天ぷらも東京軍鶏も

天ぷらというと高級品のイメージがあるが、その昔、江戸では屋台で気軽に食べられていたという。そんな原点に立ち戻って気軽に楽しめる天ぷらを提供するのが、天ぷら「天ぷら食堂 ひさご」だ。看板メニューの「ひさご天丼」は税込1,000円、「ひさご天ぷら定食」は税込1,100円と魅力的な価格設定。しかし、ただ安いだけではない。同店は大正7(1918)年に創業した老舗の姉妹店で、職人が目の前で揚げてくれる。米は千葉のふさおとめを使用。揚げ油には胡麻油とサラダ油を合わせることで、さっぱりとしていながら風味の良さが残る。

「天ぷら食堂 ひさご」では職人が目の前で揚げてくれる

「ひさご天丼」(税込1,000円)

両国と言えば、やっぱりちゃんこが気になるところ。ちゃんこ・季節料理「ちゃんこ霧島」では、鶏ガラとトンコツベースのスープに16品目が詰まったちゃんこ(うどんまたは雑炊付きでひとり税別2,980円)を展開している。もちろん、ランチもちゃんこだ。「霧島御前」(紙鍋ちゃんこ、お刺し身、手羽先、日替わり小鉢、ご飯、お新香でひとり税別2,000円)や、「陸奥御前」(紙鍋ちゃんこ、カニまたはローストビーフ、茶碗蒸し、お刺し身、手羽先、日替わり小鉢、ご飯、お新香、デザートでひとり税別3,000円)は、ちゃんこ+αで楽しめるのがいい。

「ちゃんこ霧島」には相撲の世界が広がっている

ちゃんこ(うどんまたは雑炊付きでひとり税別2,980円。写真は5人前)の他、ランチには御前も用意

希少な東京軍鶏(しゃも)が味わえるのは鶏・軍鶏「根津 鶏はな」。東京軍鶏は脂身の少ないアスリートで、コクとコシ、うまみが詰まっているという。ランチで一番のオススメはその東京軍鶏を用いた「東京軍鶏 親子丼」(税込1,490円)で、ごろごろと東京軍鶏が入っていながら、全体としてはさっぱりヘルシーな一品に仕上がっている。食後には、お土産にもできる東京玉子仕立ての「東京玉子の輝きプリン」(税込380円)を。

「根津 鶏はな」

「東京軍鶏 親子丼」(税込1,490円)

蕎麦ももんじゃも

江戸の食と蕎麦は切っても切れない関係だろう。日本そば「日本ばし やぶ久」は、日本三大蕎麦のひとつである藪(やぶ)蕎麦の老舗。国産最上級のそば粉を足踏み製法で毎日打ち、圧削り本枯鰹でじっくり煮出したつゆを合わせる。ランチには、そんな蕎麦をせいろにした「せいろそばと老舗蕎麦屋の親子丼」(税別1,450円)と「せいろそばと江戸前天丼」(税別1,750円)が良さそうだ。

「日本ばし やぶ久」

「せいろそばと江戸前天丼」(税別1,750円)

江戸庶民に親しまれてきたグルメのひとつに、深川めしというものがある。深川めしと全国から厳選日本酒が味わいたいなら、深川めし・純米酒「門前茶屋 成る口」へ。同店の深川めしは炊き合わせの技法を用い、大ぶりのアサリをふっくらと柔らかく仕上げている。ランチに食べるなら、迷わず「深川あさり蒸籠めし」(ランチは税込980円)を選びたいところだが、季節限定で「北海腹子蒸籠めし」(ランチは税込980円)もお見逃しなく。

「門前茶屋 成る口」は深川めしと純米酒の二枚看板

「深川あさり蒸籠めし」(ランチは税込980円)

そんな深川にも程近い、月島のグルメと言えばもんじゃ焼きだ。もんじゃ焼き・お好み焼き「月島もんじゃ もへじ」は、明治4(1871)年に創業の月島魚河岸直営店。具沢山な見た目に食欲が注がれるもんじゃ焼きだが、その中でも「明太子もち」(税別1,480円)はビビットなカラーにベストマッチな食材で一番人気とのこと。「明太子クリーム」(税別1,380円)は同店オリジナルメニューのため、すでに「明太子もち」経験者は「明太子クリーム」をチョイスしてみるといいだろう。

「月島もんじゃ もへじ」

「明太子もち」(税別1,480円)

甘味もお酒も東京の味を

ランチの後に甘い小休止を。甘味処・茶「両国橋茶房」は、両国の由来にもなった江戸時代の橋「両国橋」から着想を得たお店で、徳川家康も愛した「本山茶」を使用。また、あんこやゼリーは東京・九段に明治元(1868)年創業の老舗和菓子屋「宝来屋本店」のものを用いているが、特にゼリーは両国橋茶房のために作られている。ここだけの味をしっかりかみしめてほしい。オススメは、そんなゼリーも使用した「両国橋抹茶パフェ」「両国橋玉露ほうじ茶パフェ」(各税込1,200円)。断面が美しい、ボリュームある1品だ。

「両国橋茶房」ではお土産も展開

「両国橋抹茶パフェ」(税込1,200円)

仕事終わりにサクッと飲みたい人は、酒・角打ち「東京商店」に立ち寄っていただきたい。都内にある全10酒蔵の日本酒を取り添えているのみならず、それを税込300円でその場で楽しめるといううれしいサービスを展開している。それぞれは自動販売機に収まっており、冷酒も熱燗も両方可能。加えて、その日によってメニューが変わる全6種類から3品選べるおつまみセット(税込500円)があれば、もうそれだけでお酒が進んでしまう。お酒は日本酒の他、都内で作られた焼酎や地ビールもそろう。お土産にもよし、自分で楽しむもよし。

「東京商店」は手前が物販、奥が立ち飲みスペース。物販コーナーで買ったものを立ち飲みスペースに持ち込むことも可

「ちょと飲みたいな」という気持ちに寄り添ったサービス

お土産であれば、両国観光案内所「すみだ のれん」にも取りそろえている。「文問(こととい)団子」や「長寿寺桜もち」などの歴史ある菓子や、江戸芸術を今に伝える民芸品もあるので、東京土産や海外の人への日本土産にもぴったりだ。同店で初登場を飾る「北斎江戸米」(300g/税込648円)は、その年その年で相性のいい米をブレンドするもので、初年度である2016年版は富山産のコシヒカリと宮城県産のひとめぼれを使用。パッケージの北斎がまたいい味わいだ。

「すみだ のれん」

「北斎江戸米」(300g/税込648円)

「-両国- 江戸NOREN」、つまり両国駅から徒歩5分のところには、11月22日にオープンしたばかりの「すみだ北斎美術館」もある。葛飾北斎の世界にどっぷり浸かった後は、江戸の息吹を感じる「-両国- 江戸NOREN」でおいしい時間を過ごしていただければと思う。