はじめに、この記事を執筆するにあたりまして、4月14以降にかけて起きた熊本地震で被災されました多くの方に心よりお見舞い申し上げます。一日も早い復旧を願ってやみません。

そして多くの方々が心を痛め、何か手助けができないだろうかと思案し、ボランティア活動に参加する、寄附や募金をするなどのできる範囲での支援の輪がひろがりつつあります。

被災地支援の輪が広がっている

しかし、これは東日本大震災などで実際にあったことですが、震災直後に個人それぞれが救援物資を日本各地から被災地に送ってしまい、物流ラインの混乱、その仕分けなどで手間がかかり、うまく被災者の方に配分されず、結局は廃棄されてしまったとのことです。

こうした物資の支援は、国や各自治体、企業等も行っていますので、災害時に何か役に立てることはないかと考えたら、現金の寄附が被災自治体が最善だと考えることができるでしょう。そして今回は寄附についてその仕組みと制度の利用方法をご紹介します。  

寄附の方法にはいくつかあり、今回の地震のように大きな被害を受けた場合には各団体で募金や寄附を受け付けていますので、どの団体へ寄附をするのかといった参考になれば幸いです。  

ふるさと納税を利用した災害等寄附

ふるさと納税は、返礼品で注目を浴びていますが、被災自治体へ直接寄附することができるという面でも優れた制度です。ふるさとチョイスやさとふるといったふるさと納税ポータルサイトでは、現在熊本地震の被災自治体への寄附の窓口があります。また、福井県、茨城県境町、千葉県市川市では、熊本地震で被災した自治体を支援するために、ふるさと納税の受付を代理しており、クレジットカードで寄附をすることができます(4月21日現在/ふるさとチョイス)。

以前にもご紹介しましたように、ふるさと納税は寄附金控除が受けられており、サラリーマンといった確定申告を必要としない給与所得者の場合は年間5自治体までは確定申告が不要となるワンストップ特例納税制度が利用できます。

「ワンストップ特例申請書」を寄附先の自治体に提出すれば、寄附先の自治体から住んでいる市区町村に住民税の控除に必要な情報が連絡され、ふるさと納税をした翌年度分の住民税が控除されるという制度です。

寄附者の所得によってことなりますが、目安として住民税の2割(所得の2%)までが全額控除となり、所得が1,800万円を超える場合は、住民税の4割(所得の4%)までが全額控除の目安となります。

日本赤十字社などへの寄附も寄付金控除の対象に

ふるさと納税同様に寄附金控除が受けられる義援金は、「県の災害対策本部」「日本赤十字社」「中央共同募金会」「企業など募金をとりまとめる団体」でその義援金が最終的に国や地方公共団体に拠出されるものであれば、いずれも、「特定寄付金」となり、寄附金控除の対象となります。

いずれの寄附金控除もワンストップ特例納税制度を利用することができず、確定申告が必要となります。その際は、領収書の添付が必要となりますが、場合によっては振込受領証などでも申告ができます。

■寄附金控除(所得控除)の計算式
{その年中支出した特定寄付金額の合計額}-2,000円=寄附金控除額
※特定寄附金額の合計額は所得金額の40%相当額が限度額となります。

認定NPO法人などへの寄附は寄附金特別控除が適用

そして、被災地域の救援活動等を行っている認定NPO法人や、一定の要件を満たす公益社団法人・公益財団法人に対して寄附をした場合は、「寄附金特別控除」が適用されます。寄附金特別控除(税額控除)の計算方法は下記のとおりです。

■認定NPO法人等寄附金特別控除の計算式
{その年中に支出した認定NPO法人等に対する寄附金額の合計額}-2,000円×40%=認定NPO法人等寄附金特別控除額
■公益財団法人等寄附金特別控除の計算式
{その年中に支出した公益財団法人等に対する寄附金(一定の要件を満たすもの)の額の合計額-2,000円×40%=公益財団法人等寄附金特別控除額