通勤、通学の途中でご覧になった方も多いのではないかと思うが、iPhone 6sで撮影された「山」をテーマにした写真を使用したビルボードがあちこちに立てられている。これらの広告写真の掲示は恐らく8月11日の「山の日」にあわせて実施されたものと思われるが、マイナビニュースでも、アップルのこのアイディアをパクッ……真似……アイディアにインスパイアされた企画を早速立ててみた。

今回紹介する写真は全てiPhone 6sで撮影されたものだ。企画に際し、日本最大級のInstagramユーザーグループであるInstagramersJapan(IGersJP)に協力を仰いだ。フォトグラファーを推薦してくれた、IGersJP代表のえんぞう氏(@inmstagramenzo)によれば、5人は「国内最強のiPhone写真家」とのことである。

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まずは@yuma1983氏の作品から。@yuma1983氏は、Instagramとの出合いが、写真の世界に魅了されるきっかけとなり、現在、フリーランスフォトグラファーとして活動している。Instagramをはじめとした写真系SNSを通じて国内外に広いネットワークを持っており、特に来日する海外のフォトグラファーとの交流では、東京におけるハブ的な役割を担っている。

提供頂いた作品は、冬の早朝に富士山。「朝日が出てくる手前で、優しくて強い光が富士山に面白い陰影をつけていたので夢中でiPhoneのシャッターを切りました」とコメントしてくれた。撮影/編集はiPhone 6sの標準「カメラ」アプリに定番中の定番カメラアプリ「VSCOcam」を組み合わせている。@yuma1983氏は、『INSPIRATION CULT MAGAZINE』という雑誌を作っている。そこでは、写真によってブランドとフォトグラファーを繋ぎ、新たなインスピレーションを生み出すためのプラットフォーム構築を目指す。インスピレーションを共有し、90年代以降形骸化してしまったストリートカルチャーを更新していきたいとのことなので、是非チェックしてほしい。

続いては、現在アップルが展開している「iPhone 6sで撮影」の"Color"キャンペーンでも作品が採用されている@harutin2氏の一枚。2014年にInstagramを始めたのをきっかけに写真に興味を持ち、手軽に撮影、編集、シェアできるモバイルデバイスに嵌っていったという。Instagramを通じて撮影会や写真を共有する楽しさを知り、また進化するモバイルデバイスの面白さに魅了され続けているとのことだ。

この写真は友人と箱根へ遊びに行った際、たまたま乗り合わせたロープウェイの最終便に、一面の雲海の中にポッコリと浮かび上がる夕陽に染まった富士山を望むことができた、まさにその瞬間を切り取ったというもの。@harutin2氏からは、「あまりの絶景にしばし写真を撮るのも忘れ見入ってしまいました。雲海に遭遇できるのは季節や時間帯に左右されるそうなので貴重な体験ができました」というコメントを頂戴している。撮影はiPhone 6sで行い、アプリは「Snapseed」と「Adobe Photoshop Expressを利用している。

こちらはアップルが今回展開している「山の日」キャンペーンで採用されているフォトグラファー・@koshi_another_side氏から送られてきた二枚。2010年にiPhone 4を手にしてから一貫してiPhoneで撮影、加工をし、Instagramを中心に活動を広げる。Instagram公式アカウントでも紹介されたほか、海外のモバイルフォトグラフィ関連のサイトや雑誌でも掲載されている実績多数の写真家だ。

一枚目は、熊本県阿蘇にある通称ラピュタの道という場所から撮ったパノラマ写真。外輪山の反対側に見えるのは阿蘇五岳だ。撮影時は噴火の影響もあり地面に火山灰がうっすら積もっていたとのこと。「地平線が緩い曲線状になるのはiPhoneのパノラマならではで、自然の広大さが表現できているお気に入りの一枚です」とコメントしている。

二枚目は、熊本県阿蘇の大観峰という場所から早朝に撮った作品。ここは阿蘇のカルデラが一番綺麗に見える場所のひとつだそうだ。こちらには「まだ日が低い時間帯なので、薄い朝靄に光が当たって山肌に光の滝が現れます。朝の雰囲気と阿蘇カルデラの広大さが表現できているお気に入りの一枚です」というコメントを頂いている。二枚ともiPhone 6sの標準「カメラ」アプリで撮影されたものだ。

4番目は、こちらも阿蘇を撮った@chikuwa91氏の作品から。@chikuwa91氏は福岡在住とのことで、「誰もが持っている環境で表現出来るアイディア。」を主テーマに撮影から編集までiPhoneで作ったイメージを発信している。この作品はiPhone 6sを使用し、「AvgCamPro」で撮影。「Filterstorm」で色調などを補正している。

早朝の「ラピュタ道」のポイントで撮影したものとのこと。「季節的に珍しく雲海に出逢えたのを『AvgCamPro』というカメラアプリを使い、三脚で固定して128枚重ね撮りしたものです。」というコメントを頂いた。なんと128枚! 雲海の動きをよく捉えた作品に仕上がっている。

最後は、これまた「山の日」キャンペーンで採用されている@ima_ju氏の作品だ。@ima_ju氏の作品は、昨年の"Shot on iPhone 6"でも採用された(クレジット名は「Jun.I」)ので、覚えてらっしゃる方も多いのでは? 何かしらの一貫性に重きを置くというよりは、時間軸や被写体の多様さ全般を複雑に絡め合わせながら、それでいて自身固有の空気感・空間表現みたいなものを追及することをテーマにしていて、日本特有の侘び寂び感・色味にも興味があるとのことだ。

作品は、「富士山をバックとした薄暗い朝焼けトーンが狙いの中、太陽の光源やフレアに注視するのではなく、分刻みで変化していく日の出トーンと富士山自身を絡めた空間全体の『彩り』をどのタイミングで捉えるか」というところにポイントを置いたという。撮影はiPhone 6sで、それに「Tokyo grapher for iPhone6/6s wide lens」を装着。使ったアプリはVSCOcam」「Snapseed」「Filterstorm」だそうだ。@ima_ju氏は過去に採用された"Shot on iPhone"企画を振り返るとともに「今後、同シリーズにおける別企画があるかもしれません。もし、都市の背景の一部として、改めて『Jun.I』写真として皆様にお会いできるならば、この機会と合わせてとても嬉しく思います」とコメントしてくれた。更なる飛躍を期待したいところだ。

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しかしながら驚かされるのは、写真のクオリティの高さである。「iPhoneなのに、こんなに撮れる」ではなく、「iPhoneだから、こんなに撮れる」が正解であるのは間違いないにしても、InstagramersJapan周辺の写真家の実力には本当に舌を巻く。今回は主催のえんぞう氏に、大急ぎでお昼までに5人ピックアップしてとお願いしたのだが、そのうち3人はアップルのキャンペーンに採用実績があり、さらにそのうち2人は今回の広告企画にも採用されているのだから。もしかしたら、採用された日本人フォトグラファーの全員がInstagramersJapanの関係者なのではないかと思ってしまうくらいだ。えんぞう氏は、「未だ紹介できるiPhoneフォトグラファー、いますよ」と耳打ちしてくれたが、一体、何人「国内最強」を擁しているというのだ?

なお、今回の掲載にあたって、作品を提供頂いたフォトグラファーの皆様に対して失礼ながら、編集部では念のため他社製高級一眼レフで撮影した写真が間違って混入してないかどうかチェックした上、作家の権利とプライバシーを保護する目的で、写真をリサイズし、EXIF情報を消去した。

また、前述した通り、アップルでは「山の日」にあわせたと見られるキャンペーンを展開している。SNS用にハッシュタグ「#iPhoneで撮影」と「#山の日」をセットで投稿しておけば、彼らの目にとまり、アナタの作品がビルボードやポスター、公式WebサイトやTVCMで紹介される日が来るかもしれない。チャンスはすぐそこに転がっている!