青い色の食べ物・飲み物というと、ブルーハワイやチャイナブルーなど、着色料たっぷりの一品が思い浮かびがち。というより、自然そのままに青い食品なんて存在しないと思っている人は多いはず。ところが今、目が覚めるようなクリアなブルーを楽しめる「青森の青い食品シリーズ」が話題となっている。紅茶やクッキーなど全て天然の色で仕上げているというが、いったいどんな食材で色付けしているのだろうか?
美しきタイのブルーに魅せられる
シリーズを開発したのは、青森市内に事業所を置く「企業組合JT&Associates」。代表を務めるのは、英語教室経営者でもある小山優子さんだ。小山さんによると、ある時、とあるタイ人女性と出会ったことがきっかけとなり、2人で輸出入のビジネスを始めることを検討。当時、2人が魅了されていた、タイのアンチャンというブルーのハーブティーを売ろうと盛り上がったという。
しかし、2人ともビジネスのルールや商品売買に関しての知識が皆無。そこで、「あおもり正直村」(運営=青森県農産品加工協同組合)という、青森県内の食品製造企業の寄り合いに参加することに。
すると、平均年齢60前後のあおもり正直村メンバーは、「(青森県)深浦町の青池みたい」「夏らしい爽やかな色がいいね」とアンチャンの美しい色に首ったけ。その一方で、「でも外国産はなぁ……」「青い色って食欲減退色だよね……」とのマイナス意見も出た。しかし、「アンチャンを広めることで、タイの一村一品運動に力を貸して貧困を助けたい」との熱意が伝わり、「それなら、青森の文化と融合させて商品化を目指そう」と応援を決めてくれたのだとか。
観光客を意識して地元・りんごとコラボ
そうなると話は早く、早速各方面から青森県産の素材提供があり、チョコレートやアイスクリーム、ゼリー、麺類、ごはん、こんにゃくまでさまざまな商品の試作が開始された。
と同時に、小山さんがインターネットで青いジャムが実在しないことを確認するや、あおもり正直村の商品の販売先で、販売員たちの「やっぱり青森だからりんご味だと観光客にも勧めやすいね」との声を受け、第一弾では青森りんごとコラボしたジャムを作ることを決定したんだとか。
しかし、そこからがまた試行錯誤の繰り返し。アンチャンは酸性になると赤紫色に変色するため、青森の食品づくりの技能集団「青森県産業技術センター農産物加工研究所」に通い続けることに。phが下がりにくい素材を使って試作を重ね、ようやく美しい青を抽出することに成功した。
できあがったジャムの原材料は、あおもり正直村の三浦醸造(なんと創業明治8年: 1875年! ) が長年の目利きで選定した津軽りんごと、産地ならではの加工技術でやさしくすりおろしたりんご、そしてオーガニック栽培されているアンチャンとこだわりいっぱい。
第2弾以降に青いチョコや星空ゼリーの構想も
同じく「青い食品シリーズ」として販売されている、オーガニックアンチャンブルーティー(500円)にこのジャムを入れると、ちょうどいい甘みを楽しめるんだとか。もちろん、ヨーグルトとも相性抜群。美しい見た目も手伝い、デザートタイムがより充実すること請け合いである。
試行錯誤を経て生まれた「青い森の天然青色クッキー」。こちらは単品ではなく、ギフトセットの商品だ(青い森の天然青色りんごジャム、オーガニックアンチャンブルーティー、青い森の天然青色クッキーのセットで3,000円) |
ちなみに、あまりの美しさゆえか発売後はメディア取材も殺到し、10日足らずで品切れになってしまった。現在は「欲しいと言ってくださるみなさまに少しずつでも供給できるよう努めています」とのこと。
また、第2弾以降に、水族館やプラネタリウムでの販売に合わせた青いチョコレートや星空ゼリーを開発することも構想。さらに、「青森は水のおいしい地方ですので、白神や奥入瀬の水とのコラボもしてみたいです」との想いも明かしてくれたが、どれも商品化が実現すれば今以上に注目が集まること間違いなし。宝石のような美しい青を自身の目で堪能したい人は、発売のタイミングをお見逃しなく。
※記事中の情報・価格は2016年8月現在のもの。価格は税別