9月16日に販売が開始されるiPhone 7とiPhone 7 Plus。Appleのwebサイトではシンプルに「これが、7」と謳われているだけだが、今回のアップデートは、基調講演で上級副社長のフィル・シラー氏が10ものポイントを挙げていた。発表前は、マイナーアップデートに留まるという噂もあったが、その情報流した奴、ちょっと出て来いと言いたくなるレベルの劇的な進化を遂げているのである。本稿では、10のポイントをおさらいしつつ、iPhone 7とiPhone 7 Plusの魅力を探っていく。

まずは基調講演でも最初にピックアップされた「デザイン」から。前モデルを踏襲しているとは言えども、「Dライン」と呼ばれていたアンテナ部分の線がなくなり、より洗練度が高められている。新色のジェットブラックは、新技術による9段階の酸化皮膜処理と研磨加工により、前面のガラス部分と一体化したような光沢に彩られ、ジュエリーのような高級感を醸し出す。もうひとつの新色であるブラックは、味わい深いマット仕上げで、渋みのある仕上がりとなった。これに従来のシルバー、ゴールド、ローズゴールドという5色の展開となる。本体には航空宇宙産業で使われているものと同じグレードである7000シリーズアルミニウムが採用されている。

iPhone 7

iPhone 7 Plus

ゴールド、ローズゴールドが投入されたとき、この色でくるか? と驚いた記憶があるのだが、その2色ともに、とても品があり、誰が手にしても違和感がないところが流石のクオリティだと思ったものだ。今回のブラック2色は、82年のパリコレクション、川久保玲と山本耀司がモード界に与えた「黒の衝撃」を髣髴とさせる、ショッキングな登場となった。基調講演のレポートでは「モード系ファッションが好きな人にピッタリなラインナップだ」と書いたが、黒を極めた黒は、「持ってるだけでお洒落なiPhone」を決定付けるモデルとなるのではないだろうか。

ホームボタン改め「ソリッドステートホームボタン」

ホームボタンは、MacBookで採用された、疑似クリックを演出する感圧タッチトラックパッド状の「ソリッドステートホームボタン」に変更された。Taptic Engineと連係することで、触覚的な反応をフィードバックしてくれる。耐久性が高いのがポイントで、何度も何度もボタンを押すことでの故障の心配がなくなった。iPhone 3Gの頃は、ホームボタンが壊れやすく、その後のモデルでも故障を心配しながら使用していた筆者は、いつしか「アクセシビリティ」の「AssistiveTouch」に頼るようになっていたのだが、これで不安から解放されそうだ。

「アクセシビリティ」といえば、Taptic Engineとの連携により、各種の設定項目でボタンをオン/オフすると、こちらも触覚的な反応を返してくれるようになった。これはロービジョンと呼ばれる低視力者にとっては非常に有用な機能であると思われる。こういった配慮に基づいた機能強化もとてもAppleらしいと言えよう。

防塵・耐水という完全な新機能

これまでになかったという点では防塵・耐水機能も見逃せない。間違いなく待ち望まれていた機能の一つで、これとApple Payの登場で、AndroidユーザーがAndroidユーザーである理由はますます希薄になったといえよう。意地張って使い続ける以外だと、Androidを選ぶ言い訳は、せいぜいハイレゾ音源の再生機能くらいだろうか。IP67ということで「防水」ではないとのことだが、ちょっと前のスマホではこの数字で防水を謳っていた製品もあり、やや控えめに申告してるように思えるところがある。基調講演では、プールにiPhoneと一緒に転落するスライドが紹介されたが、日常の水周りでの使用なら大丈夫らしい。ただ、ハンズオンで聞いた話では、iPhoneが濡れた場合は、故障の原因となるので、すべてのケーブルを抜いて完全に乾燥するまで充電しないでほしいとのことだった。濡れても壊れないが、乾燥はさせてくれということなのだろう。