2016年、CEATEC JAPANが変わる。長年にわたって千葉県の幕張メッセにて開催されてきた同展示会だが、これまでの最先端IT・エレクトロニクス総合展という立ち位置から、新たにCPS/IoT Exhibitionと銘打って、新たな船出を迎える。
ITおよびエレクトロニクスという言葉が消え、IoTならびにCPS(Cyber Physical System)という名称が用いられる裏には何があったのか、そして、なぜ、今、このタイミングで変革する必要があったのか。新生CEATECのキーマンにして、主催団体の1つである電子情報技術産業協会(JEITA)の代表理事 専務理事を務める長尾尚人氏に、話を聞いた。
--この数年にわたって、CEATECはこれからどうなっていくのか、という話を各所から聞いていた身からすると、ようやくか、という思いと、今、このタイミングで変えるのか、という思いが半々なのですが、今回、決断に至った経緯は、どのようなものなのでしょう?
長尾氏:変える必要性は以前から感じていましたが、なかなか踏み切れませんでした。国内外問わず、展示会というものは、その分野のリーディングカンパニーの事業部が有する予算で成り立っている側面があります。市場が右肩上がりの時代であれば、事業部ごとに個別に育っていれば、企業として成長できていたからです。
しかし、リーマンショック以降、世界がシュリンクし、企業の成長が難しくなっていく中、日本の企業、特に総合家電メーカーはそうした事業部ごとの集合体のビジネスが通用しないということに気づかなくてはいけませんでした。この間、バーチャルマニュファクチャリングや製品とサービスの一体化といったビジネスモデルの変化があったにも関わらず、CEATECも旧態依然の姿でそのまま残ってしまった。本来であれば5~6年前から変わるべきだったはずです。
今回、展示会の方向性を変えるという決断をしましたが、本当にこれまで出展してきてくれた企業がついてきてくれるかどうかといった点などでリスクが生じることも理解しています。しかし、IoTという道具がバーチャルマニュファクチャリングなどの新たなビジネスモデルを加速させる段階に至り、悠長なことを言ってもいられなくなりました。展示会としても、世界のトレンドを生み出していく企業を育てていく支援や、新たなトレンドとしてどのようなものがあるのか、といったことを見せていく必要がでてきており、だからこその決断といえます。
IoTの時代は、とにかく「つながる」ということが必要となります。これは今回のテーマ「つながる社会、共創する未来」にも言えますが、産業同士がつながっていくことにもなります。そのため、CEATEC JAPAN 2016では、ITがつなぎ役になるのか、AIやロボティクスがつなげるのかといった技術面に加え、政策や国同士、特に独米との連携なども真剣に進めなければ勝ち抜けない、ということも含めて見せたうえで、企業がこの先、生き残っていくために必要な場であるという意識につなげたいと思っています。