説明書を読まなくても使い方がわかるのが、iPhoneの魅力であり強みです。しかし、知っているつもりでも正しく理解していないことがあるはず。このコーナーでは、そんな「いまさら聞けないiPhoneのなぜ」をわかりやすく解説します。今回は、『iPhoneでRAW写真を撮るには?』という質問に答えます。

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2016年9月公開の「iOS 10」では、RAW写真(記録フォーマットはAdobe DNG)に対応しました。「Apple A8」以降のプロセッサを搭載したiPhone、すなわちiPhone 6以降であれば画面に表示できます。「Apple A9」以降のプロセッサを搭載していれば、RAW写真を撮影することも可能です。つまり、iPhoneでRAW写真を撮るには、現在のところiPhone 6s/6s Plus、iPhone SE、iPhone 7/7 Plusが必要となります。

RAWとは、カメラのイメージセンサが捉えて電気信号に置き換えた情報を、非加工のまま(生/RAW)記録する撮影方法です。従来のiOSではJPEGフォーマットに変換していたため、輝度やホワイトバランスといった情報の調整が行われていました。いちど失われた情報は復元できませんから、イメージセンサの実力を100%発揮した写真とはなりません。

しかし、RAW写真はそのぶんファイルサイズが大きくなります。イメージセンサの画素数や被写体にもよりますが、JPEGでは1枚5メガバイトあたりのところ、RAW写真は1枚25メガバイトほど必要になります。iPhoneのストレージ容量を考えると、気軽に撮影するわけにはいきません。

だからでしょうか、iOS 10標準のカメラアプリはRAW写真の撮影に対応していません。RAW写真を撮影し記録するためのしくみ(開発フレームワーク)は公開されているため、サードパーティー製アプリは開発できますが、iOS標準装備のアプリでは意図的に機能が外されているのです。だから、RAW写真を撮るにはRAW対応サードパーティー製が必要になります。

2016年10月現在、RAW対応カメラアプリはすでに多数存在します。『Adobe Photoshop Lightroom for iPhone』など無償公開されているアプリも多くあるため、ストレージ残量と相談しながら利用するといいでしょう。

RAW写真を撮影するには、RAW対応のサードパーティ製カメラアプリが必要です(画面はAdobe Photoshop Lightroom for iPhone)