美術館での鑑賞ガイドは音声によるものが主流だ。レンタルしたイヤホンを耳にかけ、展示物わきの札の番号を鑑賞者が自分で選んで聞き取っていく手順がなかば当たり前の風景になっている。

そんな中、東京都・表参道のギャラリー「GARDE Gallery」で開催中の「ふくモモ親子展 『18歳の暗喩 』老いては子に従え」では、スマートアイウェア「Telepathy Walker」を利用した、映像による作品ガイドを体験できる。

スマートアイウェア「Telepathy Walker」を利用した作品ガイド

同展では、「Audi A3『先進と対峙する3人の写真家』」への参加のほか、広告写真やレシピ本など、カメラマンとして幅広く活躍する母・福田栄美子さんが撮り下ろした写真を、武蔵野美術大学 グラフィックデザイン学部に通う娘・福田百花さんがペイントした合作を展示。若手アーティスト支援のため、無料で会場を提供する「ADF Art Gallery Project」の一環として行われている「親子展」だ。

「ふくモモ親子展」で展示されている作品 (写真 :福田栄美子)

来場者が「Telepathy Walker」を装着して作品の前に立つと、それに対応した映像が同機器のディスプレイに表示される。既存のアート展の作品ガイドではナレーターの解説を流すパターンが多いが、同展ではディレクションを行った娘・百花さんに対して、母・栄美子さんがその意図などについて問いかけるカジュアルなやりとりが展開される。小型のディスプレイを見ながら音声を聞くことで、作品と同時に作家の生の声を聞くことができたと感じた。

この展示ガイドを実現しているのは、ワイズコーポレーションの「Y's Beacon」。ビーコン端末の設置やコンテンツの表示調整などは同社が行った。動画であれば形式は問わず利用可能なため、作家自身がコンテンツを作成できるのも特徴だ。同社では、今回の展示ガイド利用をソリューションのデモと捉えており、ここで得られた経験値を元に、より大規模な美術展などでの活用を提案していく見込みだ。

福田栄美子さん(右)・百花さん(左)

「Y's Beacon」概要

なお、同展の会期は7月23日まで(休館日:土・日曜、祝日/23日(日)のみ例外的に10時より開場)。開館時間は10:00~19:00。入場無料。展示ガイドの利用にも料金はかからない。