西にコンゴ民主共和国、北にウガンダ、東にタンザニア、南にブルンジと国境を接する中部アフリカに位置し、アフリカで最も人口密度が高い国がルワンダ共和国(以下、ルワンダ)である。
ルワンダといえば、ゴリラで知られるアフリカの国だが、首都キガリは美しい街並みであり、夜も気軽に歩けるほど治安がよく、ゴミも落ちていないクリーンな国である。1995年に起こった大虐殺が嘘のように収まり、20年以上、平和で安定した高度経済成長を遂げ「アフリカの奇跡」と呼ばれるようになった。経済成長率はこの10年で8%前後を維持しており、国として大きな発展を続けている。この大きな発展の要因はICT(情報通信技術)とハイテク農業だそうだ。しかも、その発展の陰には日本の国際協力もあった。
Dive into Code 代表取締役の野呂浩良氏がRuby on Railsの伝道をするべく、そんなルワンダを訪問したのだ。同社は、Ruby on Railsのトレーニング/ハンズオンセミナーにおいて、3000人の受講者を達成している。
本稿では、その時の模様、現地企業、現地エンジニアの声なども踏まえて、ルワンダのIT事情を紹介する。
ルワンダでRails講義を行った理由
ちなみに、ここまで読まれた方の中には「なぜルワンダに行ったのか!?」と思う方もおられるだろう。そこで、野呂氏にRails講義を行うためにルワンダに行った理由を聞いてみた。
「今回、ルワンダでRails研修を行おうと思ったきっかけは2つあります。それは『アフリカで事業を展開することが長年の夢であったこと』と『ルワンダはアフリカの中でIT立国を掲げている唯一の国であり、急成長しているため』の2つです。
ルワンダのIT立国政策は大統領命令のトップダウンで推進されており、随所でWi-Fiが使えるなど、インフラが整備されています。天然資源が乏しい中、ITこそ国家の繁栄をかけた切り札と考えていると感じます」(野呂氏)
ルワンダは、インターネットで調べても知人に聞いても「成長が著しい国」という印象が強いようだ。しかも前述の通り、ICTやハイテクな農業を中心に発展してきているので、ITエンジニアの活躍の場は今後かなり増えていきそうだ。
ちなみに、野呂氏にルワンダの印象を聞いてみた。
「一言で言うと、『アフリカの日本』という印象でした。人々は真面目で温かく、気候は温暖で過ごしやすいです。夜間に出歩いていると、涼しい夜風や虫の鳴き声が聞こえ、ふと日本の田舎に帰ってきたようにも思えます。また、物々しいほどの厳重なセキュリティもあり、治安は良好です。出歩いていても、暴力やそれらしき感覚を覚えるような出来事はありませんでした。想像していたよりもずっと安心で、発展可能性を感じる国だと思いました」(野呂氏)
ルワンダの開発状況
続いて、野呂氏、ルワンダのオフショアを手掛けるワイヤードイン・ジャパンの田中秀和氏、DMM.comが買収したルワンダの開発会社であるDMM.HEHEのDevelopment Operations EngineerのJoelle Umutoni氏に聞いた、気になる現地の案件やプログラミング言語の情報を紹介したい。
--ルワンダでよく使われているプログラミング言語は?--
田中氏: iPhoneの市場がないため、スマートフォンアプリ開発ではやはりJavaが使われています。Web系で使われているのはPHPやRubyでしょうか。 Pythonなども聞きます。 どの言語が良いかという議論や実績の結果から導かれた人気というよりは、 習得の機会において採用されていた言語に依存しているように、現状は見えます
Umutoni氏: 一般に、大学などの授業で理論的なことを学び、企業のインターンや自分で事業を作って、Javaをはじめとしたプログラミング言語を実践できるように学んでいます
ちなみに、Umutoni氏によると、ルワンダで良く使われている言語のうち、以下の順で仕事があるように思えるという。日本と同様に、アプリケーションの用途に合わせて言語が指定されているようだ。
- Java(最も一般的な言語)
- PHP
- HTML
- C++
- C
- SQL