電気自動車(EV)「リーフ」のフルモデルチェンジを控える日産自動車が、マンション住まいの潜在的EVユーザーに新たな提案を行う。集合住宅ではEVの充電設備が設置しづらいという“マンション充電問題”に対し、日産が示す1つの解とは。
充電器設置の費用を負担、マンション管理組合との調整も支援
日産、NEC、大京アステージの3社は、「分譲済みマンションにおけるEV(電気自動車)向け充電器設置に関する覚書」を締結した。その内容は、大京アステージが管理する首都圏の分譲済みマンションから対象物件を選定し、新たに日産の新型「リーフ」を購入する居住者に対して、実質負担ゼロで普通EV充電器を設置するというものだ。設備の設置はNEC、費用負担は日産が行い、大京アステージがマンション管理規約の改定や理事会、総会の調整などをサポートする。
日産によると、日本で稼動するEVの公共充電器は2万8500基(うち急速充電器7200基)まで増えているというが、EVを購入するとなれば、家庭にも充電環境が欲しくなるはず。しかし、集合住宅にEVの充電設備を設置するのはハードルが高いという声は以前からあった。
この点については経済産業省も、「2020 年に国内のEV・プラグインハイブリッド車(PHV)保有台数を最大100万台」とする目標を掲げたロードマップにおいて、EVなどの普及策として「国民の約4割が居住している集合住宅への充電器設置が重要である」と指摘している。
EV普及に必須の充電環境整備
一般的に、EVの充電器を集合住宅の駐車場に設置しようとすると百数十万円の費用が発生するそう。その大半は国からの補助金でまかなえるらしいが、残りの部分を負担するのはEV購入者か、日産の販社か、マンション管理業者かという点については明確化されておらず、EV購入者が負担するとすれば、クルマの値段にプラスアルファの出費となるわけで、その点がEV普及の妨げになっていた部分はあったと思われる。
今回の取り組みは、あくまで実効性を検証するトライアルという位置づけで、期間は2018年度前半までとなっている。実証結果をもとに、日産ら3社はマンション向けEV充電器設置のモデルケースを開発すべく、関係省庁や業界への働きかけを行っていく方針だという。モデルケースが確立すれば、日産は別のマンション管理業者とも同じ取り組みを進められる。別の自動車会社がEV販売で同モデルを活用することについても、日産としてはEV普及の環境が整うので「ウェルカム」(同社広報)とのことだった。