンラインファイル共有やEvernoteなど生産性向上を目的としたモバイルアプリケーションが登場していますが、セキュリティやポリシーに影響を与える可能性があるので管理が必要です。バラクーダネットワークスは、このようなアプリを管理する方法として次世代ファイアウォールとWebセキュリティソリューションの使用をお勧めしています。ソーシャルメディアのモバイル対応が進み、セキュリティ関連機能もクラウドへと移行しています。また、エンドユーザが企業データに安全にアクセスできる方法を提供することの重要性が増していますが、バラクーダネットワークスはCopyとSignNowサービスへのモバイルアクセスという方法でこの課題に対応しています。バックアップしたファイル共有データにCopyのモバイルクライアントからアクセス可能になります。さらに、Barracuda Message Archiverでは、ユーザが送受信したあらゆるメールにモバイル端末から迅速、簡単、安全にアクセスできます。

4. クラウド: 政府間のスパイ行為が懸念される一方で、クラウドの活用は今後も非常に実用的な選択肢であり続けるでしょう。クラウドは、今後も特に次の3つの用途で活用されます。

オフサイトへの移行:バラクーダネットワークスは、セキュリティとストレージをオフサイトに移行する方法としてクラウドを活用しています。バラクーダネットワークスでは自社のメールセキュリティサービスとWebセキュリティクラウドサービスを導入し、お客様のネットワークに影響が及ぶ前にセキュリティ脅威を捕捉しています。また、これまではコストが高く導入できなかったDRサイトも、クラウドならば導入が可能です。Barracuda Backupは、Barracuda Cloudへのクラウドレプリケーション機能により、サイトがダウン状態でもデータを復元できます。Cloud LiveBootは、バックアップしたVMをBarracuda Cloudで立ち上げ、短時間でサーバを稼働状態に復帰します。

モバイル対応:バラクーダネットワークスは、モバイル環境向けのセキュリティ保護とストレージを提供します。Barracuda Web Securityサービスは、モバイルユーザがどこでも安心して作業できるように保護し、トラフィックのバックホールは必要ありません。SignNowは、モバイル端末での電子署名とドキュメントの取得を可能にするサービスです。そしてCopyは、個人や業務で使用するファイルにどこからでもモバイル端末からアクセスできるオンラインファイル共有サービスです。

柔軟性:Barracuda Cloudは、お客様の変化するニーズに柔軟に対応できるコンピューティングおよびストレージプラットフォームです。大量の演算処理を行うプロセスをクラウドに移行することで、オンプレミスのセキュリティ製品の負荷を軽減できます。Barracuda Firewallはクラウド接続された次世代ファイアウォールであり、クラウドを活用して先進のマルウェア対策とコンテンツセキュリティを実現します。また、Barracuda Backup、Copy、SignNowがサポートするクラウドストレージ容量には上限がないので、ユーザニーズに合わせて簡単に拡張できます。

バラクーダネットワークスは、以上のような市場トレンドを見据えてアクションを展開していく予定です。2014年もバラクーダネットワークスをよろしくお願いいたします。

本稿は、バラクーダネットワークスのWebサイトに掲載されている『バラクーダラボ』1月17日付の記事の転載です。