世間を騒がせているWindows 10のアップグレード通知問題。半ば強制的な挙動に不信感を抱くユーザーも少なくないようだ。参議院では「パソコンの基本ソフトウェアの半強制的アップグレードに関する質問主意書」という質問主意書が提出されるという事態にまで及んでいる。

Microsoftは「Windows 10 へのアップグレードを抑止する方法」を公開せざるを得ないという事態に

筆者のところにも、知人から相談のメールが来た。インストールしてあったはずのプラグインが行方不明になったり、データが読み込めなくなったりして使えないんだけど、どうしたらいい?といった内容で、ゴメン、自己責任って言い方したくないんだが、1カ月以内ならダウングレードできるみたいよ、消えたプラグインが戻るかどうか分からないけど、一か八かやってみれば?、完全にギャンブルだけどね、あと、僕の専門は映画とか音楽とか文芸とか現代美術とか演劇とかダンスとかファッションだから、バイト先で強制的に使わされているOSについて質問されてもお役に立てることは殆どないのだが、と返答した。

You、Macにしちゃいなよ、というのが本稿の趣旨

半ばキレ気味に、音楽のことだからお前に訊いたのにという返信が来て、ああ、ちょっと突き放すようなこと言っちゃったなと反省。もしかしたら、自分の意思に反して、アップグレードしてしまったという状況だったのかもしれないのに。いや、そもそも、そういう状況に置かれること自体、どうかしてるのだけれども。

SNSを覗いても「目を離した隙に始まった」とか「作業内容がいなくなった」とか悲痛な叫びを上げる人が後を立たない。そんな中、もうMacに変える! という声も数多く見受けられる。

いや、ならスイッチしようよ、というのが本稿の趣旨だ。

直近だと、Windows XPのサポートが終了するぞという時にも同じようなことを言ったかもしれないが、WindowsからMacへスイッチするのは、今となってはそんなにハードル高くはない。

WebブラウザのChromeやFirefoxはMac版も提供されていおる

まず、多くの場合、「パソコンを使う」というと、趣味で使うにせよ、ビジネスで使うにせよ、インターネット上のサービス利用が念頭にあるはずである。検索やニュース閲覧などはWebブラウザから行うこととなるが、Macでは、標準WebブラウザのSafari以外に、Windows用にも提供されているChromeやFirefoxを使うことができる。GmailやFacebook、Twitterといった皆が使うサービスは、基本的にWebブラウザで利用するので、MacとWindowsのプラットホームを意識して使うといったことはない(言い方を変えると、Facebookをやりたいんだけど、という質問をした際に、Windowsを薦めるよと答えるような人には警戒したほうが良い。もっともMacを薦めるのも同じだが)。

Evernote、Dropboxといったクラウドサービスも同様にMac版が提供されている

GoogleドライブやEvernote、Dropboxといったクラウドサービスも同様で、Mac/Windowsともに使用感が殆ど同じアプリが提供されている。Windowsを使っていた時に取得したIDをそのまま使えるので、データはそのまま利用できるというわけだ。

ビジネス向けに提供されているアップル純正のiWorkアプリ

とはいえ、ビジネスシーンではMicrosoft Officeが主流じゃないかと指摘したくなるかもしれない。が、Officeに関して言うと、1989年にはMac版が登場しており、現在でもMac版の最新バージョンがリリースされている。さらにアップル純正のiWorkアプリ、Pages、Numbers、Keynoteは、それぞれMicrosoft Word、Excel、PowerPointとの互換性があるから、仕事で使えないとは言えない状況になってきている。

さらに、IBMが企業利用Macの導入および管理、運用支援などを安全かつ容易に行うサービス「IBM Managed Mobility Services for Mac (MMS for Mac)」を発表している。同サービスはIBM自身のMacの大規模導入経験に基づいて提供されるというもので、企業において従業員が業務に適したデバイスを選択する際にMacを希望するニーズの高まっていることを端的に示していると言えよう。

Boot Campを使うと、OS XとWindowsを切り替えて利用できる

大規模運用ということでは、最近でも、東京大学の事例を紹介した。多様な分野での履修においては、OSが一種類では賄えないという話だったが、MacがあればUNIXが欲しいというニーズにも応えられるし、もちろん、Boot CampでWindowsも動く。

ここまで見てきたとおり、まず、OSのスイッチングコストはかなり低くなっている。それに加え、Macのユーザー数が増えることが期待されるから、わからないことがあっても、周囲の人に聞けば分かるという状況が生まれやすくなっている(それ以前に、筆者のようにITの知識に疎くても、Macは使いやすく、分かりやすくできている)。

アイコンを見ての通り、iOS端末と同じものが並ぶ。これらのアプリはiOSアプリと同じ感覚で使える

これもまた、拙稿の繰り返しとなるが、iPhoneを既に持っているなら、Macはとても便利に使える。iPhoneとの共通アプリも多く、先ほど紹介した、Pages(ワープロ)、Numbers(表計算)、Keynote(プレゼンテーション)というオフィススイートに、動画編集のiMovie、音楽制作のGarageBandといったクリエイティブツールのほか、写真/メール/マップ/メッセージ/メモにWebブラウザのSafariが用意されている。iPhoneで使ったことがあるなら、いずれも同じ感覚で利用できるはずだ。「Continuity」と呼ばれる機能からは、iOS機器とMacの間で簡単にファイルの移動が行える。「Handoff」という機能ではiPhoneで書きかけたメールをMacで引き継いだり、Mac上からリモート操作でiPhoneのインターネット共有を設定可能な「Instant Hotspot」といった連携機能が使える。これらはiOS機器とMacとの組み合わせならではの機能なのだ。

「システム環境設定」の「App Store」より、各種アップデートに関する設定が行える

OSのアップデートの話もしておこう。Macの場合は、2011年のMac OS X Lionからダウンロードによる販売に切り替わり、2013年にリリースされたOS X Mavericksからは無料で提供されている。アップグレードは強制でなく、ユーザーの希望のタイミングで行える仕組みだ。「システム環境設定」にある「App Store」により、アップデートを自動で確認するかどうか設定することができ、「アップデートをバックグラウンドでダウンロード」など、処理を選択することも可能だ。自分の使っているデバイスが、最新OSにアップグレード可能かどうかはここから確認できる。筆者も複数のMacを所有しているが、用途によって入れるOSを分けている。例えば、ドライバの更新が終了してしまった外部機器を利用するとか、OS X El Capitanには対応していない社内のシステム使うという場合に(余談だが、企業内で意図的にMacをパージし、誰が利用するにも明らかに使いにくいシステムが導入されているという局面に対峙した時、筆者は絶対にキックバック貰ってる奴がいると決め付けている)。

Windows 7のユーザーには、Windows 8以降でのユーザーインターフェースの変更に面食らってるという人も多いと聞く、それを嫌ってアップデートを避けている人も少なくないとも。大きく使用感が変わってしまうなら、いっそのことMacでも良いんじゃないかという話にも頷けるところだ。もし、あなたがWindows PCのユーザーで、一連の問題に嫌気が差しているというなら、これを機に、Macに乗り換えるという選択肢を検討してみてはいかがだろうか?