今年もHot Chipsが開幕した。会場はシリコンバレーの中になるクパティーノ市にあるデアンザ大学(De Anza College)構内のフリントセンター(Flint Center for Performing Arts)という劇場である。ここでの開催は、もう4~5年ほど続いていることとなる。今年の参加登録者は600名余りとのことであり、昨年と同等レベルの模様である。

今年のHot Chipsで特別なのは、8月21日(月)の午前10時から10時半が日食の観測時間となっている点である。皆既日食になるのは、もっと北の方の州で、シリコンバレーでは部分日食にしかならないが、それでも珍しい現象である。なお、Hot Chipsの出席者には日食観測用の眼鏡が用意されるとプログラムに書かれていたが、直前になって用意できないとアナウンスされた。

Hot Chipsの日程は、8月20日(日)がチュートリアルで、午前は「Software Defined Networks」、午後はNVIDIAのDrive-PXを使って自動運転車を作るというチュートリアルである。

8月21日(月)と22日(火)が本会議で、開会の挨拶に続いて、「GPUとゲーミング(GPU & Gaming)」というセッションで幕を開ける。このセッションではMicrosoftのXbox One X、AMDのRadeon Next Generation GPU、NVIDIAのVolta GPUと、注目の発表が並んでいる。

今年のHot Chipsで目立つのは、AI関係のセッションの多さである。NVIDIAのDrive-PXのチュートリアル、21日の基調講演はDARPAの元PMのPhillip Alvelda氏の「The Direct Human/Machine Interface and Hints of a General Artificial Intelligence」と題する講演である。さらに21日には自動運転車関係で2件の発表がある。

1日目には、プロセサのセッションがあるが、BaiduのFPGAを使った広範囲の処理のアクセラレータ、IntelがAI向けと位置づけているKnights Millプロセサ、日本のデンソーが出資し、開発パートナーになっているThinCI(Think-eyeと発音)のGraph Streaming Processorの発表がある。

そして、22日には、ニューラルネット1とニューラルネット2というセッションがあり、合計6件の発表が行われる。注目のスタートアップであるWave ComputingのDataflow Processing Chip、GoogleのTPUの発表が目玉であるが、それ以外の発表も目が離せない。さらに22日の基調講演は、GoogleのAI開発を推進するJeff Dean氏である。これでもかという感じで、AI関係の発表が並ぶ。

しかし、最後のセッションは、伝統的にサーバプロセサのセッションで、IBMの新メインフレーム、AMDのEPYCサーバプロセサ、IntelのXeon Processor Scalable Familyと、QualcommのARMアーキテクチャのCentriq 2400の発表が行われる。