4月26日(米国時間)に発表された米Appleの2016年度第2四半期(1~3月期)決算において、同社としては2003年以来の13年ぶりに四半期あたりの売上が減少に転じたこと、そしてその不調の原因が世界的なiPhoneの販売減にあったことが話題になった。ここではiPhoneを取り巻く最新データを整理しつつ、今後のiPhoneとAppleの動きを考察してみる。
最新データでAppleの現状をみる
話のベースとなるのはAppleが発表した同四半期決算のプレスリリースと、各市場・製品セグメント別の売上の集計だ。特に後者のPDFファイルはAppleの現状が一目瞭然なので、ぜひ一読いただきたい。
注目ポイントはまずiPhoneの売上の部分だ。改めて指摘するまでもなく、現在のAppleはiPhoneに業績の大部分を依存しており、2016年度第2四半期だけで売上の約65%がiPhoneからのものとなっている。iPhoneはMacやiPadと比べても原価率が低いといわれる製品で、おそらく同社の利益への貢献度は売上比率以上だと考えられる。これが、前年同期比で販売台数が16%減、売上は18%減となっている。過去、iPhoneの売上が減少に転じたのは初めてで、不調といわれた2016年度第1四半期(2015年10~12月期)でさえ台数ベースで微増、売上ベースで1%増とほぼフラットの水準に収まっていた。
後述するが、この第1四半期に売上が前年同期比でフラットとなった原因の1つは、中国でのiPhone新製品発売が9月へと繰り上げになり、2014年にiPhone新製品が発売された際には2015年度第1四半期に加算されていた中国市場での積み増し分が2015年度第4四半期(7~9月期)にずれ込んだことにある。実際、中国市場での2014年度第4四半期と2015年度第4四半期の売上上昇比率は99%に達しており(これはiPhone以外の製品も含む)、世界全体でのApple売上の22%増という水準を大きく上回っている。第1四半期での比較は14%上昇と、世界水準で比べればまだまだ高いものの、市場のポテンシャルと比較してやや低い水準に収まっているといえるかもしれない。
むしろ問題は市場別の売上と成長比率の表に関するもので、日本を除くすべての市場でマイナス成長に陥っており、特に中国は2016年度第2四半期で前年同期比26%減と際立っている。日本がなぜこの期に24%増なのかは不明だが、先進国中心にiPhoneの売上が軟調になるなか、有望市場とみられた中国も含めて世界全体が2桁のマイナス成長になるのはAppleにとって10年以上ぶりだ。Apple CEOのTim Cook氏は「世界的な不況の影響」「iPhone 6の世代での伸びが大きかった」ことを理由に挙げているが、このiPhone売上の減少は一時的なものなのだろうか。