フェイスブック ジャパンは6月1日に2017ビジョン説明会を開催し、来日した米フェイスブックの最高製品責任者(CPO)のクリス・コックス氏が将来の製品展望を語った。

米フェイスブック Chief Product Officer(CPO)のクリス・コックス氏

まず、クリス氏は「フェイスブック上には、興味深いできごとや新しい動きが常にある。我々はそれらを学びながら製品づくりをしている」と語り、いくつかの事例を紹介。SNSを使って安否確認や情報交換が行われた2011年の東日本大震災からは「災害時情報センター」の安否確認サービスが生まれ、2016年の熊本地震では復興を応援する「熊本城フェイスブックページ」が開設された。熊本城のページには、日本だけでなく世界中から応援メッセージが寄せられたという。

次にクリス氏は、同社が描いている10年先までのロードマップを提示し、「テキストから写真、動画と変遷してきており、自分の周りで起きていることを相手に伝えることから体験の共有にシフトしてきている」とトレンドを示した。そのうえで「今後もユーザーがプラットフォームをどのように使っているかを学び、必要なサービスを予測していくことが重要だ」と、ユーザーの動きや時代の流れを汲んだ製品づくりをしていくことを強調した。

また、「2021年までにはモバイルトラフィックに占める動画の割合が75%を越え、その先はARやVRなどの技術の普及が進むと考えている。そのため今はビジュアルコミュニケーションが主なテーマ。今後5年ではエンタープライズ用フェイスブックやメッセンジャーといった新しいインタラクションを生むプラットフォームに力を入れ、10年ではARやVR、AIといった最新技術にも注力していく」と今後のトレンドを予測したうえで、ビジョンを語った。

フェイスブックが描く10年先までのロードマップ

最近注目を集めているサービスとしてクリス氏は、ライブ動画をフェイスブック上に配信する「フェイスブック ライブ」や気軽に写真や動画をアップロードできる「インスタグラム ストーリーズ」を挙げた。ライブ動画はフェイスブック上に投稿される動画のうち5分の1を占めており、昨年から4倍に成長。インスタグラム ストーリーは毎日2億人以上に利用されているという。

また、ARを使ったプロダクトではカメラエフェクト機能を紹介した。カメラに写った顔を自動で認証して、エフェクト付きの写真を撮ることができるというもの。カメラ付きの端末でフェイスブックを開けば、すぐに使うことができるという。ビジュアルアーティストがアプリ上にエフェクトを投稿できるツールも開発したとのことで、この先もまだまだ進化する余地があるという。

VRについては「まだ開発の初期段階であるが、非常に期待しているテクノロジーの1つ」とクリス氏は期待を寄せており、2017年3月に発表した専用のアプリを紹介した。フェイスブック上に公開された100万以上の360度コンテンツを一層楽しむことができるようになるという。

ARカメラを使った写真例

クリス氏は日本について、「世界でも有数のビジュアルカルチャーが発達した国である」と伝え、今後テクノロジーの進化に伴い重要性の高まるビジュアルコミュニケーションについて、学ぶことが多いと伝えた。

また、フェイスブック ジャパン代表取締役の長谷川晋氏は「クリスをはじめとするさまざまな社員が日本を訪れている。日本で得たインスピレーションを生かし、グローバルでどう人々をつないでいくかという目線でやっていきたい」とビジョンを語った。

フェイスブック ジャパン代表取締役の長谷川晋氏